Monthly Archives: 10月 2020

本の紹介1086 新・仕事力(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「『テレワーク時代』に差がつく働き方」です。

具体的な働き方の提案がなされているわけではありません。

今後の日本がどのような状況になっていくのかを見定め、いかにサバイブするかの参考になる本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・しかし、同じ飲食店でも自分がオーナーシェフとして起業する場合は、また話が違う。かつて、ナイキの創業者フィル・ナイトは、こう述べていた。
『よく「レストランを開きたい」という人がいる。しかし、厨房で1日23時間働く覚悟がなければ、やめたほうがいい』・・・若い時はその仕事を覚えたい、インパクトの出せる人間になりたい、とアンビション(大志)を持って夜も寝ずに働くことも貴重な経験になる。」(49頁)

この文章を読んで「大袈裟な!」と思う人と「あー自分もそういう時期があったなー」と思う人に分かれるのではないでしょうか。

飲食店に限らず、仕事を始めて3~5年は、早く仕事を覚えたいので、朝、誰よりも早く出社し、夜、誰よりも遅くまで仕事をするなんてのは結構、普通によくあることです。

土日もGWも年末年始も仕事していたという方、結構いるんじゃないですか?

あ、私、今でもそんな感じですけど。

凡人は人が休んでいるときに汗をかくしか勝つ方法がないんです。

人と同じように休んでいて、どうやって勝つのでしょう。

(注:労働基準法が適用されるみなさんは決して真似をしないでください。)

不当労働行為253 組合員の自宅を訪問し退職勧奨したことと不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の代表取締役がスト中の組合員2名の自宅を訪問し、退職を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為とされた事案である。

エム・ケイ運輸ほか事件(大阪府労委令和2年1月7日・労判1223号102頁)

【事案の概要】

本件は、会社の代表取締役がスト中の組合員2名の自宅を訪問し、退職を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 B社長は、スト中であった組合員個人の住居を訪問して退職勧奨を行っており、また、請求書兼相殺通知書に記載されていた損害賠償請求権と社会保険料立替分支払債務の対当額での相殺について、送付元の代理人に直接、異を唱えたり、訴訟を提起するといった対応をしないまま、かかる言動を行っていることから、本件言動における退職勧奨は、組合員の動揺を誘い、組合活動に悪影響を及ぼす支配介入に当たるとみるのが相当である。
さらに、7.11言動において、B社長は、これ以上言われても、とりあえず組合に確認する旨述べたE組合員に対し、「これ言うてもわからんのか。自分も大の大人やろ。子どもも嫁はんもおって、確認するって自分らあんなアホに確認して何すんねん。お前、おかしいやろ。あんなアホみたいなやくざみたいな・。」と言ったことが認められ、E組合員が組合に確認しようとしたことを非難し、組合を侮辱する発言をしたと判断することができる。

2 以上のとおりであるから、B社長らが、事前の連絡なく、スト中の本件組合員らの住居を訪問し、本件組合員らに対し、退職を勧奨する発言をしたことは、会社による組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。

使用者側は労働組合法(特に7条)の理解をしっかりする必要があります。

何はやってよくて、何をやると不当労働行為になるかというレクチャーを顧問弁護士からしてもらうことをおすすめします。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1085 時間資本主義の時代(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「あなたの時間価値はどこまで高められるか?」です。

人によって時給が異なるのは言うまでもありません。

時間とは人生そのものです。

現代の「時間価値ビジネス」の状況を知るにはとても良い本です。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

自分の時間価値がグローバルな労働市場で比較される世の中になると同時に、身の回りの人とも相対的な時間価値を比較される時代になった。誰も口には出さないけれど、みんな頭の中では、さまざまな時間価値を比較して、合理的に自分の行動を決めている。つまり、他の人に会える時間、他のことができる時間を割いてまで、その人に会うべきなのか、という問いに答えを出すために、そろばんを頭の中で弾いているのだ。」(200頁)

