おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。
今日は、更新の合理的期待の存否に関する裁判例を見てみましょう。
ドコモ・サポート事件(東京地裁令和3年6月16日・労判ジャーナル115号2頁)
【事案の概要】
本件は、A社の100%子会社であり、電気通信事業に係わる各種受託業務、テレマーケティングに関する業務等を行うY社との間で、有期労働契約を締結していたXが、4回の更新後、4回目の更新期間満了時である平成30年3月31日にY社から雇止めされたが、労契法19条2号の有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的理由があり、かつ、当該雇止めは客観的に合理的理由を欠き、社旗通念上相当であるとは認められないため、従前の有期労働契約の内容で契約が更新され、平成31年3月31日に退職したことから同日に同契約が終了したと主張して、Y社に賃金等を請求した事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 ・・・以上のXとY社との間の本件契約の締結に至るまでの経過やY社の契約期間管理に関する状況等からすれば、Xは、Y社に採用された当初から、本件契約の更新限度回数は最大で4回であることを認識した上で本件契約を締結しており、その認識のとおり、本件契約が更新されていったものといえるから、Xにおいて、本件契約が、更新限度回数4回を超えて、更に更新するものと期待するような状況にあったとはいえない。
2 Xは、Y社の有期契約労働者の契約における更新限度回数に関する規定は、労働契約法18条の適用を免れる目的で設けられた規定であり、公序良俗に反する違法な規定である旨主張する。
しかし、・・Y社が、労働契約法18条の適用を免れる目的で有期労働契約の雇用契約の更新限度回数に関する規定を設けたものとはいえない。
また、同条は、有期労働契約が5年を超えて反復更新される場合には、無期労働契約へ転換できる仕組みを設けることで、有期労働契約の濫用的利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図る趣旨の規定であり、5年を超える反復継続を行わない限度においては、有期労働契約により短期雇用の労働力を利用することは許容されているのであるから、Y社の有期契約労働者の契約における更新限度回数に関する規定が同条の潜脱になるとはいえない。
更新限度回数は、1番最初の契約締結時に契約内容になっていれば、本件同様に有効と判断してくれます。
更新の途中で突如、契約内容としてもうまくいきませんのでご注意ください。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。