おはようございます。
本日をもちまして、今年の営業を終了いたします。
今年も一年、皆様には大変お世話になりました。
弁護士、スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
来年は1月3日(月)より営業を開始いたします。
来年も精一杯、依頼者の皆様のために精進してまいりますので、宜しくお願い致します。
なお、顧問先会社様におかれましては、年末年始のお休み中も対応しておりますので、
ご相談等がありましたら、いつでもご遠慮なく、栗田の携帯電話にご連絡ください。
それでは皆様、良いお年を!
静岡市葵区の弁護士・社会保険労務士 栗田勇(くりたいさむ)のブログです。労働問題に関する最近の判例を取り上げています。
おはようございます。
本日をもちまして、今年の営業を終了いたします。
今年も一年、皆様には大変お世話になりました。
弁護士、スタッフ一同、心より感謝申し上げます。
来年は1月3日(月)より営業を開始いたします。
来年も精一杯、依頼者の皆様のために精進してまいりますので、宜しくお願い致します。
なお、顧問先会社様におかれましては、年末年始のお休み中も対応しておりますので、
ご相談等がありましたら、いつでもご遠慮なく、栗田の携帯電話にご連絡ください。
それでは皆様、良いお年を!
おはようございます。
今日は、組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止した会社の対応を不当労働行為にあたるとした事案を見てみましょう。
くれよん事件(中労委令和3年3月3日・労判1249号95頁)
【事案の概要】
本件は、組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止した会社の対応を不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【判例のポイント】
1 会社の組合拒否的な対応及び会社の組合嫌悪の強固な意思を踏まえると、会社は、組合を嫌悪する一貫した意思の下で、26年5月以降少なくとも27年3月末日までの間、組合と交渉や相談をすることなく、新入社員に対し、組合加入は任意である旨の説明をして新規組合加入者を減少させ、さらに、これに引き続き、27年4月以降、それまで続けてきた組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止したのであって、同行為は組合組織の財政的・人的基盤の弱体化を招来する効果を有する行為であるといえる。
そして、上記停止行為は、それまで行ってきたユニオン・ショップの事実状態を一方的に打ち切る行為といえるものであるところ、会社が、上記停止行為にあたって、組合に相談・説明をすることは一切なかったのであるから、停止行為の合理的な理由を示して組合から合意を得るべく会社が誠実に団体交渉を尽くしたなどの事情は認められない。
したがって、会社が、27年5月以降、組合に加入した新入社員を従業員名簿に記載して組合に交付する取扱いを停止したことは、労組法7条3号の支配介入にあたる。
結論としては異論がないと思います。
既得権益を奪うことはそう簡単にできません。
しっかりと手順を踏むことが重要です。
労働組合との対応については、日頃から顧問弁護士に相談しながら進めることが肝要です。
おはようございます。
今日は本の紹介です。
3年前に紹介した本ですが、再度読み返してみました。
サブタイトルは、「一生かかっても身につけたい5つの『働き方』改革」です。
労働時間を短くすることだけが働き方改革ではないことがおわかりいただけると思います。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「私のまわりのうまくいっている人というのは、自分とは違う業界の話を聞いても、それを自分に置き換えることができます。自分なら、こうすると、一瞬のうちに変換する能力を持っているのです。まねることが上手な人は、例外なくこの『変換力』があります。」(186頁)
他人事からは何も生まれません。
一見、関係のない物、人、考えに触れたとき、ある人は他人事だと考え通り過ぎ、ある人は立ち止まりそれを自分事に変換します。
世の中はすべて解釈でできています。
同じものを見ても感じ方は人それぞれです。
「関係ない」ことなど世の中には存在しません。
「関係ない」と解釈する自分がいるだけです。
おはようございます。
今日は、休職中の不就労等についての未払賃金等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。
ウィンアイコ・ジャパン事件(東京地裁令和3年5月28日・労判ジャーナル115号34頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、平成30年9月分及び同年10月分の日割給与が未払であるとして、労働契約に基づく未払賃金等の支払を求めるとともに、Y社から解雇されたにもかかわらず解雇予告手当が支払われないとして、労働契約に基づく賃金請求として解雇予告手当等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
未払賃金等請求一部認容
【判例のポイント】
1 本件休職命令による休職がY社の責に帰すべき事由による履行不能(民法536条2項)に当たるかについて、①本件契約において、Xが競業避止義務を負うことが明確に定められていたこと、②本件解雇の理由は、Xが会社在籍中、Y社商品の売買仲介等によって利益を上げる目的でY社を設立し、競業避止義務に違反したというものであること、③Y社が主張するXの競業避止義務違反の態様は、Xが某と共謀して、真の顧客である第三者が高額で支払うことに合意しているにもかかわらず、Y社に対して低額でしか売れない旨を報告してY社をして低額で販売する決裁をせしめ、その差額を自己らの利益としたということを反復継続して行い、Y社に損害を与えたというものであること、④本件休職命令時点で、Xが上記③の行為をした疑いがあったことから、Y社がXに対して解雇が妥当か否かを調査するためにXに対して本件休職命令をもって休職を命じたのは合理的というべきであり、Xの休職はY社の「責めに帰すべき事由」によるものとは認められず、Y社は、Xに対して、その休職期間につき労働基準法26条に基づき平均賃金の60%を支払えば足りるものであり、それを超える責任は負わない。
