おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、会社の責めに帰すべき事由に基づく未払賃金請求に関する裁判例を見てみましょう。
ホームケア事件(横浜地裁令和2年3月26日・労判ジャーナル112号42頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結し、訪問介護(デイサービス)施設の利用者の送迎業務に従事していたXが、Y社に対し、週の所定労働日数が5日であったにもかかわらず、会社の責めに帰すべき事由によりこれに満たない日数しか労務を提供することができなかったと主張して、雇用契約に基づき、未払賃金等の支払を求める事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 本件雇用契約における週の所定労働日数について、は、原審のX本人尋問における供述は、X本人尋問を通じて一貫しており、その内容に特段、不合理な点も見当たらないから、信用することができ、そして、Xの使用者であり、出勤簿等をもってXの出勤簿を管理していたことがうかがわれるY社が、平成29年以前のXの勤務実態について立証しないことを踏まえると、Xは、本件請求期間より前である平成29年以前は、おおむね週4日勤務していたものと推認されるから、本件雇用契約における所定労働日数に係る合意は、契約当事者の意思を合理的に解釈すれば、週4日であったと認めるのが相当である。
2 Xの出勤日は、Y社において、利用者の送迎計画表を作成することによって決定されることが認められるところ、Xを送迎計画表に入れるかどうかは、Y社の判断に委ねられているのであり、各日の送迎計画表をもって具体的な勤務を命じられていたXは、送迎計画表に入らなかった日については、当該日の送迎業務に従事することを命じられておらず、これを受けた労務の提供の有無を観念する局面に至っていなかったというべきであるから、Xが就労しなかったことは、基本的にはY社の責めに帰すべき事由によるものであったと解するのが相当であるから、Y社がXを送迎計画表に入れなかった日については、Xが就労しなかったことは、Y社の責めに帰すべき事由によるものと認めるのが相当であって、Xは、Y社に対する賃金請求権を失うものではない。
当事者の合理的意思解釈により勤務日数が週4日と認定されています。
その結果、シフトを作成する上で、週4日を下回る場合には、会社都合により休ませたこととなり、ノーワークノーペイの例外として賃金が発生します。
シフト制だからといって、勤務日数を全く自由に決定できるわけではないということをしっかり押さえておきましょう。
日頃から顧問弁護士に相談の上、適切に労務管理をすることが肝要です。