おはようございます。
85日目の栗坊トマト。葉っぱが元気ないですが、実はどんどん大きくなっております。
今日は、会社とフランチャイズ契約を締結して公文式教室を開設し、生徒指導に当たる教室指導者の労組法上の労働者性が争われた事案を見てみましょう。
公文教育研究会事件(東京都労委令和元年5月28日・労判1207号89頁)
【事案の概要】
本件は、会社とフランチャイズ契約を締結して公文式教室を開設し、生徒指導に当たる教室指導者の労組法上の労働者性が争われた事案である。
【労働委員会の判断】
労組法上の労働者性を肯定
【命令のポイント】
1 労働組合法上の労働者に当たるか否かについては、契約の名称等の形式のみにとらわれることなく、その実態に即して客観的に判断する必要がある。確かに、一般に、フランチャイズ契約には、いわゆるライセンス契約としての側面があることは否定し難く、また、フランチャイジーが会社とは別個の事業者とされていることからすると、フランチャイジーがフランチャイザーに対して労務を供給することがその契約上当然に予定されているとはいえない。
しかし、本件契約は、教室指導者本人の労務供給が前提となっているということができるし、実態としても、教室指導者は、本人労働力を供給して生徒の指導を行っているというべきである。また、会社と本件契約を締結するのは、教室指導者個人のみであり、本件契約を締結し、法人が本件契約に基づいて公文式教室を運営する例はない。これらの事情からすると、本件において、会社と教室指導者との関係を実質的にみた場合、教室指導者自身が会社の事業のために労務を供給していると評価できる可能性がある。
2 ・・・したがって、上記の点を踏まえつつ、教室指導者が労働組合法上の労働者に当たるか否かについては、労働組合法の趣旨及び性格に照らし、会社と教室指導者との間の関係において、労務供給関係と評価できる実態があるかという点も含めて検討し、ア)事業組織への組入れ、イ)契約内容の一方的・定型的決定、ウ)報酬の労務対価性、エ)業務の依頼に応ずべき関係、オ)広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束、カ)顕著な事業者性等の諸事情があるか否かを総合的に考慮して判断すべきである。これらの事情を総合的に勘案すれば、本件における教育指導者は、会社との関係において労働組合法上の労働者に当たると解するのが相当である。
コンビニの例同様、FCでも労組法上の労働者性が肯定される場合がありますので注意が必要です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。