上記①から④の理由に基づき、裁判所は賃金100%の支払を否定しました。
しかしながら、ノーワークノーペイとはいかず、労基法26条の適用を肯定したために60%分は支払を命じています。
日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。
おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は本の紹介です。
帯には「きれいごとだけでは、人は動かない!」と書かれています。
まさにそのとおりです。
教科書に書いてあるような模範解答だけではうまくいかないこともあるのです。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「踏み絵というのは、自分の信念が試される瞬間を指す。・・・キリスト教の宣教師が、どんなに虐待されてもキリストの踏み絵を踏まずに自らの信仰を貫いたように、いざというときに、自分の価値観と違わぬ選択をし続けられるかどうか、リーダーの覚悟が問われる瞬間というのが必ず来る。」(136頁)
他人がつくった基準でしか物事を考えられないリーダーに覚悟なんてあるわけがありません。
自分が正しいと思う道を行けばいいのです。
それがいばらの道かどうかなんて関係のない話です。
好きかどうか。
やりたいかどうか。
他人がどう思うかなんて1ミリも関係ありません。
付和雷同から何かがスパークすることなんてありません。
異端であることを恐れるな、ということです。
おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。
今日は、更新の合理的期待の存否に関する裁判例を見てみましょう。
ドコモ・サポート事件(東京地裁令和3年6月16日・労判ジャーナル115号2頁)
【事案の概要】
本件は、A社の100%子会社であり、電気通信事業に係わる各種受託業務、テレマーケティングに関する業務等を行うY社との間で、有期労働契約を締結していたXが、4回の更新後、4回目の更新期間満了時である平成30年3月31日にY社から雇止めされたが、労契法19条2号の有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的理由があり、かつ、当該雇止めは客観的に合理的理由を欠き、社旗通念上相当であるとは認められないため、従前の有期労働契約の内容で契約が更新され、平成31年3月31日に退職したことから同日に同契約が終了したと主張して、Y社に賃金等を請求した事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 ・・・以上のXとY社との間の本件契約の締結に至るまでの経過やY社の契約期間管理に関する状況等からすれば、Xは、Y社に採用された当初から、本件契約の更新限度回数は最大で4回であることを認識した上で本件契約を締結しており、その認識のとおり、本件契約が更新されていったものといえるから、Xにおいて、本件契約が、更新限度回数4回を超えて、更に更新するものと期待するような状況にあったとはいえない。
2 Xは、Y社の有期契約労働者の契約における更新限度回数に関する規定は、労働契約法18条の適用を免れる目的で設けられた規定であり、公序良俗に反する違法な規定である旨主張する。
しかし、・・Y社が、労働契約法18条の適用を免れる目的で有期労働契約の雇用契約の更新限度回数に関する規定を設けたものとはいえない。
また、同条は、有期労働契約が5年を超えて反復更新される場合には、無期労働契約へ転換できる仕組みを設けることで、有期労働契約の濫用的利用を抑制し、労働者の雇用の安定を図る趣旨の規定であり、5年を超える反復継続を行わない限度においては、有期労働契約により短期雇用の労働力を利用することは許容されているのであるから、Y社の有期契約労働者の契約における更新限度回数に関する規定が同条の潜脱になるとはいえない。
更新限度回数は、1番最初の契約締結時に契約内容になっていれば、本件同様に有効と判断してくれます。
更新の途中で突如、契約内容としてもうまくいきませんのでご注意ください。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。
おはようございます。
今日は本の紹介です。
4年前に紹介した本ですが、再度、読み返してみました。
名言集に近い本ですかね。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「『億万長者マインド』を持つ人は常に、自分自身に対して可能性を見出しています。『貧乏マインド』を持つ人は、残念ながら可能性を感じるよりも先に、自分に対して制限をかけてしまっています。」(25~26頁)
いつも私がブログに書いている「どうせ無理」と考えるのか、「どうせできる」と考えるのかの違いです。
まさに「マインド」の問題です。
そういう意味で言えば、もうやる前から勝負がついているようにも思います。
できるかできないかではありません。
やるかやらないか。ただそれだけのことです。
おはようございます。
今日は、小規模事業体における管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。
