Monthly Archives: 4月 2020

配転・出向・転籍41 雇用契約における勤務場所の記載の意味(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、不当な配転等を理由とする損害賠償請求に関する裁判例を見てみましょう。

スーパー・コート事件(大阪地裁令和元年11月26日・労判ジャーナル96号82頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されて稼働していたXが、Y社から不当に配置転換され、配転先に出勤しなかったところ、雇止めがされたが、当該雇止めは違法であり、これによってXは損害を被ったなどと主張して、損害賠償等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社が、平成29年11月30日、Xに対し、看護師としての業務をさせない旨の指示をしたことが不法行為に当たるかについて、Xは、平成29年11月2日の入職後1か月の間に、2度にわたる誤薬事故を起こしていること、第1誤薬事故の原因として、同事故の対象となった入居者は、通常の人は膣がある位置に膣がなく、肛門があるという身体的特徴があったこと、第2誤薬事故の原因として、Xは、反省文に、入浴後の処置においては、テープ貼付分は外してくれている、あるいは入浴中に剥がれてしまっていると聞いていたなどと記載していること、本件指示によって、Xの賃金に何ら不利益はないこと、以上の点を併せ鑑みると、X自身が、入居者の特性や本件施設での業務フローへの認識の相違を上記各誤薬事故の原因と主張しているのであるから、入居者の特性や日常生活動作の把握を先行させ、これらの把握まで身体への侵襲を伴い得る看護師業務への従事を一時的に停止することが、Xに対する不法行為に当たるとはいえない。

2 Y社のXに対する配置転換命令の有効性について、雇用契約書の記載が、就業当初の勤務場所の記載という意味を超えて、就業規則の規定を排して勤務場所を限定する趣旨のものであり、XとY社との間で勤務場所を本件施設に限定する合意があったと認めることはできず、配転先施設には、当時、正社員を含む看護師が8名程度在籍し、Xに対して看護師業務の直接的な指導ができると考えたことから、Xを配転先施設に配置転換させることとしたものであり、これらは企業の合理的運営に寄与するものであって、業務上の必要性がないとはいえず、Xが、従前からY社による本件配置転換に従わない意向を明らかにしていたことを踏まえると、Xが指摘するY社の対応は、Xの行動を予測したものというにすぎず、不当な動機・目的が看取できるとはいえず、Xが、配転先施設に出勤して就業できない、あるいは本件配転命令に従うことによって通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を被るとは認められないから、本件配転命令が、Y社の配転権を濫用したものであり、違法無効であって、Xに対する不法行為を構成するとはいえない。

上記判例のポイント2の考え方は非常に重要ですので、是非参考にしてください。

雇用契約書の勤務場所や職種の記載は、配置転換の要件に関する解釈に影響を与えますので、この裁判例を知っておくことは重要です。

実際の対応については顧問弁護士に相談しながら慎重に行いましょう。

本の紹介1029 シングル&シンプルマーケティング(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

常にコンプリケイティッドよりシンプルなほうがいいです。

タイトルでいうところの「シングル」とは、マスではなく個人ベースという意味です。

ますます1人1人の顧客に合わせたサービスが増えていくことは間違いありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『脱・規模優位時代』、言い換えれば、大企業優位時代の終焉でしょうか。・・・今までのマーケティングは、この『規模優位』を維持するように行ってきたことが多いのです。つまり、利益率が低くても、売り上げが伸びれば良いという戦略を多く実行してきたのです。そのことは、企業の維持のために必要でした。組織をさらに大きくして、大規模な組織を目指し、さらに企業の優位性を高める。このためには、多少利益率を無視してでも、市場規模の拡大のために、売り上げを伸ばしてきたのです。」(42~43頁)

大きくなればなるほどそれだけ経費もかかります。

収入が少ない状況下、支出がそれに比例して下げられないという状況は、まさにリスクそのものです。

今後もコロナショックのような不測の事態が起きることは目に見えています。

特に最近、地震が頻発していますので・・・。

令和時代において、規模の大きさははたしてプラスに働くのでしょうか。

私にはそうは思えません。

不当労働行為239 採用前のビラ配布を理由とする雇止め(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、パート従業員として採用される前にビラ配布等をしたことを理由に、1か月の有期雇用期間満了時に次の有期雇用契約を締結しなかったことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

JR西日本広島メンテック事件(広島県労委平成31年4月12日・労判1214号94頁)

【事案の概要】

本件は、パート従業員として採用される前にビラ配布等をしたことを理由に、1か月の有期雇用期間満了時に次の有期雇用契約を締結しなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 本件通告時におけるB副所長の、ビラを配布するということは一種の活動家である旨の発言は、会社が、A組合員の採用前のビラ配布を把握し、A組合員が組合方針に賛同し、組合活動に協力的な行動をしてきた人物であると認識していたことを示すものであるとともに、A組合員の採用前のビラ配布を嫌悪し、今後組合に加入し、会社内で組合活動を行うことを懸念したものであると認められる。

