おはようございます。
今日は、限定正社員登用試験を受験しなかった有期雇用の組合執行委員長を雇止めとしたことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。
日本コンセントリクスほか1社事件(沖縄県労委令和2年7月9日・労判1236号102頁)
【事案の概要】
本件は、限定正社員登用試験を受験しなかった有期雇用の組合執行委員長を雇止めとしたことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 労働契約法18条は、使用者がいかなる正社員登用制度をとるかについて規制するものではなく、Y1社が上記限定正社員制度を導入したことをもって、労働契約法18条に違反するとか、同条を潜脱する意図によるものであるとはいえない。
2 Xは、Y1社による限定正社員登用試験の実施を確知しながら同試験を受けることなく、さらに、Y1社から再試験を希望するか尋ねられた際にも、その希望を示さなかったというのである。
そうだとすると、Y1社が、自らの意思で受験しなかったといえるXについては、合格の判定がされた事実が存在しない以上、同試験に合格したときと規定する本件労働契約の更新事由を充足しないと判断したことには、何ら不当・不合理という余地はない。
上記判例のポイント1は非常に重要です。
もっとも、運用を恣意的に行うと不当労働行為となり得ますのでご注意ください。
日頃から顧問弁護士に相談の上、労務管理を行うことが大切です。