不当労働行為214 組合員の雇止めが不当労働行為とならない場合(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、契約期間満了を理由に有期雇用職員である組合員の契約を更新しなかったことが不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

国立研究開発法人情報通信研究機構事件(東京都労委平成30年2月20日・労判1190号94頁)

【事案の概要】

本件は、契約期間満了を理由に有期雇用職員である組合員の契約を更新しなかったことが不当労働行為に当たるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 ・・・これらの事実からすると、委託研究推進室においては、Y社がXらの組合加入を認識する以前から、28年度以降の業務体制の変更を検討しており、それまでXらが担当してきた経理検査業務についても、ベテランである同人らの経験や実績のみに頼ることのない組織体制作りを模索していたことがうかがえる
その適否の評価はともかくとして、Y社は、Xらの組合加入を認識する以前から、28年度以降の経理検査の業務体制変更を検討し、28年度以降、Xらを含む委託研究推進室における一般職有期雇用職員の採用数を絞ろうとしていたことが認められるのであり、一方、Y社が、Xらが組合員であることやその組合活動を理由として、同人らの公募不採用を決定するに至ったことをうかがわせる事情は、特段見当たらない。これと上記の事実を併せ考えれば、Xらの不採用が同人らの組合加入を理由とするものであるとみるのは困難であるといわざるを得ない。

2 よって、Y社が、28年4月1日以降、Xらを雇用しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらない。

上記のような事情があるため、Xらの不採用と組合加入との因果関係は否定されました。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。