おはようございます。
今日は、組合員が特定されないこと等を理由に団交に応じない会社の対応が不当労働行為とされた事案を見ていきましょう。
ヨーク事件(京都府労委令和2年12月9日・労判1244号148頁)
【事案の概要】
本件は、組合員が特定されないこと等を理由に団交に応じない会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 会社は、まず、平成30年8月1日前は、組合が特定できず、交渉のしようがなかったと主張する。この点、平成30年7月2日の時点では、組合は、当時会社に在籍した6人の技能実習生のうち、いずれの者が組合に加入したかについて、明らかにしていなかった。このため、会社は、組合に加入した技能実習生の特定を求めた。
これに対し、組合は、8月1日、B弁護士に電話で組合に加入したのはA組合員であることを告げた上で、本件合意書案をFAX送信した。本件合意書案には、A組合員の名が記載されており、組合に加入したのがA組合員であることは、本件合意書案から明白であった。
以上により、組合は、組合に加入したのがA組合員であることを会社に明らかにしたのであるから、8月1日前の時点においてはともかく、会社は、組合の組合員が特定されないことを理由に団体交渉を拒否することはできない。
命令のポイント1の事情からすれば、組合員の特定は可能であったと考えるのが相当でしょう。
団体交渉における具体的な対応方法については、必ず顧問弁護士に相談することをおすすめいたします。