解雇346 正社員採用時における事実不告知を理由に懲戒処分できる?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、学生運動関与秘匿を理由とする分限免職処分の有効性に関する裁判例を見てみましょう。

京都府事件(京都地裁令和2年3月4日・労判ジャーナル108号38頁)

【事案の概要】

本件は、平成29年4月1日付で京都府に条件付採用され、京都府A課に勤務していたXが、京都府知事から同年9月30日付けで分限免職処分を受けたことから、これを不服として、京都府に対し、本件分限免職処分には裁量権の行使を誤った違法があると主張し、行政事件訴訟法3条2項に基づき、本件分限免職処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求認容

【判例のポイント】

1 本件訓告を受けたXについて、本件人事院規則10条2号又は4号に準じた分限事由が存在するか否かについて、本件無期停学処分及び本件放学処分の秘匿等の動機、理由として、条件付採用期間中の職員にある者がいわゆる学生運動関与とそれに関わる大学からの懲戒処分といった事実が正式採用に向けて不利に作用するものと憶測するのは自然の情であるものといえ、上記秘匿をもって勤務成績や公務員としての適正を殊更に否定する事情とまではならないというべきであり、また、学生運動は飽くまで、本件条件付採用の1年半以上も前のXがB大学との関係で行ったものであり、京都府とは無関係のものであり、そして、京都府での勤務を開始した平成29年4月以降に、XがB大学全学自治会同学会の学生運動に関与したことはなく、また、Xが、条件付採用期間中の京都府A課での勤務において、勤務成績や適性の面で問題視されるような行動をとったことをうかがわせる証拠も存在しないこと等から、本件分限免職処分は、裁量権の行使を誤った違法があるというべきである。

このように、裁判所は、入社時の「ウソ」にかなり寛大です。

安易に入社時の「ウソ」を理由に解雇をすることは避けるべきです。

しっかり顧問弁護士に相談の上、慎重に対応しましょう。