当たり前すぎて、普段、無意識に判断していることが書かれています。

なんでもかんでも安請け合いして、あれもこれも、また、誰とでもお付き合いをすることは、時間がいくらあっても足りません。

一般的に、年齢を重ねるごとにこの感覚は強くなるはずです。

残された時間が確実に減っていくのですから当然です。

無駄な会議、形だけの会合、愚痴ばかりの飲み会・・・

もうそんなことに時間を使っている場合ではないのですよ。

ジカンガモッタイナイ

労働者性32 商品先物取引の歩合登録外務員の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、商品先物取引の歩合登録外務員との契約が、労働基準法16条の「労働契約」にあたらないとされた裁判例を見てみましょう。

岡地事件(東京地裁令和2年1月15日・労経速2419号23頁)

【事案の概要】

本件は、商品先物取引等を業とするY社の外務員であったXが、Y社に対し、雇用契約又は不当利得に基づき、外務員であった期間中に積み立てた身元保証金188万9433円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 日本橋支店の投資相談部内には30名程度の歩合外務員が所属していたが、これら歩合外務員の間においては職制上の上下関係はなく、他には事務手続を行う一般社員が数名所属していたのみであって、同部内において歩合外務員に対し強い指揮監督を及ぼすべき組織体制は取られていなかった。このような組織体制の下、Xはインターネット上に個人で開設したサイト等を用いて、自身の裁量に基づき大部分の営業活動を展開しており、営業方法についてXがY社から具体的な指示を受ける場合は限定されていた。業務内容の報告についても、毎営業日に外務員業務日誌を提出していたものの、同日誌に記載された報告内容は、顧客から受注した売買取引の内容及び売買成立の結果に止まるものであり、Xが営業内容や交渉状況等について具体的に記載することや、Y社の責任者が具体的な指導事項を記載することはほとんどなかった。
このように、Xが業務遂行上Y社から受ける指揮監督は、極めて弱いものであったということができる。

2 歩合外務員の多くは、毎営業日、Y社に出社しており、Xも、営業日には概ね午前8時に出社していたが、歩合外務員の出社時刻、退社時刻及び休憩時刻について定めはなく、歩合外務員の中には、午前9時頃に出社したり、昼過ぎに退社したりするものもおり、遅刻、早退又は欠勤を理由として、歩合外務員の固定報酬部分から報酬が控除されることはなかった。先物取引の売買執行の際には日本橋支店内での作業が必要となることや、個々の歩合外務員専用フリーダイヤル用の電話機が日本橋支店内に設置されていたこと等を踏まえると、Xを含む多くの歩合外務員が日本橋支店へ出社していたことは業務の性質を理由とする側面が強く、Y社が指揮監督を及ぼすために勤務場所・勤務時間を強く拘束していたと評価することはできない。

労働者性に関する争いは多くの場合、肯定・否定いずれの要素も混在していますが、本件は、かなり労働者性を肯定しやすい事案ではないかと思います。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

本の紹介1084 自分を磨く働き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

これまでの働き方に疑問を抱き、理想の働き方を提案する本です。

働くことが苦痛な人がこの本を読むと何かが変わるでしょうか。

うーん、よくわかりません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『人生を楽しむために仕事をする』という考え方を提示し、多くの人に共感・実践してもらうためにこの本を書いた。あなたが『仕事がつまらない』と感じているなら、間違った仕事を選んでいるのかもしれない。もしそうなら、嫌な仕事を我慢する必要はない。自分の『好き』『嫌い』という感覚に心を澄ませ、『好き』からはじまり『やりがい』や『生き甲斐』につながる仕事を見つけてほしい。」(197頁)

人生は、本当に短いです。

そして、(宗教上の考え方はひとまず措くとすれば)人生は一度きりです。

私たちの多くは、意識のある時間の多くを仕事に充てています。

その仕事がつまらない、嫌だとなると、もうそれは人生の大半がつまらない、嫌だとなってしまいます。

幸い、今の時代は、職業選択の自由が広く認められています。

そんなに嫌なら仕事を変えるのが一番手っ取り早いのでしょう。

不当労働行為252 組合員の復職を認めなかったことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、休職を命じた組合員から就労が可能であるとの診断書および復職願が提出されても復職を認めなかったことを不当労働行為とした事案を見てみましょう。

学校法人神奈川歯科大学(復職)事件(中労委平成31年2月8日・労判1222号139頁)

