おはようございます。
今日は、長期欠勤を理由とする解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。
計機健康保険組合事件(東京地裁平成30年9月26日・労判ジャーナル83号56頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と期間の定めのない雇用契約を締結して就労していたXが、海外にあるF国において買春を理由に逮捕起訴され帰国できなかったため欠勤したところ、Y社が、「自己の都合により欠勤30日を超え、その事由が正当と認め難い」とする就業規則所定の解雇事由に該当するとして、Xを解雇したため、Xが解雇が無効であると主張して、労働契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、上記解雇後本判決確定の日までの未払賃金及び賞与等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
解雇無効
【判例のポイント】
1 本件解雇理由は、「平成29年7月25日から、自己の都合により欠勤30日を超え、その事由が正当と認め難いため」であり、本件就業規則所定の解雇理由に該当するというものであるが、本件就業規則にいう「欠勤」については、所定休日ないし有給休暇における不就労は含まれないと解するのが相当であるところ、Xは、Xの妻及び弟を介してY社に対し、平成29年7月25日以降の欠勤について有給休暇の申請をしていることが明らかであり、Xによる上記有給休暇の申請は有効というべきであり、そして、平成29年7月25日の時点におけるXの有給休暇の残日数は19日であるから、これを全てXの欠勤日に充当すると、本件解雇の瑕疵が治癒されたとY社が主張する同年9月5日の時点では、いまだ欠勤日は11日にすぎないから、「引き続き欠勤30日を超え」に該当しないことが明らかであること等から、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められず、解雇権を乱用したものとして無効である。
防ぐことができた争いですね。
事前に顧問弁護士等に相談をして冷静に対応していれば起こらなかった紛争かと思います。