Monthly Archives: 5月 2019

本の紹介919 35歳からの「愚直論」。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
35歳からの「愚直論」。 (Nanaブックス)

成果を上げるのに年齢は関係ありません。

ただひたすら結果が出るまで愚直に努力を続けることです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『もっていないよりもっていた方がいい』ものは、なにも金ばかりではありません。こういった趣味や特技だって実際そうなのです。生き方が定まらない間に、自分の特技を一つあぶり出し、これからはそれを愚直に究めてみませんか。」(91頁)

僕たち凡人は、ビジネスにおいて、いきなりあらゆる分野に手を広げるのはやめておいたほうが身のためです。

結局、何1つ成果が出ないのがおちです。

まずは一芸に秀でることを目指したほうが効率がいいです。

そのためにはまずは力を注ぐ分野を狭めて、そこに最大限力を注ぐ。

その分野で目立つ存在になったほうが、その後のビジネスがやりやすいのです。

不当労働行為219 労組委員長の雇止めと不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、交通事故等を理由に労組委員長の再雇用契約を更新せず、雇止めにしたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

太宰府タクシー事件(福岡県労委平成30年11月2日・労判1196号93頁)

【事案の概要】

本件は、交通事故等を理由に労組委員長の再雇用契約を更新せず、雇止めにしたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 A1は、約9年間組合の執行委員長を務め、組合活動の中心的な人物であった。

2 会社は、5月3日の苦情の前には、A1の雇止め及び解雇について、社内で検討したことがなかったにもかかわらず、5月3日の苦情の件については、その2週間後の同月17日に懲戒処分通知を発し、同時に本件雇止め通知を発するなど、本件雇止めを性急に決定した

3 会社では、料金メーターを不正操作するなど懲戒解雇事由に該当する行為を行った従業員に対しても雇止めは行われておらず、A1に対する本件雇止め以外に雇止めの事例はない

4 上記の各事実から、会社による本件雇止めは、会社が組合の執行委員長であるA1を嫌悪し、同人を会社外に放逐することにより、組合活動を困難にさせることを企図して行われたものと十分推認できる。

5 以上のとおり、本件雇止めは、組合活動の中心的な存在であるA1を嫌悪してなされた不利益取扱いと認められ、同時に、組合活動を委縮させるものであるから、労組法7条1号及び3号に該当する不当労働行為である。

上記命令のポイント1~3のような事情があると雇止めの合理性を肯定するのは難しいでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介918 資本家マインドセット(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
資本家マインドセット (NewsPicks Book)

サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい」と著者の本です。

著者は本の中で「サラリーマンはもはや『幕末の武士』」「サラリーマンというビジネスモデルはやがて破綻していく」と言っています。

これから社会がどのように変わっていくのか不安な人もいれば、楽しみな人もいます。

みなさんはどちらですか?

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ウーバーやエアbnbのようなビジネスを思いつく人間も大勢いた。・・・しかし、アイデアを実行して、成功するまで諦めない者は少ない。おそらく、思いついてもやらない人が99%。『やってみないとわからない』と行動を起こすのは1%・その1%のほとんども、ちょっとやってうまくいかなければすぐに撤退する。試行錯誤をしながらそれをやり続けるのは、さらにその1%。そして、最後に勝つのは、やり続けた0.1%なのだ。」(95~96頁)

このようなことはずっとずっと前から言われていることで、多くの人がわかっていることです。

だから、成功する方法はもうずっと前からわかっているのです。

みんな成功したいと思っていながら、やらない。というよりできない。

行動に移す、途中で投げ出さない、コツコツやるべきことをやり続ける。

これができれば、たいていうまくいきます。

不当労働行為218 書面による回答と団交応諾義務(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労組の団交申入れに対して、一部の事項について書面による回答だけを行ったこと、および開催条件に固執して団交を拒否したことなどの会社の対応を不当労働行為とした初審命令が維持された事案を見てみましょう。

