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今日は、介護老人保健施設で介護職員として勤務してきた組合員を解雇したことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。
医療法人健和会事件(大阪府労委令和2年4月13日・労判1229号102頁)
【事案の概要】
本件は、Y法人の設置運営する介護老人保健施設で介護職員として勤務してきた組合員を解雇したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 Y法人がB利用者への虐待行為があったと判断したことには理由があり、かつ、Y法人が虐待行為を重視し、虐待行為を行った職員を解雇することが不合理であるといえないことからすると、29.7.18通知書等に記載されたもののうち、B利用者への虐待の件だけを取り上げてみても、解雇には相応の理由があったというべきである。
・・・したがって、Y法人が、平成29年8月24日をもってF組合員を解雇したことは、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらない。
2 Y法人は、本件団交の2日後に、29.8.23解雇通知書を送付しているが、Y法人が、F組合員の処遇についての結論を急いだことに、理由がなかったわけではないといえ、また、組合が、29.7.26団交要求書の要求内容について継続して協議する意向を持っていたかについて疑念が残るといわざるを得ず、これらのことを考え合わせると、Y法人が、本件団交の2日後に29.8.23解雇通知書を送付したことをもって、団交を一方的に打ち切ったとまではいえない。
上記命令のポイント2のように、使用者側から団交を打ち切ると不誠実団交の疑いが生じます。
打ち切りの合理的理由があるかどうかについては慎重に判断することが求められますのでご注意ください。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。