【事案の概要】

本件は、休職を命じた組合員から就労が可能であるとの診断書および復職願が提出されても復職を認めなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 25年休職命令が発令されてからも、法人と組合との間で、Aの勤務場所、勤務内容をめぐって労使間の対立が継続していたところ、同人の復職要求をめぐって、労使間の対立が深刻化し、法人は、組合活動が活発化し、休職していた同人の復職により組合の影響力が拡大することを警戒していたことがうかがわれる。
このように緊張した労使関係の下で、法人がAから相応の医学的根拠のある一連の診断書及び復職願いが出されたにもかかわらず、25年7月1日から26年10月9日までの間、合理的な理由もなく組合及びAからの復職の要求を認めなかったことは、Aの休職を継続させることにより、同人及び同人を支援する組合の影響力を職場から排除しようとしたものであり、組合を嫌悪してなされたものとみるのが相当である。

2 法人がAの復職を認めなったことに対する救済として、初審命令は、Aに対する25年7月1日から26年10月9日までの間のバックペイ及び文書手交を命じているが、Aが提起した未払賃金請求訴訟において、27年8月6日、横浜地裁は、未払賃金の支払を法人に命じる判決を言い渡し、同判決に基づいて、法人は、27年8月14日、上記未払賃金をAの代理人であったC弁護士に支払っており、同判決は確定している。
そうすると、法人がAの復職を認めなかったことによる同人の経済的損害は既に回復されているといえ、さらに、Aが産業廃棄物管理室へ復帰し勤務していることなど本件に現れた一切の事情も併せ鑑みれば、バックペイを命じる必要はなく、文書交付のみ命じるものとする

一般的に、休職期間満了後の復職の可否の判断は、非常に難しいです。

主治医の診断書は多くの場合、「復職可」と記載されていますので、会社が、いかなる場合も例外なく主治医の診断書を鵜呑みするというわけにはいきません。

もっとも、本件では、法人と組合との対立が深刻化している状況も考慮され、結果として、不当労働行為に判断されています。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1083 その仕事、全部やめてみよう(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは、「1%の本質をつかむ『シンプルな考え方』」です。

意味のない、たいした成果の出ない、つまらない、無駄な仕事はどんどん手放そうということです。

AIさん、どんどん私たち人間のお仕事、奪ってくださいませ。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『谷』はとかく気になりやすい。なにせ『他より劣っている点』だからだ。だが『谷』を埋めようとすると、それだけでリソースを使い切ってしまい、メンバーの士気も低下する。・・・『山』を見出すことができなければ、仕事の大半は『谷』に吸い寄せられてしまう。仕事の99%は『谷』を埋める仕事となり、『山』を作る仕事は1%以下になるだろう。大切なのは、どんな状況かでも『谷』に惑わされず、自分たちの『山』が何なのかを見極めること。」(31頁)

すべての分野をまんべんなくやろうとしても、「平均化」「平準化」するだけであり、他との差別化にはなりません。

限られた時間で結果を出そうとすれば、自ずと、「山」を作らなければなりません。

確かに「谷」は気になります。

「谷」を見つけると埋めたくなるのです。

1日の労働時間が15時間あり、1年350日仕事をするのであれば、まあ、「山」を作りながら、「谷」を埋めて行けばいいのでしょうが、多くの人は、いろいろな理由でそれはできません。

となると、「谷」を無視して、「山」を作ることに専念しようと。

できるだけ高い「山」を作らなければいけません。

「ここに『山』ありますよー」って広告するまでもなく、周りの人にわかるくらい高い「山」を。

不当労働行為251 組合と協議せず、合理的理由なく既得権益を奪う行為の不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労組に対する平成29年4月3日付で組合ニュースの教職員用メールボックスへの投函を禁止したことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

学校法人名古屋自由学院事件(愛知県労委平成31年3月8日・労判1222号138頁)

【事案の概要】

本件は、労組に対する平成29年4月3日付で組合ニュースの教職員用メールボックスへの投函を禁止したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合ニュースの内容は組合の組合員を含む教職員の労働条件及び処遇に直接関係するもの及び何らかの形で影響を与えると考えられるもの並びに一般的な組合活動に関するものであるといえ、組合ニュースの表現は個人及び学院の運営に関するひぼう中傷とまではいえず、また、A執行委員長に対する中傷ビラがメールボックスに投函され、組合から調査を求められたことを施設管理規程ないし経理規則を厳格に適用するようになった契機ということもできないことから、施設管理規程ないし経理規則を厳格に適用したことに正当な理由がある旨の学院の主張には合理的な理由が採用できない

