Monthly Archives: 8月 2021

不当労働行為272 勤務シフトに従わず欠勤を続けた組合員に対する解雇と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、期間契約職員である組合員に対し、法人の指定した勤務シフトに従わず、欠勤を続けたことを理由に普通解雇したことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

社会福祉法人新事件(東京都労委令和元年12月17日・労判1240号99頁)

【事案の概要】

本件は、期間契約職員である組合員に対し、法人の指定した勤務シフトに従わず、欠勤を続けたことを理由に普通解雇したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為に当たらない

【命令のポイント】

1 法人がAを7月20日付けで普通解雇とする過程において、法人には同人の勤務シフトの問題について、組合との話し合いによって解決していくことを忌避したといえる対応があったといわざるを得ないが、そのことを考慮しても、法人が、連続夜勤を禁止し、その方針に基づいて同人に対して金曜日を含む勤務シフトを指定したこと自体は、相当な対応であったというべきである。
解雇は、このような状況の下でのAの対応を、連続夜勤に固執して法人が指定した勤務シフトに従わない姿勢を示すものとみて、そのことを理由としてなされたものといわざるを得ない。
したがって、法人が、Aを7月20日付けで普通解雇としたことは、同人が組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たらない。

解雇について客観的に合理的な理由が説明できれば、不当労働行為にはあたりません。

とはいえ、組合員に対する不利益取扱いは、このように紛争になる可能性が高いので、日頃から顧問弁護士に相談する体制を整えておくことが肝要です。

本の紹介1185 一流の人に学ぶ自分の磨き方#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

今から約10年前に紹介をした本ですが、再度、読み返してみました。

10年前に自分がどのように考えていたのかを見返すのはおもしろいですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一流の人は常に切迫感を持ち、時間を大切にして生きている。なぜなら、自分にとっては今この瞬間しかないことを絶えず意識しているからだ。・・・一流の人は『人生は短いから今がチャンスだ』と絶えず自分に言い聞かせている。
二流の人はそういう考え方に抵抗を感じる。時間が永遠にあるかのような幻想を抱いて生きているからだ。一流の人は自分の持ち時間が限られているという現実を直視し、モチベーションを高める。」(98頁)

人生は本当に短いです。

だからこそ自分の生きたいように生きたいのです。

何かをずっと我慢し続ける人生なんて死んでも嫌なのです。

我慢しているうちに人生が終わってしまいます。

いろんなことに自由でありたいという気持ちは年齢を重ねるごとにますます大きくなってきます。

不当労働行為271 営業会議に出席しない組合員に対する懲戒処分と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、営業会議に出席しない等を理由に組合員をけん責の懲戒処分としたことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

パナソニック事件(大阪府労委令和2年1月7日・労判1240号98頁)

【事案の概要】

本件は、営業会議に出席しない等を理由に組合員をけん責の懲戒処分としたことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にはあたらない

【命令のポイント】

1 会社が組合員について、組織責任者、経営幹部、人事責任者等による口頭・書面による注意指導や厳重注意を繰り返し行ったにもかかわらず、指示に応じず業務怠慢で誠実に業務を遂行していないという見解に至ったことは不合理であるとはいえず、組織責任者、経営幹部、人事担当者に対して誹謗・中傷する不適切言動があったという見解に至ったことについても、やむを得ないことであったと解されることから、会社が、本件処分理由書に記載した組合員の行為について、職場規律を乱す行為であるという判断を行ったことは不合理であるとはいえない。

組合員という立場に着目せず、処分理由の客観的合理性が認められる場合には、不当労働行為には該当しません。

日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。

本の紹介1184 ゴール#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

ブライアン・トレーシーさんの本です。

15年程前の本ですが、再度読み直してみました。

やはりいい本は何年経っても色あせないですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

あなたにとって一番大事な資産は、稼ぐ能力です。市場で、自分の才能や技能を発揮する力です。生きている間には、家も車も貯金も家具もすべて失うことがあるかもしれません。しかし、稼ぐ能力さえ残っていれば、すぐに立ち上がってまた豊かな生活を取り戻す努力を始めることができるのです。稼ぐ能力は、何物にも代えがたいものです。・・・あなたがそこに投資を続け、成長させていけば、その価値は上がります。逆に、それを蔑ろにして、惰性で生活を続けていれば、その価値は下がってしまいます。」(102頁)

目の前の仕事や家事に追われ、自分の価値を高める気力も時間もないという方も多いと思います。

気が付いたら1週間が終わり、1か月が終わり、1年が終わる。その繰り返しです。

「稼ぐ能力」とはすなわち「自分の才能や技能を発揮する力」だとこの本では定義されています。

この力を磨き、向上させるために、日々、準備・投資をしている人がどれほどいるでしょうか。

忙しいのはみな同じです。

朝1時間早く起きれば、1時間が生まれます。

「やる時間がない」ではなく「やる気がない」のです。

労働者性37 コピーライターの労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、コピーライターの労働者性ならびに契約解除(解雇)の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