2 会社は、A組合員の採用前のビラ配布を把握し、A組合員が組合方針に賛同し、組合活動に協力的な行動をしてきた人物であると認識し、このような人物を会社に引き続き雇用すれば、組合に加入し、会社内で組合活動を行うことを懸念したことから、合理的とはいえない理由を付し、1か月の有期労働契約の期間満了をもって会社から排除しようとしたものというべきであり、不当労働行為の意思を推認させるものである。
したがって、次の有期労働契約を締結しなかったことは、A組合員が組合に加入することを懸念したが故になされた不利益取扱いであると判断するのが相当であり、労働組合法7条1号の不当労働行為に該当する。

この事案もそうですが、思うことは自由ですが、それを発言するとこのような紛争になります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1028 毎日好きなことだけで埋めていく(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は本の紹介です。

帯には、「あなたの自由を奪っているのは、じつはあなた自身だった。」と書かれています。

どんなときも例外なくすべて自分の決断でその選択をしているのです。

人生は決断の連続です。

その決断の過程、決断の結果がその人の人生そのものなのです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『今回も、ハイグレードの温泉宿にしよう』と思うか、『別にハイグレードでも自分の満足度は変わらなかったから、格安でいいや』と思うか、それは自分の自由です。このように、選択肢が広がるというのは、自由を手にするということなのです。」(121頁)

「自由」とは「選択肢が広がる」ことを指すという意味です。

選ぶ、選ばないはさておき、選ぼうと思えば選べるという状態こそが「自由」です。

多くの場合、経済的に豊かになれば、その分、自由度は上がります。

この本のタイトルにあるように「毎日好きなことだけで埋めていく」ためには「自由」であることが前提となりますね。

好きなことだけで埋めていくということはすなわち、やりたくないことを拒否するという選択肢を手にするということです。

You Only Live Once!

賃金186 通勤経路及び通勤手当の認定方法の妥当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、通勤手当の不当認定等に基づく損害賠償等請求に関する裁判例を見てみましょう。

ダイナス製靴事件(大阪地裁令和元年12月16日・労判ジャーナル96号72頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されて婦人靴売り場の販売員として勤務していたXが、Y社に対して、①不当な通勤経路及び通勤手当の認定により退職を余儀なくされたとして、不法行為ないし債務不履行に基づき、逸失利益37万円及び慰謝料の支払を求めるとともに、②同売り場での勤務中、会社の従業員の過失行為により眼鏡が破損したとして、使用者責任(民法715条)に基づき、眼鏡レンズ購入代金相当額約8万円及び慰謝料(上記①に係るものと合わせて約20万円)の支払を求めた。

原判決は、Xの請求を全て棄却したことから、Xがこれを不服として控訴した事案である。

【裁判所の判断】

控訴棄却

【判例のポイント】

1 Xは、最寄りのバス停EからF駅までの距離及び徒歩での所要時間は、本件規定の定めるバス利用条件を満たしているのに、Y社がこれを認めず本件認定をしたことは不当である旨主張するが、給与規程における交通費(通勤手当)に関する定めは、「住居地または勤務箇所から最寄り駅までのルートの定期乗車券または、バス乗車代(往復)×1ヵ月の出勤日数の合計の低い方を支給する」と定めているのであり、Xの自宅の最寄りのバス停からの距離及び徒歩による所要時間を基準としているものではなく、そして、Xの自宅からF駅までの最短距離は2kmを超えず、徒歩による最短の所要時間は25分を超えないものと認めるのが相当であること等から、Y社による本件認定は不当な点はなく、これが不法行為ないし債務不履行に当たるものとは認められず、これを根拠とするXの逸失利益の損害賠償及び慰謝料の請求には理由がない。

2 Xは、本件店舗での勤務中に本件従業員の右肘がXの左こめかみに当たり、Xの眼鏡が破損した旨を主張するが、仮に、Xが主張及び陳述するように、本件従業員の右肘が当たったことにより、眼鏡の弦をつなぐためネジを留めているレンズ部分にひびが入り、時間の問題でレンズが割れ、弦がとれてしまうような明らかな破損状態になったのであれば、生活に不自由が生じ、同眼鏡が高額であるのであればなおのこと、速やかに本件従業員や会社の上司等に報告し、事後対応について話し合うなどしていて然るべきであるところ、実際には1か月余り後に眼鏡レンズを発注ないし購入するのと同時期に、本件従業員に対して金銭的な負担を求めるようになったというのは、不自然な経過であるといわざるを得ず、また、本件記録を精査しても、Xの主張及び陳述する眼鏡の破損に係る具体的状況及び経過を裏付ける的確な証拠も見いだせないこと等から、本件従業員が過失によりXの眼鏡を破損したという不法行為が成立するとは認められず、XのY社に対する眼鏡レンズ購入代金相当額の損害賠償及び慰謝料の請求には理由がない。

