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今日は、組合員の契約不更新にかかる第4回団交に応じない会社の対応は不当労働行為であるが、初審命令後の第4回団交が行われたことにより、救済の利益が失われたとして初審救済命令が取り消された事案を見てみましょう。
交通機械サービス事件(中労委平成30年12月19日・労判1200号92頁)
【事案の概要】
本件は、組合員の契約不更新にかかる第4回団交に応じない会社の対応は不当労働行為であるが、初審命令後の第4回団交が行われたことにより、救済の利益が失われたとして初審救済命令が取り消された事案である。
【労働委員会の判断】
申立てを棄却する
【命令のポイント】
1 改めて第1回団体交渉から第4回団体交渉までの経過を総合的にみれば、第3回団体交渉までのY社の交渉態度は、交渉時間を一方的に制限し、必要な資料を一切提示しないなど不誠実なものであり、これが不当労働行為に該当することは既に判断したとおりであるが、初審命令交付後、Y社は速やかに団体交渉申入れを行い、これに基づいて実施された第4回団体交渉では、事前に交渉時間の制限を行うことなく、自らが保有するA2の雇止めの根拠を示す資料を可能な限り提示し、存在しない資料についてはその理由を繰り返し説明した上で、A2の元上司を立ち会わせ、第1回及び第2回団体交渉で一定程度説明したA2の雇止めの理由について相当に詳細な説明を加えたほか、組合が新たに求めた別の洗浄作業への担当替えや洗浄作業以外への異動についても、それが困難な理由を具体的に説明するなどしているのであるから、Y社は、組合がA2のに関して説明を求めた事項について、組合の理解を得るべく可能な限りの説明を尽くしたものとみることが相当である。
加えて、その後の組合の更なる団体交渉要求に対して、Y社が、未だ説明が行われていない事項を個別具体的に特定するように要求したところ、組合はこれに応答していないとの事情にも照らせば、これ以上交渉を重ねても進展がみられない状態になったものとみるのが相当である。これにより、A2の雇止めに関する実質的な交渉は十分になされていると評価することができ、改めてY社に誠実団体交渉を命じることは要しないものと認められる。
2 以上のことからすれば、Y社の団体交渉拒否によって生じた組合の団結権侵害の状態は、既に是正されていると認めるのが相当であるから、救済の利益は失われたものということができる。したがって、初審命令を取り消すこととする。
初審命令後に団交を誠実に行ったからといって、当然に救済の利益が失われるわけではありません。
使用者側としては、初審命令後の対応としては、本件同様の方針が行くのが望ましいことは言うまでもありません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。