おはようございます。
今日は、教諭らに対する整理解雇の有効性に関する裁判例を見てみましょう。
学校法人明浄学院事件(大阪地裁令和2年3月26日・労判ジャーナル101号24頁)
【事案の概要】
本件は、Y学校の専任教諭であった元教諭X1・2が、Y学校による整理解雇が無効であるとして、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づき、平成30年4月から令和元年12月まで毎月20日限り、X1については月額約33万円、X2については月額約29万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
整理解雇は無効
【判例のポイント】
1 平成30年2月頃までには、専任教諭2名が懲戒解雇され、専任教諭8名が希望退職に応じ、また、平成30年3月に定年退職予定者1名がいる状況であり、さらに、Y学校の人員削減方針の対象者には常勤講師も含まれるところ、平成30年3月には常勤講師7名が退職となっており、そのために同月頃、新たに13名を採用していることからすると、本件各解雇の予告を撤回してXらの雇用を継続することができなかった理由も見当たらないから、Xら2名を解雇する人員削減の必要性まであったのか否かについては疑問があり、人件費の削減は、解雇に至らなくても教諭らの給与額を削減することによっても達成することができたのに、Y学校はXらに対し、保健体育教員として在職したまま給与を減額する提案を行っておらず、さらに、Y学校が本件各解雇に先立ち、常勤講師の更新の可否を検討したなどの事情も見当たらないから、人員削減の対象として保健体育教員を選択する人選の合理性が認められず、また、Y学校が十分な解雇回避努力を行ったとも認められないから、本件各解雇は、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない。
整理解雇をしつつ、新たに採用をするとなりますと、多くの場合、整理解雇の必要性が否定されてしまいます。
そのようなケースでは、解雇回避努力も不十分なことが多いので、いずれにせよ解雇は無効となります。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。