おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。
今日は、コンビニオーナーの労基法上の労働者性に関する裁判例を見てみましょう。
セブンーイレブン・ジャパン事件(東京地裁平成30年11月21日・労判ジャーナル85号44頁)
【事案の概要】
本件は、Y社との間でコンビニエンス・ストアの経営に関するフランチャイズ契約を締結するなどしていたXが、同契約に基づくXのY社に対する労務提供の実態からすると、Xは労働基準法第9条の「労働者」及び労働契約法第2条第1項の「労働者」に該当するにもかかわらず、Y社は、Xに対して、賃金の支払を怠る、使用者としての安全配慮義務に反して傷害を負わせる、無効な解雇を行うといった不法行為を行ったなどと主張して、Y社に対し、主位的には、不法行為に基づき、未払賃金相当額及び慰謝料等の損害金等の支払を求めるとともに、予備的には、労働契約に基づき、未払賃金の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xは、Y社から業務遂行上の指揮監督を受けていたと主張するが、本件各店舗の仕入を援助し、その販売促進に協力することは、同契約に基づくY社の義務の履行を行い、使用者がその権限において行う労働者に対する指揮監督とはその性質がおよそ異なるものであり、また、Xは、時間的・場所的に強い拘束を受けていたなどと主張するが、本件各店舗という営業場所やその営業時間が指定されていたのは、Y社がXの業務の遂行を指揮監督する必要によるものではなく、フランチャイズ契約の内容によるものにすぎず、そして、Xの親族やXが雇用したアルバイト従業員が本件各店舗の店舗業務を行っていたことは、Xの労働者性を否定する方向に働く事情であり、また、本件各基本契約において、いかなる方法により貸借処理を行い、また、最低保証制度を設けるか否かは、原則として、フランチャイズ契約の内容をどのように設定するかという問題にとどまり、その他、Xが指摘する諸事情を考慮しても、Xの事業者性を減殺し、Xの労働者性を積極的に肯定できるまでの事情の存在を認めることはできない。
チャレンジングな訴訟ですが、結論的には異論はないと思います。
なお、労組法上の労働者性は労基法上のそれに比べて定義が広いため、FCでも認められることがあります。
労働者性に関する判断は本当に難しいです。業務委託等の契約形態を採用する際は事前に顧問弁護士に相談することを強くおすすめいたします。