管理監督者51 ビル建材部施工管理課の課長の管理監督者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、ビル建材部施工管理課の課長の管理監督者性が争われた事案を見ていきましょう。

三誠産業事件(東京地裁令和3年6月30日・労判ジャーナル116号40頁)

【事案の概要】

本件は、平成30年11月16日までY社に雇用され就労していたXが、Y社に対し、労働契約に基づく賃金請求をした事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者性を否定

【判例のポイント】

1 Xは、ビル建材部施工管理課の課長であり、同課にはC及びDが在籍していたが、Xは、C及びDの担当業務を決定する権限は有しておらず、同人らの人事評価を行ったこともなかったこと、Xの業務内容の大半は、C及びDの業務内容と同様の施工管理業務であったこと等から、Xが経営者に代わって他の労働者の労働時間等を決定し、他の労働者の労務を管理監督する権限と責任を有しているとは認められず、また、Xは、他の従業員と同様にタイムカードによって出退勤が管理されていたところ、所定始業時刻に数分遅れた場合にはその都度遅刻の届出を会社に提出していることが認められる上、残業許可申請書を提出せずにタイムカードに21時以降打刻した場合には、その都度「残業未承認」というゴム印を押されていたことが認められることからすれば、Xは、その勤務態様について自由な裁量を有していたとまでは認められず、さらに、Xは、毎月4万円の役付手当の支給を受けていたが、同手当は、再雇用された後も毎月支給されており、同手当等の支給により、厳格な労働時間等の規制をしなくてもその保護に欠けることはないといえる程度の待遇を受けていると評価することは困難であるから、Xは、労働基準法41条2号の管理監督者に該当するとは認められない。

はい、いつものとおりです。

課長レベルで管理監督者性が認められることは1000%ありません。

労務管理は事前の準備が命です。顧問弁護士に事前に相談することが大切です。