ワイアクシス事件(東京地裁令和2年3月25日・労判1239号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社において稼働していたXが、XとY社との間の契約は雇用契約であり、Y社がXに対してした平成30年6月30日付け解雇の意思表示は客観的合理的理由がなく無効である旨主張して、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、雇用契約に基づく賃金支払請求として、本件解雇前の未払賃金223万5927円+遅延損害金並びに本件解雇日以降の月例賃金として平成30年7月から本判決確定の日まで毎月末日限り、月額43万円+遅延損害金の支払を求める事案の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Xが、Y社に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は、Xに対し、223万5927円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、平成30年7月31日限り43万円、同年8月31日限り28万円、同年9月から本判決確定の日まで毎月末日限り25万8000円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 コピーライティング業務自体についてはその業務の性質上、Y社代表者やY社の社員から具体的な指示はあまりされていなかったものの、顧客のディレクターの指示には従って業務を進める必要があり、Y社においても、Xの業務の進捗状況や進行予定については、毎月2回の定例会議で確認し、Xに対しても他の社員とともに前月の売上げの状況を踏まえた訓示がなされ、少なくとも既存の顧客との関係では売上げを増やすための努力を求められていたと推認されることからすると、これらの業務に対する指示の状況は、コピーライティング業務を委託する場合に通常注文者が行う程度の指示等に留まるものと評価することは困難である。

2 Xは、基本的に週5日、1日8時間以上Y社事務所において上記業務に従事していたことからすると、Xに対する固定報酬は、Xが一定時間労務を提供していることへの対価としての性格を有しているというべきである。

3 Xについては、Y社において正社員を採用する際に作成される内定通知書、採用通知書及び雇用契約書は作成されておらず、Xからも履歴書や身元保証書等の提出がされていないこと、Xが社会保険及び厚生年金等に加入していなかったことが認められる。
しかしながら、Y社は平成21年1月頃、D氏の紹介でXに対して案件ごとに報酬額を協議する形でコピーライティング業務を委託するようになった後、固定報酬制の本件契約を締結していることからすると、他の正社員と採用手続が異なることは労働者性を否定する要素とはいえないと解される。また、社会保険及び厚生年金等に加入していないことについて、Xが本件契約締結当時は加入を求めていなかったとしても、このことが労働者性を否定する要素とはいえない

4 Y社は、本件契約を締結後、Xに対し、固定報酬の支払について「給与明細」を発行し、源泉徴収を行い、毎年、源泉徴収票を発行していたこと、平成28年6月20日付で在職証明書を発行したこと、Y社がXに対して固定報酬の支払が遅延することを連絡するに際し、固定報酬を「給料」と呼称していたことが認められるところ、これらはY社がXを他の社員と同様に労働者として認識していたことを推認させる事情といえる。

5 Xの業務については、具体的な仕事の依頼、業務指示等に対する諾否の自由はなく、Xは、Y社からの指示の下、顧客からの指示に従って業務を行っていたほか、月2回の定例会議における業務の進捗状況の確認を受けるなど、Y社の業務上の指揮監督に従う関係が認められ、時間的場所的拘束性も相当程度あり、業務提供の代替性があったとはいえないことからすると、Y社の指揮監督の下で労働していたものと推認される。これに、Xに支払われる固定報酬の実質は、労務提供の対価の性格を有していると評価できること、Xには事業者性が認められず、専属性がなかったとはいえないこと、Y社もXを労働者として認識していたことが窺われること等を総合して考えれば、Xは、Y社との使用従属関係の下に労務を提供していたと認めるのが相当であって、Xは、労基法9条及び労契法2条1項の労働者に当たるというべきである。

判例のポイント4を見る限り、労働者性は肯定されてもやむを得ないと思われます。

また、固定報酬制を採用している点も労働者性を肯定しやすくしています。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1183 秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

約8年前の与沢さんの本ですが、読み直してみました。

今読み返してもとても勉強になります。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功に近づいている人と、成功が遠い人との差は何か。じつは、それは現時点での貯金の残高ではない。その人が累計でいくら使ってきたかが重要なのである。・・・もちろん、誰だって損や失敗はしたくない。だが、そうした損や失敗が教えてくれることの中にも成功に必要な要素がたくさん詰まっている。失敗できたということは、それだけ成功に近づけたということ。そのように考えることができるかどうかで、成功が近づくかどうかも左右される。」(96~97頁)

