おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、雇止めの有効性が争われた裁判例を見てみましょう。
シェーンコーポレーション事件(東京高裁令和元年10月9日・労判ジャーナル95号30頁)
【事案の概要】
本件は、Y社が、Xとの間で、期間を平成27年3月1日から平成28年2月28日までの1年間とする有期労働契約を締結してXを雇用し、1度、契約を更新したが、その後、契約更新を拒絶したため、Xは、労働契約法19条により契約が更新されたものとみなされると主張して、Y社に対し、労働契約上の地位の確認を求めるとともに、平成29年3月分以降、判決確定の日までの賃金等の支払を求めた。
原判決は、Xの請求を棄却したため、Xが控訴した。
【裁判所の判断】
原判決取消し
→請求認容
【判例のポイント】
1 労働契約法19条2号該当性について、Y社は、従業員講師とは一律に1年間の有期労働契約を締結しているが、契約の更新を希望する講師との間では、遅刻が多かったり、授業の質が低いなどの事情がある場合を除き、通常は契約の更新をしており、Xとの間でも、平成27年3月1日に1年間の有期労働契約を締結し、その後、Xから授業観察の申出を拒否されたり、前日の午後11時29分になってから翌日のストライキを通知されたり、Xの授業を観察した上司が7項目について改善必要との講評をしたとの事情があったものの、その後の平成28年3月1日、Xと契約を更新し、このような経緯からすると、Xにおいて本件雇用契約の契約期間の満了時に同契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があったと認めるべきである。
2 Xが有給休暇として取得した休暇について、正当な理由のない欠勤であったと認めることはできず、また、Y社は、Xの勤務内容が不良であるとして、種々の主張をするが、いずれも雇止めをするかどうかの判断に際して重視することを相当とするようなものとは認められないから、本件雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められないといわざるを得ず、Y社は、本件雇用契約の内容である労働条件と同一の労働条件により契約締結の申込みを承諾したものとみなされるから、Xは、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び平成29年4月から本判決確定の日まで毎月15日限り25万7800円の賃金の支払を求めることができる。
雇止めの理由として小さいミス等をいくつ積み重ねても、結局、取るに足らない場合には合理的な理由にはなりません。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。