おはようございます。
81日目の栗坊トマト。現在、実が4つできています。
今日は、当直時間帯の労働時間性に関する裁判例を見てみましょう。
KSP・WEST事件(大阪地裁令和元年5月30日・労判ジャーナル91号40頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、労働契約に基づき、平成27年10月から平成28年9月まで毎月20日を締日とし、翌月5日を支払期日とする労働基準法37条1項所定の未払割増賃金合計約602万円等の支払、平成28年9月21日から同年10月20日までの未払割増賃金約17万円等の支払、労働基準法114条所定の付加金等の支払をそれぞれ求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 XとY社との間で交わされた雇用契約書には、基本給月額25万円、職種手当月額3万円であると記載されていることからすると、Xの賃金は、基本給月額25万円、職種手当月額3万円の合計28万円であると認められ、本件賃金規程は、職務手当について、割増賃金として支払う旨を定めているものの、職種手当については、何ら言及されていないから、Xの労働契約の内容上、職種手当が、労基法37条1項所定の割増賃金について支払われる趣旨のものであるとは認められない。
2 当直時間帯における仮眠時間について、仮眠時間中の保安警備は、仮眠中に起こされて業務に従事するよう命じられることはなかったことから、Xは、所定の仮眠時間において、労働契約上の役務の提供を義務付けられていなかったものと評価することができ、また、当直時間帯における食事休憩について、当直勤務においては、労働契約上、30分の食事休憩が予定されているから、かかる時間については、労働契約上役務の提供を義務付けられているとはいえず、そして、その他の休憩時間について、Xは、雇用契約書によると、労働契約上、午前9時から午後5時45分の時間帯において、1時間の休憩を取得することが予定されており、労働契約上、役務の提供を義務付けられているということができず、以上より、当直時間帯における仮眠時間及び食事休憩時間並びに午前9時から午後5時45分の勤務時間帯のうち1時間については、労働時間に該当しない。
上記判例のポイント1はもったいないですね。
「職種手当」と「職務手当」。似て非なる手当。固定残業代として認められるか、基礎賃金に含まれるか・・・大きな違いです。
残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。