上記判例のポイント2のような事実認定は、裁判所がよく行う手法です。

人間なんていつも例外なく合理的に行動するわけではありませんが、裁判所の認定は、人間は常に例外なく合理的に行動することを前提にしていますので(笑)、客観的に見て不合理な事情があると上記のように事実認定をして主張を否定します。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介1027 すべての企業はサービス業になる(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

サブタイトルは「今起きている変化に適応しブランドをアップデートする10の視点」です。

業界の垣根がどんどんなくなってきているのは明らかです。

今起きている社会の変化について書かれており、参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

企業の利益追求姿勢は人を顧客と捉え、いかに便利漬けにしてサービスを利用させるか、いかに心を飢えさせて虚栄心を満たすものを買わせるかという文脈の上に成立してきました。しかしこれからは顧客の幸せの価値観が原点へと戻っていくことを考えると、人の幸せに寄り添うサービスのデザインへと企業活動も変わっていくように思います。」(203頁)

「顧客の幸せの価値観が原点へと戻っていく」とはどういう意味でしょうか。

私のように物欲がなく、物を買うことや所有することによって幸せを感じられない人に対しては、何を売ればいいのでしょうか。

広くて豪華な家もいらない、高級車もいらない、高い時計もいらない・・・

これらのすべてが虚栄心に基づくものとまでは言いませんが、こういうものに価値を見出せない人が私を含め一定数いますし、これからますます増えていくと思います。

高度経済成長期を生きてきた昭和の方とはやはり価値観が大きく異なるような気がします。

さて、これから先、どのようにビジネスをしていけばいいのでしょうか。

過去の成功体験に縛られることなく、正確に現状把握をしなければ、「売れるサービス」は生まれません。

不当労働行為238 組合嫌悪発言と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、会社の管理部次長が部下の運転士を通じて、労組に加入して分会を結成した直後の組合員に対し、(労組に加入すると)将来がなくなる等と述べたことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

西部観光バス事件(東京都労委令和元年10月15日・労判1214号92頁)

【事案の概要】

本件は、会社の管理部次長が部下の運転士を通じて、労組に加入して分会を結成した直後の組合員に対し、(労組に加入すると)将来がなくなる等と述べたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 「『(組合に加入していると)会社側としても、そういう運転士従業員は将来がなくなっちゃうんだよ。良いことは一つもない。』、『会社側は区別するよ。』等と発言している。
こららの発言は、Cが組合に加入しているが、早いうちに脱退してほしいという意向を述べたものである。また、組合加入によって会社から不利益な取扱いを受けることを示唆するものであり、脱退勧奨発言であると認められる

2 会社は、F次長の発言は、G運転士を介してCに間接的に伝わったものであり、組合に与える影響は低いから、支配介入に当たらないと主張する。
確かに、F次長の発言はG運転士を介してCに伝わっているが、G運転士は、Cに対し、後記の職責を有するF次長に頼まれたと明示した上で、脱退勧奨発言を行っていること、発言内容には会社の立場を示すものが含まれていることから、組合員として組合活動を続けることについて大きな威嚇的効果があり、組合活動が阻害されるおそれは大きいといえる

3 したがって、本件行為は、会社から不利益な取扱いを受けることを示唆しての脱退勧奨に当たり、組合活動の弱体化を企図したものといえる。

思っていても言ってはいけないことがあります。

上記の発言が不当労働行為に該当することは明白です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介1026 営業はいらない(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。

タイトル通りの内容です(笑)

帯には、堀江さんの「最も大事で最も必要ないもの、それが営業というものだ。」と言葉が書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

売り上げは継続するとは限らない。経営判断の連続の中でなんとか生み出し続けるものなのである。サイズが大きくなれば、経営判断の数も投資する金額も増える。リターンの額が増える分、リスクの量も増えていく。投資規模が大きくなると、一度の経営判断のミスが致命傷になりかねない。事業を不要に拡大するということは、一瞬の判断ミスで破滅を導く螺旋階段を上っているようなものだ。」(189頁)

特に、ここ最近の流れの速さ、変化の大きさを考えると、スモールビジネスの方が令和時代にはマッチしていると思います。

会社の規模を大きくすること、従業員数を増やすこと、支店数を増やすことは、昭和時代では進むべき道だったかもしれません。

しかし、昭和時代の常識は令和時代の非常識。

身軽でいること。

いざという時に、背負っているリュックの中身が重すぎて、身動きがとれない状態は極力避けるべきです。

そして、令和時代は「いざというとき」が頻繁に起こることを想定しなければなりません。

労働者性29 劇団員の労働者性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、劇団員の裏方業務の遂行について労働基準法上の労働者性が肯定された裁判例を見てみましょう。

