おはようございます。
今日は、一時金の年間支給月数に関する労使合意を否定し、自らの提案に固執する会社の対応が不当労働行為に当たらないとした事案を見てみましょう。
D新聞社事件(中労委平成30年11月7日・労判1200号93頁)
【事案の概要】
本件は、一時金の年間支給月数に関する労使合意を否定し、自らの提案に固執する会社の対応が不当労働行為に当たるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 Y社が、第5回労使協議会における発言により本件8か月分合意について本件組合に言質を与えたとまで認めるのは困難であるから、Y社が信義則上の支払義務を負うことまで認めることはできず、本件組合の主張は採用できない。
また、26年及び27年各季一時金を新基準内賃金の3.6か月分と提案し、譲歩できないことについて、Y社は設備投資に資金投入する必要性等について具体的に説明している。
そうすると、Y社が、本件各一時金団交において、本件8か月分合意の存在を否定し、26年及び27年各季一時金をそれぞれ新基準内賃金の3.6か月分と提案し、譲歩しなかったことは、不誠実とはいえず、労組法7条2号の不当労働行為に当たるということはできない。
使用者には妥結義務まではなく、根拠を示し、合理的に説明をすることで足ります。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。