アート警備事件(中労委平成31年1月31日・労判1196号90頁)

【事案の概要】

本件は、労組の団交申入れに対して、一部の事項について書面による回答だけを行ったこと、および開催条件に固執して団交を拒否したことなどの会社の対応の不当労働行為該当性が争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 団体交渉は、労使双方が同席、相対峙して自己の意思を円滑かつ迅速に相手に直接伝達することによって、協議、交渉を行うことが原則であり、労使双方の合意がある場合又は直接話し合う方式を採ることが困難であるなど特段の事情がある場合を除いては、書面の回答により団交が実施されたことにはならないというべきである。

2 会社が組合に対して送付した書面による回答等は、その内容からして、形式的にも実質的にも団交の体をなしておらず、「対面による団交」の代替となりうるようなものであったとは到底いえないことが明らかであるし、そもそも書面により団交が実施されたといえる場合についての上記の要件を満たしていないことも明らかである。そして、これらの会社の対応は、組合からの申入れによる団交が実施されていないことだけにとどまらず、会社が団交申入れを拒絶したものと十分に評価できることも明らかである。

3 団交実施に当たって、一方当事者が団交の場所や時間、議事の進行その他について実施のための条件を付すことは、相手方に異存がない場合のほか、団交を円滑に実施するための有効、適切かつ合理的な必要性と相当性が認められ、かつ相手方の利益等を不当に害するものでないときには、許されないわけではない。しかし、・・・一方当事者が設定した条件に応じない限り団交を実施しないことに正当な理由があると認められるのは、その条件について上記の必要性や相当性が明らかに認められ、相手方がこれを拒絶することが不当と評価できる場合に限られると解される。

4 会社は、義務的団交事項に係る27年各団交申入れにつき、それ以前の対応も含め、組合に団交3条件の受入れを求め、これを不当とする組合からの協議の申入れ等を拒絶し、上記の前提を明らかに欠く団交3条件に固執して、上記の事実経過のとおり長期間にわたって現在まで団交を開催していないのであるから、正当な理由がない団交拒否であることは明らかである。

団体交渉に関する基本的ルールが書かれています。

特に目新しい内容ではありませんが、大切な点なのでよく理解しておきましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介917 一日一生(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
一日一生 (朝日新書)

比叡山飯室谷不動堂長寿院のご住職の本です。

生き方の勉強になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

今の若い人は、よく勉強するからとても頭はいいんだけど、実践する力が弱いのかな。勉強して知識を広げ、物事をわきまえるっていうことも、もちろん大切だけれど、それをそのままにしておかないで、自分のできることを実践していくということなんだな。知っていることを生かすことができないってことは、結局、生かすところまで学んでなかったってことになるんだよな。」(97頁)

アウトプットが命だということです。

仕入れをして売上げを上げる。

仕入れは手段であって、目的にはなりません。

インプットはアウトプットをしてはじめて意味があることを常に頭に入れておくことが大切です。

解雇297 復職の可否の判断における主治医の診断書の信用性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れさまでした。

今日は、パワハラの存否と休職期間満了自然退職扱いの有効性等に関する裁判例を見てみましょう。

コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高裁平成29年11月15日・労判1196号63頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していたXが、Y社に対し、①XがY社から長時間残業による過重労働を強いられたこと、上司から名誉毀損又は侮辱を受けたり、恫喝して責められたりするなどのパワーハラスメントを受けたことなどによって適応障害を発症した旨を主張して、民法709条又は同法715条1項に基づき、121万円(慰謝料110万円と弁護士費用11万円の合計額)+遅延損害金の支払を求め、また、②平成24年4月分から同年7月分までの未払残業代として70万8643円+遅延損害金の支払を求め、さらに、③Y社が休職期間満了によりXを自然退職としたのは無効である旨を主張して、Y社に対する労働契約上の地位の確認並びに平成26年11月から本判決確定に至るまで、賃金として毎月25日限り月額36万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、Xの上記①及び同③に係る各請求をいずれも棄却し、上記②に係る請求のうち、Y社に対して、4万0184円+遅延損害金の限度で認容し、その余の請求をいずれも棄却したところ、これを不服とするXが本件控訴を提起し、Y社が本件附帯控訴を提起した。

