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今日は、組合員Aに対し本社営業課長の任を解き運転職を命じたこと、および組合員Bに対し経理担当事務を解き一般事務担当を命じたことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。
アクアライン事件(大阪労委令和2年5月11日・労判1236号103頁)
【事案の概要】
本件は、組合員Aに対し本社営業課長の任を解き運転職を命じたこと、および組合員Bに対し経理担当事務を解き一般事務担当を命じたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
いずれも不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 ・・・以上を総合的に判断すると、Aに対する配転命令には、合理的な理由があったとはいえず、配転当時、会社と組合との間の労使関係が対立関係にあったことからすると、Aに対する配転命令は、会社の組合嫌悪意思によるものとみざるを得ない。
2 Bと会社との間の雇用契約書には、業務内容として「経理事務」と記載されていたことが認められ、かかる雇用契約書の記載からすると、Bは、経理業務に従事することを前提に雇用されていたといえる。一方、Bが、事前に経理事務として適切さを欠くとの指摘を受けていたとの疎明はなく、会社が、一般事務への配転命令を行うに当たって、Bに対し、事前に内示を行ったり、その理由を説明したとの疎明もない。そうすると、Bは、一方的に、業務の異なる一般事務に変更されたといえ、かかる配転をされたことにより、精神的不利益がなかったとはいえない。
以上を相当的に判断すると、Bに対する配転命令には、合理的な理由があったとはいえず、配転当時、会社と組合との間の労使関係が対立関係にあったことからすると、Bに対する配転命令は、会社の組合嫌悪意思によるものとみざるを得ない。
前記のとおり、会社と組合との間の労使関係が対立しているときに、合理的理由なく配転命令を出すと不当労働行為と認定されますので注意しましょう。
日頃から顧問弁護士に相談する体制を整え、無用なトラブルを回避することが肝要です。