失敗を途中で辞める理由とするのは簡単です。

1度や2度、うまくいかないのを理由に辞めてしまうのであれば、もはや何をやっても最後までたどり着けないのではないでしょうか。

失敗は成功の一過程にすぎないと経験上分かっている人は、失敗耐性があるので、そう簡単に投げ出すことはありません。

失敗は、改善・改良の機会にすぎないのですから。

守秘義務・内部告発9 公益通報が不正であるとしてなされた懲戒処分が無効と判断された事案(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、公益通報を不正としてなされた懲戒処分の有効性等に関する裁判例を見てみましょう。

学校法人國士舘ほか(戒告処分等)事件(東京地裁令和2年11月12日・労判1238号30頁)

【事案の概要】

本件は、Y法人から雇用されてY法人の設置する大学の教授を務めていた際にY法人から戒告の懲戒処分を受けたXらが、Y法人に対して、①Xらに対する前記各懲戒処分がいずれも無効であると主張してその無効確認、②前記各懲戒処分が不法行為であると主張してそれぞれ不法行為に基づく損害賠償金220万円+遅延損害金の支払を求め、前記各懲戒処分の懲戒委員会の委員長を務めた被告Y2に対して、③被告Y2が前記各懲戒処分の懲戒事由の当事者であるのに同委員長を辞することなく、虚偽の事実を前提に懲戒を促す言動をして前記各懲戒処分に至らせたことが不法行為に当たると主張して、それぞれ損害賠償金110万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Y法人が、Xらに対し平成30年3月27日付けで行った戒告処分がいずれも無効であることを確認する。

Y法人は、原告らに対し、各60万円+遅延損害金を支払え。

XらのY1に対するその余の請求及びY2に対する請求をいずれも棄却する。

【判例のポイント】

1 Y法人は、公益通報者が公益通報を行ったことを理由として、懲戒処分などの不利益処分をしてはならないと定める(本件公益通報規程11条1項)。同規程の公益通報は、Y法人の諸規定に違反する行為又はそのおそれのある行為を対象とするものであり(1条)、二重投稿は、Y法人が定める本件行動規範において研究者がしてはならない行為としたものであるから(1(1)ウ)、Y法人の諸規定に違反する行為又はそのおそれのある行為といえ、本件公益通報は、本件公益通報規程に基づく公益通報に当たる。
Y法人は、本件行動規範が平成26年に制定されたことから、それ以前の二重投稿は本件公益通報規程の対象ではない旨主張するが、本件行動規範は、その内容からして平成26年文科省ガイドライン及び日本学術会議報告を基づき制定されたものと認められるところ、これらの制定の前から、二重投稿が不正行為であると指摘されていたこと(1(1)ア)に照らせば、本件公益通報が通報対象とする平成22年より前の二重投稿も、「被告法人の諸規定に違反するおそれのある行為」に当たるから、本件公益通報規程の保護の対象外とはいえないものである。
Y法人は、本件出来事(1)~(3)が虚偽であると判断した上,本件出来事(1)~(3)が虚偽であるから本件公益通報は不正目的のものであり、保護の埒外にあると解釈して、本件公益通報書の記載を理由とする懲戒処分を行ったものである。本件公益通報の対象となったB教員の二重投稿問題に根拠がなく、これが真実ではないがゆえに本件公益通報が不正目的であるというなら格別、二重投稿の存否を検討することなく、本件公益通報に至った事情として記載された本件出来事(1)~(3)が虚偽であるから本件公益通報も不正目的であるとの判断は、根拠があるとはいい難い
したがって、本件各処分は、本件公益通報書の記載を理由としてXらに懲戒処分を行ったものであるから、本件公益通報規程11条1項に反しており、この点でも違法といえる。

使用者側の主張の意味は理解できますが、認識の誤りと判断されています。

公益通報を含む各種内部通報を理由に不利益な取扱いをすることは禁止されていますので細心の注意が必要です。

日頃から顧問弁護士に相談をする体制を整えておき、速やかに相談することにより敗訴リスクを軽減することが重要です。

本の紹介1182 松岡修造の人生を強く生きる83の言葉#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

10年前の本の松岡修造さんの本ですが、再度、読み直してみました。

超ポジティブな言葉がたくさん書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

何かにトライしたい、何かを始めたいと思っても、『私はもう〇歳だから、無理です。』という人がいます。トライしない、できない理由を年齢のせいにします。これは年齢を言い訳にして、自分から限界をつくっているようなものです。何歳だったとしても、『やってみたい』と挑戦することで人は生き生きしてきます。」(165頁)

やらない言い訳を考えだしたら、あっという間に何個も見つかりますよ。

暑いからやらない、寒いからやらない、眠いからやらない、だるいからやらない、疲れたからやらない、忙しいからやらない、ゲームしたいからやらない、ユーチューブ見たいからやらない・・・

