おはようございます。
今日は、子会社2社が、平成27年8月18日付で労組の申し入れた土地売却等に伴う雇用問題に関する団交に応じない対応をとったことは支配介入の不当労働行為に当たるとした事案を見てみましょう。
昭和ホールディングスほか事件(中労委平成30年11月21日・労判1194号89頁)
【事案の概要】
本件は、子会社2社が、平成27年8月18日付で労組の申し入れた土地売却等に伴う雇用問題に関する団交に応じない対応をとったことは支配介入の不当労働行為に当たるかが争われた事案を見てみましょう。
【労働委員会の判断】
不当労働行為に当たる
【命令のポイント】
1 8月18日付け団交申入れに係る団交事項である「柏工場土地約1万坪の譲渡にともなう雇用問題」は義務的団交事項であるといえ、子会社2社がこれに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否であり、労組法7条2号の不当労働行為が成立する。
2 8月27日付け団交申入書に係る具体的な団交事項は、いずれも子会社2社の処分可能あるいは説明可能な事項であるとはいえないし、直接に組合員の労働条件に係る問題であるともいえないから、義務的団交事項には当たらず、この点に関し子会社2社の不当労働行為は成立しない。
3 労使関係が緊張状態にある中で、・・・組合らからの団交申入れを拒むと同時に、あえて従業員宛てとしてその団交事項に係る内容について書面での回答を行うことは、殊更に組合らを無視し、組合員らやその他の従業員をして、その交渉力に疑問を抱かしめ、組合を弱体化させるおそれがある対応というべきであり、このことは、子会社2社も十分に認識していたということができる。
上記命令のポイント3のような対応は注意しなければいけません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。