Daily Archives: 2020年7月30日

不当労働行為246 労組法上の労働者性の判断方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、法人の会員である組合員は、法人との関係で労組法上の労働者に当たると断定できず、労組の申し入れた団交に応じない法人の対応が不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

公益社団法人富田林市シルバー人材センター事件(大阪府労委令和元年9月2日・労判1220号129頁)

【事案の概要】

本件は、法人の会員である組合員は、法人との関係で労組法上の労働者に当たると断定できず、労組の申し入れた団交に応じない法人の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 法人が、会員に対し、配分金を支払うに当たり、作業確認書の提出を求めて作業の完了を確認することは当然必要な手続であり、この事実のみをもって、C組合員が、法人に対して、広い意味で指揮監督の下に労務提供を行っていたと解することはできない。さらに、C組合員は、作業終了後は法人の了解を得ることなく帰っており、時間的に拘束されていたともいい難い

2 C組合員が、法人から独立した事業者性を有していたとは直ちには認められない。しかしながら、そのことが、C組合員の労働者性を積極的に肯定できるまでの事情ともいえない。
以上のとおり、C組合員は法人との関係で労働組合法上の労働者に当たると断定できない上に、29.12.9団交申入れも、8年以上も就業がなく、しかも5年半以上にわたり何らの問題提起もなされなかった事項に関するものであることを総合考慮すると、組合の29.12.9団交申入れに対する法人の対応は、正当な理由のない団交拒否とはいえず、本件申立ては棄却する。

上記命令のポイント2にあるとおり、かれこれ前の話について団交が申し立てられたものであり、相当難しいことは申立て前の段階で予想できます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。