おはようございます。
今日は、適格性欠如等を理由とする分限免職処分取消請求に関する裁判例を見てみましょう。
大阪府事件(大阪地裁令和2年2月26日・労判ジャーナル99号28頁)
【事案の概要】
本件は、大阪府知事が、大阪府知事の職員であったXに対し、平成26年3月19日付けで分限免職処分を行ったため、Xが、大阪府に対し、本件免職処分の取消しを求める事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xは、平成18年4月17日から平成24年3月31日までの間及び同年4月1日から同年9月30日までの間の勤務実績は、いずれも不良というほかなく、適格性の欠如もうかがわれる状況にあったといえる。
そして、Xが、上記期間に6か所の職場で業務を担当しており、その都度、上司らから指導や注意を繰り返し受けていたが状況はさほど改善したとは評価できないこと、Xに対して個別能力向上研修や個別指導研修が実施されたものの、Xはこれらの研修に真摯に取り組むことがなく、改善が見られなかったこと、Xは、平成25年12月9日以降、適正な手続によらずに欠勤し、また、産業医との面談に応じるよう命じる職務命令に違反している状態を解消する旨を求められ、更には本件条例6条4項に基づき、分限免職処分が行われる可能性があることの警告を二度受けておきながら、かかる状態を解消する対応をしていない。
以上のXの勤務状況ないし働きかけに対する対応状況等を踏まえると、Xには、簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、又は支障を生ずる蓋然性が高いと認められ、職員として必要な適格性を欠くと認められるから、本件では、地方公務員法28条1項1号及び同3号に該当する事由があるといえる。
2 Xは、長期間にわたって勤務実績がよくない状態が継続しており、研修の機会を通じて業務遂行能力の向上を図る意欲を示すこともなく、平成25年12月9日以降、適正な手続によらずに欠勤し、また、産業医との面談に応じるよう命じる職務命令に違反している状態を解消する姿勢もみせていない。
本件免職処分について、分限制度の目的と関係のない目的や動機に基づいてされた事情は本件記録上窺われない。また、本件免職処分は、上述したXの勤務実績や勤務態度を理由としてなされたものであると認められること及び複数の職場での勤務実績や研修の結果を踏まえて判断されていることを踏まえると、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して処分理由の有無が判断されたとも解されない。
その他、本件免職処分が、二度にわたる警告を経た上で行われたものであることを併せ考慮すると、免職処分を選択する判断が、合理性をもつものとして許容される限度を超えたものということはできないから、分限処分における裁量権行使の逸脱又は濫用は認められず、本件免職処分は違法であるとはいえない。
上記判例のポイント1のようなプロセスを経ることが大切です。
根気強さが求められますが、これができるかどうかが勝敗を決します。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。