結局、何をやっても続かない。

だから成果も出ない。

その繰り返し。

人生を変えたいのなら、途中で投げ出さずにやり続けるしかありません。

管理監督者性46 統括バイヤーの管理監督者性+職務手当の固定残業代としての有効性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、統括バイヤーの管理監督者性と未払割増賃金等請求に関する裁判例を見てみましょう。

石田商会事件(大阪地裁令和2年7月16日・労判1239号95頁)

【事案の概要】

本件は、日用雑貨、食料品、書籍雑誌、服飾雑貨、タバコ、酒類の販売等を目的とするY社の従業員であったXがY社に対し、労働契約に基づき、未払時間外、休日及び深夜割増賃金計346万3286円+遅延損害金、労基法20条1項に基づき、解雇予告手当の一部である21万9519円+遅延損害金の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、267万4781円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、5万0032円+遅延損害金を支払え。

Y社は、Xに対し、4万5601円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、Y社における4番目のポジションである統括バイヤーとして、どのような商品をどの程度仕入れ、当該商品をどの店舗にどのように割り振るかという仕入れ業務及び各店舗への商品の振分け業務等を行い、Y社代表者、B専務及びC本部長が出席する会議に出席してi店対策等を担当し、また、自らが幹部であるとの認識の下、他のバイヤーに指示したり、店長に指導を行うこともあった。Y社が小売業者であることからすると、商品の仕入れや各店舗の振分けを行うXの業務は、相当程度重要なものであったといえる。また、Xが仕入れを行うに当たっては決裁を要しなかった
しかしながら、Xは、統括バイヤーという地位にあったとはいえ、営業本部の下に3部門あるうちの商品部という一部門の責任者にすぎず、自らもヤング・ヤングミセス・服飾等の部門のバイヤーとして、その仕入れ作業、売り場の設営等を行っていた。また、他の部門のバイヤーは、雑貨部門のJのほかは、B専務やC本部長というXより上のポジションの者であった。
さらに、Xの下のアシスタントバイヤーも1名ないし3名であり、専従ではなく、店舗の従業員も兼ねるなどしていた。加えて、上記会議も商品部の会議である以上、その責任者であるXが出席するのは当然であり、そのことから直ちにXがY社の経営に関与していたといえるものではなく、同会議において各対策を決めるに当たってXが果たした寄与・貢献についても必ずしも明らかでない。
そうすると、Xが管理監督者に相応しい業務内容や権限及び責任の重要性があったとまで認めることができない

2 Xの賃金額計約31万円は、Y社の従業員の中では高額な給料であるが(店長で22万円から27万円)、Y社の求人票記載の賃金額が計20万6420円から計49万1180円であったことからしても、客観的に特に高額な金額とはいえない
以上の検討を総合すると、②労働時間管理が緩やかではあったものの、①業務内容や権限及び責任の重要性や③賃金等の待遇については管理監督者に相応しいものとまではいえず、Xが管理監督者であったとは認められない。

3 Y社は、Xの職務手当には、76時間の超過勤務手当が含まれている旨主張する。確かに、試用期間中の雇用契約書には、職務手当には26時間以内の超過勤務手当を含む旨記載されている。しかしながら、試用期間経過後については、X・Y社間で雇用契約書が取り交わされていない。また、あくまで名目が職務手当である上、Y社の主張によっても、その中に統括バイヤーの役職に対する手当も含まれるというのであるから、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金の部分が明確に区分されておらず、仮に職務手当を固定残業代とする合意があったとしても、そのような合意が有効とはいえない

管理監督者性のハードルの高さはいつものとおりです。

また。判例のポイント3で争点となっている固定残業代の有効性についても、試用期間経過後の契約書を作成していないことから有効性を否定されています。おしいです。

労務管理は事前の準備が命です。顧問弁護士に事前に相談することが大切です。

本の紹介1181 史上最高のセミナー#2(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

今から7年程前に紹介をした本を再度読み直してみました。

超有名どころのセミナーをまとめた本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

収入を三倍、四倍、五倍に増やすには、ただ会社に『もっと給料を上げてください』と頼んでもダメなんだ。そうではなく、こう自分に言わなければならないんだよ。『わたしは考え方を修正する必要がある。自分の境遇や税制を責めてもしかたがない。会社が遠いだの、暑いだの、寒いだのと言ってもしかたがない。まずは自分自身をなんとかしなければならないんだ』と。すべてはそこから始まるんだ。判断や自分の考え方の誤りを正すことからね。」(25頁)

このような考え方をする人がどれほどいるでしょう。

会社の不満を言い出したらきりがありません。

給与所得者は退職の自由が保障されていますので、いつでも退職して、自分の希望する条件の会社に転職したり、独立開業する権利があります。

等価交換の社会で、収入を増やすには、自分の価値を高めるということが最もオーソドックスな方法です。

居酒屋で愚痴を言っている暇があったら、勉強しましょう。