おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。
今日は、組合の発行する組合ニュースについて、特定の記事を掲載しないよう求め、記事の内容を理由に組合事務所の明渡しを求めたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。
枚方市事件(大阪府労委令和2年11月30日・労判1242号104頁)
【事案の概要】
本件は、組合の発行する組合ニュースについて、特定の記事を掲載しないよう求め、記事の内容を理由に組合事務所の明渡しを求めたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 組合が使用目的の範囲内で組合事務所を使用しているかの確認に当たって市が採った対応や、市が組合に対し組合事務所の明渡しを求めた理由によっては、不当労働行為となり得る場合がある。
2 組合ニュース記事の内容に28.5.31市書面で示した基準に違反する政治的要素が含まれ、当該記事を掲載した組合ニュースを職員会館内の組合事務所で作成・印刷したことが職員会館の使用目的に付した条件に反するとして、組合に対し、30.12.27市通知書を交付して、平成30年の使用許可を取り消すことになる旨、即刻自主的に職員会館から退去することを求める旨等を通知した市の対応は、必要最小限の手続とはいえず、組合事務所の明渡しを求めるに足る相当な理由も認められず、また、組合ニュースの作成・印刷する場所を問題とする市の主張に疎明はないのであって、組合事務所の明渡しを求めることで、結果的に組合活動を委縮・弱体化させるものであるといえる。
3 市が組合ニュースの特定の記事を掲載しないよう求めたとの組合主張については、やり取りについての具体的な疎明がなく、直ちに支配介入があったとまではいえないものの、組合が組合事務所で政権や特定政党への批判的な記事を掲載した組合ニュースの印刷・発行を繰り返したとして、市が組合事務所の明渡しを求めたことは、組合活動を委縮・弱体化させる支配介入に当たり、労働組合法7条3号に該当する不当労働行為である。
命令のポイント1のとおり、明渡しの理由如何によって不当労働行為該当性が判断されます。
今回のケースでは不当労働行為にあたると判断されてもやむを得ません。
今回のような対応の是非については、事前に顧問弁護士に相談の上、慎重に判断しましょう。