2 以上より、学院が組合による組合ニュースのメールボックスへの投函を禁止したことは、長年にわたり許容し、容認してきた取扱いを大きく変更し、その取扱いに一方的な制限を加えようとするもので、組合活動に大幅な不便や不利益を生じさせるものであるにもかかわらず、学院は、事前にその取扱いの変更について組合と協議を尽くさず、また、合理的な理由もなく当該行為を行ったものであって、さらに、学院の当該行為が、組合と学院との関係が相当悪化していた時期に行われたことに鑑みれば、組合の組合活動を制限することを意図した支配介入であるというべきである。

既得権益を侵害する対応は、合理的理由がしっかり説明できないと、本件のように不当労働行為と判断されますのでご注意ください。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1082 仕事消滅時代の新しい生き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

新型コロナウィルスのパンデミックを受けて出版された本です。

これまでの生き方や働き方が大きく変わっていく中で変化にどのように対応すればよいのかが書かれています。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『作家になりたい』という夢を描いた人が1万人いたとします。そのうち実際に書きはじめるのは1000人くらいで、最後まで書き上げることができる人は100人くらい。さらに、その原稿を出版社に持ち込み交渉するところまでがんばれる人は10人くらいで、出版までこぎ着けることができるのは、最終的に一人いるかいないかではないかと思います。作家にかぎらず、どんな夢もこのように狭き門で、そう簡単には実現しません。その門を突破するのに必要なのは、最後の一人に残るまでやり続けるという情熱です。」(111頁)

具体例は違えど、言わんとしていることは、しつこいくらいにこのブログで幾度となく書いていることと同じです。

「継続は力なり」という、きっと何千年も前から言われ続けている、この世の中の真理です。

99%のは最後までやり続けられず、途中で投げ出してしまいます。

わかっちゃいるけど続けられないのが人間です。

途中でやめるための理由なんていくらでも転がっていますからね。

だからこそ、最後までやり続けられる1%の人が成功するのです。

これが未来永劫変わらない世の中の真理です。

不当労働行為250 有期雇用の組合員を雇止めにしたことの不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、有期雇用契約の組合員を期間満了を理由に雇止めにしたことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

双葉産業事件(大阪府労委令和2年2月10日・労判1222号135頁)

【事案の概要】

本件は、有期雇用契約の組合員を期間満了を理由に雇止めにしたことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 確かに、30.2.8面談の内容は、組合脱退勧奨ととられても仕方のないものであり、また、社長ではないとしても、それ以外の会社関係者がY氏に何らかの依頼をした疑いもぬぐい切れないとはいえ、Y氏自身や会社がそれを否定している状況において、会社の指示によるものと明確に認めることまではできない。
もっとも、Y氏に組合との対応について知恵を貸してほしいと依頼したのは会社であり、また、30.2.8面談の際、Y氏がX組合員に話してもよいかと許しを求めた際に、社長は「大丈夫です」としてそれを許しているのだから、30.2.8面談におけるY氏の言動に対して、会社にも一定の責任があるというべきであるが、そのことから、会社が組合を嫌悪していたとまで認めることはできない

2 会社は、組合と事前協議合意に関する協定を結んでおきながら、組合と協議することなく、本件雇止め通告を行ったといえ、会社が本件雇止めを行うまでに30.3.9団交及び30.3.16団交を行ったことなどを考慮しても、会社の対応は、事前協議合意に関する協定である29.6.1協定書を軽視した行動であるといえる。
しかしながら、①本件雇止め通告の際、社長はX組合員に、アルバイトでもいいのであればと、引き続き会社での就労を容認する発言を行ったこと、②会社はX組合員だけでなく、同組合員より勤務期間の長い非組合員2名も併せて雇止めとしていることが認められ、これらの事実と前記の判断を併せ考えると、X組合員が組合員であることを理由に雇止めとなったとまで認めるに足る疎明はないと言わざるを得ない。

ぎりぎりの判断ですが、組合員のみならず、非組合員も併せて雇止めとしている点等が影響し、不当労働行為性が否定されています。

もっとも、この雇止めの有効性については別途問題になります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。