不当労働行為232 労使間の対立状態での組合員の不利益取扱いと組合嫌悪意思の推認(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、希望退職の応募者が定員に達しなかったことを理由に、有期雇用の嘱託職員である組合書記長を雇止めにしたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

学校法人大阪YMCA(雇止め)事件(大阪府労委平成31年2月22日・労判1209号84頁)

【事案の概要】

本件は、希望退職の応募者が定員に達しなかったことを理由に、有期雇用の嘱託職員である組合書記長を雇止めにしたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 組合はY社あての平成28年9月5日付けの団交申入書にて、同年度の人事異動に伴う学院高校の労働強化問題を議題とする団交を申し入れたこと、②この申入書には、(1)同年7月14日の団交にて、組合は、学院高校の業務量の改善を申し入れ、職場の実態について説明を求めたが、Y社は、校務分掌に基づく形式をなぞるだけで、労働強化はないとし、同26年度から始まった奨学制度について制度自体を知らないと述べるなど、職場の実態は明らかにされなかった、(2)同27年夏以降、現場の事務職の総意として業務達成には現行の人数でぎりぎりであることをJ副校長及びK事務長に伝えていたにもかかわらず、これを全く考慮せず、異動を強行し、おざなりな現場調査と形式論で労働強化はないとするY社に抗議する旨の記載があったこと、がそれぞれ認められ、学院高校の労働強化問題について労使間で対立が生じていたということができる

2 以上によれば、Y社は、C組合員とその組合活動を好ましからざるものとみていたと推認することができ、Y社が、本件希望退職の定員に達しなかった人員数を雇止めにすることにし、その対象にC組合員を含めたことは、C組合員が組合員であることを理由にしたものというのが相当である。

労使間の対立がある状態で、組合員に対して不利益処分を行う場合には、不当労働行為の問題が生じます。

合理的理由を主張立証できるように準備しておくことが求められます。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。