【裁判所の判断】

本件控訴を棄却する。
本件附帯控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
Y社は、Xに対し、2万6160円+遅延損害金を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは、休職期間満了による自然退職が、労働者の地位を脅かすものであり、Xが復職可能な寛解状態にある旨の診断書が存在する以上、Y社は、それを否定する積極的で客観的な立証をすべきであるにもかかわらず、それがないのであるから、Xの復職は認められるべきである旨を主張する。
しかしながら、復職の要件である「休職事由が消滅したこと」、すなわち、Xの負傷疾病が寛解し、XがY社において従前どおりの業務遂行をすることができる身体状態に復したこと(就業規則49条1項、47条1項1号)については、Xが主張立証しなければならない事項であるところ、前記のとおり、平成26年10月29日の時点において、XがY社における就労が可能な身体状態を回復したと認めるに足りる証拠はないのであるから、Y社が、Xの休職事由が消滅しておらず、Xの復職は困難であると判断したことは、やむを得ないものといわざるを得ない。
そうすると、Xの上記主張は理由がなく、その余の主張するところも理由がなく、いずれも採用することができない。

2(一審判断)産業医であるI医師も、患者の強い意向により復職可能とする診断書を書く場合がある旨述べており、主治医であるJも、本件診断1から本件診断2への診断の転換について、Xが解雇を通告されて復職の希望を示したことを理由に挙げていることからすれば、本件診断1から本件診断2への転換は、Y社を退職となることを避けたいというXの意向が強く影響しているといえる
また、Jは、本件診断2の当時、医師としては通常勤務ではなく制限勤務とすべきと考えていた旨述べること、Xが抗うつ剤や比較的強い睡眠導入剤の処方を受けていたこと、Xの通院の頻度も通常の患者よりも高いものであったことなどに照らせば、Xの病状が、同月31日まで自宅療養を要するとされた本件診断1の状態から軽快しておらず、本件診断2において通常勤務可能とされた理由は、もっぱらY社を退職となることを避けたいというXの希望にあったというべきである。
以上によれば、休職開始から1年の期間が満了する平成26年10月29日の時点において、Xの体調は、上記就労不可とする本件診断1のとおり就労に耐え得るものではなく、上記時点において復職を不可としたY社の判断は正当というべきであるから、休職期間の満了により、Xを退職扱いにしたことは有効であり、Xの主張は採用できない。

上記判例のポイント2は非常に重要な視点です。

休職期間満了時に起こりうる典型的な問題ですので、どのように対応すべきかを予め知っておきましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介916 シェアライフ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
シェアライフ 新しい社会の新しい生き方

タイトル通り、あらゆるものをシェアすることを提唱しています。

家や車に限らず、日用品についてもシェアする時代になりつつあるのは確かです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

家、車、洋服・・・これまで私たちは、生活に必要な『よりよいモノ、より質の高いモノ』を得るために一生懸命働いてきたけれど、その結果、自由な時間は減り、捨てられないモノが増え、それが自分を不自由にしていることに気づきはじめているのではないでしょうか。…今の生活を維持するために所有してきたモノは、今の生活を変えたいときには心理的・物理的ハードルになってしまうのです。」(65~66頁)

心理的・物理的なハードルを上げる典型が「マイホーム」です。

なにものにも縛られず、自由に生きたいという人にとっては、マイホームは必要ありません。

欲しいとも思いません。ていうより、あげると言われてもいりません。

家に限らず、管理コストがかかるあらゆるものは極力持たないようにしています。

これが自由でいるための鉄則です。

不当労働行為217 組合員に対する直接交渉と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、子会社2社が、平成27年8月18日付で労組の申し入れた土地売却等に伴う雇用問題に関する団交に応じない対応をとったことは支配介入の不当労働行為に当たるとした事案を見てみましょう。

