おはようございます。
56日目の栗坊トマト。花が咲きそうになっています!
今日は、職場の秩序を乱したことを理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。
協同組合つばさ事件(東京高裁令和元年5月8日・労判ジャーナル90号36頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間の雇用契約によりY社の被用者として稼働していた元職員Xが、Y社から解雇の意思表示を受けたところ、この解雇が無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払いを求めたところ、原判決が、Xの請求をいずれも棄却したため、Xが控訴した事案である。
【裁判所の判断】
控訴棄却
【判例のポイント】
1 Xの警察への通報(警察に対し、自らがY社の職員であることを説明せず、女性の技能実習生が男に拉致されそうだという虚偽の通報をしたもの)は、Y社の信用を毀損し、又はその業務を妨害するもので、Xが監査結果報告書(入国管理局に提出するもの)を持ち出したことはY社の業務を妨害するものであり、さらに、Xは明示の職務命令に反して外出した上、Y社に敵対的な感情を明らかにし、Y社の職場の秩序を乱したものであって、その内容に照らせば、いずれもその程度は強いものというべきであるから、解雇をするについての客観的に合理的な理由があると認められ、そして、Y社の業務を妨害し、その信用を毀損する警察への通報を繰り返したこと、監査結果報告書を持ち出してY社の業務を妨害したこと、明示の職務命令に反して外出し、Y社に敵対的な感情を明らかにし、Y社の職場の秩序を乱したことによれば、これらの言動によってY社とXとの信頼関係は完全に失われていたといわざるを得ず、個別的な指導等によってもXがY社の職務に戻ることについては社会通念上相当なものと認められるから、解雇権を濫用したものとはいえず、本件解雇は有効である。
大切なのは、このような行為をいかに立証するかということです。
日ごろから記録を残すことを意識することがポイントです。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。