青山リアルホーム事件(東京地裁令和3年5月14日・労判ジャーナル115号46頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員が、法定時間外労働等を行ったとして、労働契約に基づく割増賃金等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金請求等の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
管理監督者性を否定
【判例のポイント】
1 Y社は、Xが管理監督者に該当する旨主張するが、Y社は、平成25年の設立以来、従業員3名程度の極めて小規模な事業体であったものであり、そもそも、経営者の身代わり的存在を置いて、労働時間規制の枠組みを超えた労務管理をさせるべき必要性があるとは認め難く、また、Xが他の従業員の労働時間等を決定していた事実も、他の従業員の労務管理をしていた事実も認められず、Xの日々の活動は日報等で細かく管理され、直行・直帰についても会社代表者への報告が必要であったことも考慮すれば、出退勤がXの自由に委ねられていたとは認め難く、以上に加え、XがY社の財務情報や決算情報など経営上の重要事項に接することはなかったこと、Xに賞与の支給はなく年間賃金は530万円程度であり、Xに対して労働時間規制の枠組みを超えた労務管理をなさしめることの対価としての十分な待遇がなされていたとは認め難いことにも照らせば、Xが管理監督者に該当すると認めることはできない。
結論自体は特に驚くものではありません。
管理監督者性は開かずの扉ですので、この程度の事情で管理監督者性が肯定される可能性は0です。
労務管理は事前の準備が命です。顧問弁護士に事前に相談することが大切です。
おはようございます。
今日は本の紹介です。
サブタイトルは、「お金と幸せを同時に手に入れる55の方法」です。
今のような時代をどのように生きていくのがよいのか、著者の考えがまとめられています。
20~30年前とは明らかに価値観が異なっていることがよくわかります。
時代の変化を感じながらも、親世代の価値観を受け継いでいる方にとっては、なかなかしんどい時代だろうなと思います。
おすすめです。
さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。
「幸せの定義は人それぞれ異なりますが、共通して言えるのは、ある程度の精神的な余裕や肉体的な余裕がなければ幸せを感じにくい、ということです。その余裕を増やすコツは、優先順位付けです。・・・今の自分にとって大事でなくて、『やらなくてもいいこと』『ならなくても困らないこと』を排除することが、優先順位付けのすべてです。つまり、余裕を増やすための優先順位の第一位は、やるべきことを減らすことになります。」(322~323頁)
何かに追われることなく自分の好きなように生きること以上の幸せがあるでしょうか。
この本でも述べられているとおり、幸せの定義は人それぞれですから、唯一絶対の正解など存在しませんが、私にとって経済的・精神的自由があること、あらゆることに選択の自由があることこそが幸せの定義です。
人生はあっという間に終わります。
それにもかかわらず、貴重な時間を、自分がやりたくもないことのために浪費することは死んでもいやなのです。
「わがまま」は「我がまま」です。
自分が生きたいように生きる。
ただそれだけのことです。
おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、整理解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。
ストーンエックスフィナンシャル事件(東京地裁令和3年4月26日・労判ジャーナル114号28頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間で雇用契約を締結していたXが、Y社に対し、Y社がXにした平成31年3月8日付け解雇について無効であると主張し、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認、雇用契約による賃金支払請求権に基づき未払賃金等の支払を求めるとともに、雇用契約上賞与を支払う旨の約定があったなどと主張して、雇用契約による未払賞与等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
解雇無効
未払賞与等支払請求は棄却
【判例のポイント】
1 Y社の管理会計上の営業損益は、他社との競争激化でY社の扱うFX取引量が減少したことにより、赤字となり、移転価格会計制度で米国親会社が赤字による損失を引き受けることでY社の販売費及び一般管理費に7パーセントを上乗せした収入を得ることができていたところ、米国親会社からY社に対して繰り返し経費削減要求がされた中で人員削減も要求されたのであるから人員削減の必要はあるといえるが、希望退職者募集ないし退職勧奨について、説明できているのはXのみであり、Y社は希望退職者募集に係る詳細な事実についてこれを認めるに足りる証拠を提出しないから、本件判断にあたり、希望退職者募集はXに対するもの以外は有無ないし内容について不明であり、解雇回避努力は甚だ不十分というほかなく、Y社が主張するXを被解雇者に選定した理由は、基準の客観性に乏しいことを指摘せざるを得ないこと等から、①人員削減の必要性はあるといえるものの、②解雇回避努力は甚だ不十分でこれを認めることができず、③被解雇者の選定の妥当性にも疑問が残ることから、④手続の相当性に関する具体的事情を検討するまでもなく、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であるとも認められず、解雇権を濫用したものとして無効というほかない。
人員削減の必要性が認められているにもかかわらず、手続面で不備があったために無効と判断されています。
解雇をする上で必要なプロセスについては、事前に必ず顧問弁護士に相談するようにしましょう。