おはようございます。
今日は、会社の管理部次長が部下の運転士を通じて、労組に加入して分会を結成した直後の組合員に対し、(労組に加入すると)将来がなくなる等と述べたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。
西部観光バス事件(東京都労委令和元年10月15日・労判1214号92頁)
【事案の概要】
本件は、会社の管理部次長が部下の運転士を通じて、労組に加入して分会を結成した直後の組合員に対し、(労組に加入すると)将来がなくなる等と述べたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 「『(組合に加入していると)会社側としても、そういう運転士従業員は将来がなくなっちゃうんだよ。良いことは一つもない。』、『会社側は区別するよ。』等と発言している。
こららの発言は、Cが組合に加入しているが、早いうちに脱退してほしいという意向を述べたものである。また、組合加入によって会社から不利益な取扱いを受けることを示唆するものであり、脱退勧奨発言であると認められる。
2 会社は、F次長の発言は、G運転士を介してCに間接的に伝わったものであり、組合に与える影響は低いから、支配介入に当たらないと主張する。
確かに、F次長の発言はG運転士を介してCに伝わっているが、G運転士は、Cに対し、後記の職責を有するF次長に頼まれたと明示した上で、脱退勧奨発言を行っていること、発言内容には会社の立場を示すものが含まれていることから、組合員として組合活動を続けることについて大きな威嚇的効果があり、組合活動が阻害されるおそれは大きいといえる。
3 したがって、本件行為は、会社から不利益な取扱いを受けることを示唆しての脱退勧奨に当たり、組合活動の弱体化を企図したものといえる。
思っていても言ってはいけないことがあります。
上記の発言が不当労働行為に該当することは明白です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。