労働災害101 口頭弁論終結時に症状固定していない場合の逸失利益の請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、うつ病発症に関する安全配慮義務違反について総額3472万円余の請求が認容された裁判例を見てみましょう。

甲研究所事件(札幌地裁平成31年3月25日・労経速2392号14頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されているXが、Y社における過重労働が原因でうつ病になったところ、Y社に安全配慮義務違反があると主張して、損害賠償の一部請求として8271万8752円+遅延損害金の支払を求めるとともに、Y社の労務管理の不備及びCの嫌がらせ等が不法行為に当たるとして、慰謝料+遅延損害金並びに弁護士費用の支払いを求める事案である。

【裁判所の判断】

Y社は、Xに対し、3472万7903円+遅延損害金を支払え

Cは、Xに対し、33万円+遅延損害金を支払え

Y社は、Xに対し、Cと連帯して33万円+遅延損害金を支払え

【判例のポイント】

1 Xは、平成18年に復職してから平成26年5月に休職するまでの間、基本給と主任加給の合計額の半分を減額されてきている。この減額は、業務に起因するうつ病によりXの勤務時間が減少したことによるものであるから、損害となる

2 本件の場合、Xの主治医のみならず、Y社らが意見を求めたK医師の意見からしても、本件の口頭弁論終結時にXの症状が固定していたとは認められないから、Xの後遺障害を前提とした逸失利益の請求については、現時点では、認められないと解する。

上記判例のポイント1の視点は参考になりますので押さえておきましょう。

労災発生時には、顧問弁護士に速やかに相談することが大切です。