賃金214 業務手当は固定残業代?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も1週間がんばりましょう。

今日は、業務手当の割増賃金該当性に関する裁判例を見てみましょう。

ライフデザイン事件(東京地裁令和2年11月6日・労判ジャーナル109号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、雇用契約に基づき、未払割増賃金等の支払を、また、Y社の代表取締役であったCに対し、会社法429条に基づき、Y社と連帯して、同額の賠償金の支払、Y社に対し、労基法114条に基づき、上記割増賃金と同額の付加金等の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

一部認容

【判例のポイント】

1 Y社及びCは、業務手当が割増賃金の趣旨で支払われたものであると主張するが、Xが在職していた当時に就業規則や賃金規程は存在しなかったところ、労働条件通知書や採用内定通知書といった雇用契約の内容が記載された書面では、単に固定給として月30万円が支払われるとされただけで、業務手当が支払われる趣旨について何ら記載されることはなくXの採用時にその趣旨について説明がされることもなく、Cも業務手当を割増賃金として支払っていたかは分からない旨供述していることから、業務手当が割増賃金として支払われたとは到底認められない。

2 Xは、Y社の代表取締役であったCが、故意又は重過失によりY社に労基法37条を遵守させず、Xに対して割増賃金を支払わせる任務を行ったことにより、Xに割増賃金相当額の損害が発生した旨主張するが、そのことにつきCに悪意又は重大な過失があったとまで認めるべき的確な証拠はなく、また、Xは、Y社に対し、時間外労働等の時間に相当する額の割増賃金の支払請求権を有するのであって、Xに割増賃金相当額の損害が発生しているということはできないから、Cは、Xに対し、上記損害についての損害賠償責任を負わない。

各種手当を固定残業代として支払っている会社はリスクしかありません。

固定残業代は「固定残業代」として支払いましょう。そうすればだれがどう見ても固定残業代なので。

今回の紛争も日頃から顧問弁護士に相談をすれば、間違いなく防げるレベルです。