昭和ホールディングスほか事件(中労委平成30年11月21日・労判1194号89頁)

【事案の概要】

本件は、子会社2社が、平成27年8月18日付で労組の申し入れた土地売却等に伴う雇用問題に関する団交に応じない対応をとったことは支配介入の不当労働行為に当たるかが争われた事案を見てみましょう。

【労働委員会の判断】

不当労働行為に当たる

【命令のポイント】

1 8月18日付け団交申入れに係る団交事項である「柏工場土地約1万坪の譲渡にともなう雇用問題」は義務的団交事項であるといえ、子会社2社がこれに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否であり、労組法7条2号の不当労働行為が成立する。

2 8月27日付け団交申入書に係る具体的な団交事項は、いずれも子会社2社の処分可能あるいは説明可能な事項であるとはいえないし、直接に組合員の労働条件に係る問題であるともいえないから、義務的団交事項には当たらず、この点に関し子会社2社の不当労働行為は成立しない。

3 労使関係が緊張状態にある中で、・・・組合らからの団交申入れを拒むと同時に、あえて従業員宛てとしてその団交事項に係る内容について書面での回答を行うことは、殊更に組合らを無視し、組合員らやその他の従業員をして、その交渉力に疑問を抱かしめ、組合を弱体化させるおそれがある対応というべきであり、このことは、子会社2社も十分に認識していたということができる。

上記命令のポイント3のような対応は注意しなければいけません。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介915 劇場化社会(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
劇場化社会 ~誰もが主役になれる時代で頭角を現す方法~

サブタイトルは、「誰もが主役になれる時代で頭角を現す方法」です。

各種SNSやユーチューブ等の誕生により、「劇場化社会」に拍車がかかったのは明らかです。

このような時代の生き方について著者の意見が書かれています。

とても勉強になります。おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

まず自分の立ち位置をしっかり見つめ、劇場化社会の主役になれるタイプか、準主役級か、それとも最初は端役からスタートするタイプなのかを、よく考えてみましょう。ここで大事なのは、劇場化社会になっていくことを知っているか、信じているか、という点です。まったく知らないし、信じてもいないようでは、自分の能力は伸びないかもしれないからです。」(51頁)

時代の流れ、環境の変化を客観的に捉えることがものすごく大切だと感じます。

10年前と10年後では生き方や仕事のしかたがまったく違っている以上、当然のことです。

気が付いたら世の中は大きく変わっているなんてことはよくあることです。

この本で言うところの「劇場化社会」の特徴を知り、自分のキャラクターからどのように動くのがよいかを考えるくせをつけるといいと思います。

不当労働行為216 貸切バスの担当者変更の合理的理由の有無と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、貸切バスの担当者変更の一部は合理的理由が認められ、不当労働行為に当たらないものの、その一部は組合員に対する配車差別の不当労働行為とされた事案を見てみましょう。

船木鉄道事件(山口県労委平成30年10月25日・労判1194号90頁)

【事案の概要】

本件は、貸切バスの担当者変更が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

貸切バスの担当者変更の一部は合理的理由が認められ、不当労働行為に当たらないものの、その一部は組合員に対する配車差別の不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 本件担当者変更は、観光部長がその変更案の作成検討に着手する前の時期から決定に至る経過において、Y社にZ労組を優先する意図があったこと、また、それに伴って混乱が生じたことが明白であるから、Y社(特に現社長)がX労組に比して、Z労組を有利に扱う組合間差別を行っているものと認めざるを得ない
組合間差別が存在することは、ひいては、Y社に不当労働行為意思が存在することを推認させるに十分であり、これを前提とすると、本件担当者変更に合理的理由がない限り、当該措置が不当労働行為に直結すると考えざるを得ない。

担当者変更については、合理的理由の有無がカギとなりますが、その中でも決定したタイミングが重要になります。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。