おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。
今日は、B2営業本部長によるハラスメント行為が義務的団交事項に当たらないとする会社の対応および労組のA2委員長を管理職層当職であるB職層から一般職であるC職層へ降格したことおよび同人を東京支店から名古屋市の本社お客様相談課へ配転したことがいずれも不当労働行為とされた事案を見てみましょう。
V社(降格・配転)事件(東京都労委平成31年2月19日・労判1211号179頁)
【事案の概要】
本件は、B2営業本部長によるハラスメント行為が義務的団交事項に当たらないとする会社の対応および労組のA2委員長を管理職層当職であるB職層から一般職であるC職層へ降格したことおよび同人を東京支店から名古屋市の本社お客様相談課へ配転したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
いずれも不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 本件行為に対して会社がとる対処の有無とその内容は、従業員の就業環境に影響を及ぼす事項であり、会社が協議に応ずべき義務的団交事項に当たる。
組合は、団体交渉において、C1本部長の行為はセクハラに当たり、従業員の健全な職場環境づくりに関わる問題であるとして、その対処を求めたのであるから、それに対して会社は、会社の調査にて確認された事実関係やセクハラに当たらないと判断した理由を説明するなどした上で、会社が行う対処の内容等について、組合の協議に応じるべきであったといえる。
28年5月31日の団体交渉において、本件行為は義務的団交事項ではないとして協議に応じなかった会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する。
2 A2委員長を東京支店から別の部署へ配転する必要があったとしても、新設された28年10月異動期において、お客様相談課を増員する必要性や、同委員長を同課へ配置する合理性は乏しく、そして、本件配転が、不当労働行為と認められる同委員長への降格処分と同時期に行われたことや、本件公表等を巡る緊迫した労使関係と配転による組合運営への支障なども併せ考えると、本件配転は、組合の中心人物である同委員長を活動拠点から遠方に放逐し、組合の活動力を削ぐことを意図したものとみるほかない。
よって、会社がA2委員長に対し、お客様相談課への配転を命じたことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに組合運営に対する支配介入に当たる。
安易に義務的団交事項でないと判断することは避けなければなりません。
団体交渉の中で合理的な説明に努めるほうがよほど生産的です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。