エアースタジオ事件(東京地裁令和元年9月4日・労経速2403号20頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の下で劇団員として活動していたXが法定労働時間に対する最低賃金法による賃金及び時間外労働に対する法定の割増率による割増賃金について未払があるとして、雇用契約に基づく賃金支払請求権に基づき、428万5143円+遅延損害金の支払並びに労働基準法114条に基づく付加金請求として355万6074円+遅延損害金の支払を求めるとともに、Y社がXを、1月に2日程度した休日を取得できず、1日3時間程度しか睡眠時間を取得できない環境で長きにわたり労務提供させた行為及びY社が従業員をして行わせた暴言、脅迫が不法行為に該当するとして、使用者責任に基づく損害賠償請求として、慰謝料300万円+遅延損害金並びに弁護士費用30万円+遅延損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社はXに対し、51万6502円+遅延損害金を支払え

Xのその余の請求をいずれも棄却する

【判例のポイント】

1 本件劇団は、年末には、翌年の公演の年間スケジュールを組み、2つの劇場を利用して年間90本もの公演を行っていたこと、本件入団契約においては、Xは、本件劇団の会場整理、セットの仕込み・バラシ、衣裳、小道具、ケータリング、イベント等の業務に積極的に参加することとされ、実際に、本件劇団の劇団員は、各裏方作業について「課」又は「部」なるものに所属して、多数の公演に滞りが生じないよう各担当「課(部)」の業務を行っていたこと、Xを含む男性劇団員は、公演のセット入替えの際、22時頃から翌日15時頃までの間、可能な限りセットの入替えに参加することとされ、各劇団員が参加可能な時間帯をスマートフォンのアプリケーションを利用して共有し、Xも相当な回数のセットの入替えに参加していたこと、音響照明は、劇団において各劇団員が年間4回程度担当するよう割り振りが決定され、割り当てられた劇団員は、割当日に都合がつかない場合には交代できる者を探し、割り当てられた公演の稽古と本番それぞれに音響照明の担当者として参加していたことが認められ、これらの点を考慮すると、Xが、セットの入替えや音響照明の業務について、担当しないことを選択する諾否の自由はなく、業務を行うに際しては、時間的、場所的な拘束があったものと認められる

2 また、Xは、劇団員のZ3とともに小道具課に所属し、同人との間で、年間を通してほぼ毎週行われる公演のうちどの公演の小道具を担当するか割り振りを決め、別の公演への出演等で差支えのない限り、日々各公演の小道具を担当していた事実が認められるところ、公演本数が年間約90回と多数であって、Xが、年間を通じて小道具を全く担当しないとか、1月に1公演のみ担当するというようなことが許される状況にあったとは認められないことからすると、Xが、本件劇団が行う公演の小道具を担当するか否かについて諾否の自由を有していたとはいえない。また、小道具は、公演の稽古や本番の日程に合わせて準備をし、演出担当者の指示に従って小道具を準備、変更することも求められていたことから、Xは、本件劇団の指揮命令に従って小道具の業務を遂行していたものと認められる

3 他方、公演への出演は任意であり、諾否の自由があったことはXも認めるとおりであるから、Xは、Y社の指揮命令により公演への出演という労務を提供していたとはいえず、チケットバックとして支払われていた金銭は、役者としての集客能力に対する報酬であって、出演という労務の提供に対する対価とはいえない

劇団員の労働者性が争われた事案です。

「修行」みたいな文化がある業界では、法的な要件で考えると労働者なのかもしれませんが、労基法をそのまま適用すると違和感があるようなケースもありますね。

難しいところです。

労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。

 

本の紹介1025 できる男の老けない習慣(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。

40歳にもなると、生活習慣や生活環境=生き様がそのまま顔や体に表れます。

ローマと体つきは1日にしてならずです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

男性ホルモンの低下を招き、からだを老けさせる最大の原因はストレスです。職場ではある程度のストレスは仕方ないにしても、夫婦喧嘩が多いと、本来ストレス解消の場となるべき家庭までもがストレスで溢れてしまいます。」(188頁)

仕事でもストレス、私生活でもストレスって・・・そりゃ病気になりますよ。

最近、ニュースになっているSTAY HOMEのせいで、DVが増えるとか離婚が増えるといったことを聞くと、まあ、いろいろ考えちゃいますね。

多くの人は、四六時中、ストレスを感じながら生きているのでしょうか。

人生は1度しかなく、かつ、それほど長くはありません。

YOLO!

もっと自由に楽しく、生きたいように生きればいいのに。

自分の人生なんだから。