Monthly Archives: 2月 2019

セクハラ・パワハラ48 パワハラと指導の境界線とは?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、人事評価の濫用に基づく差額賞与等支払請求に関する裁判例を見てみましょう。

住商インテリアインターナショナル事件(東京地裁平成30年6月11日・労判ジャーナル81号52頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に雇用されている従業員がY社に対し、賞与に関して違法な人事評価をされたと主張して、雇用契約における賞与請求権に基づき、平成26年から平成28年までの各6月及び12月支給の賞与の差額として合計約7万円等の支払を求め、Y社の管理本部長であったA及び代表取締役であるBから、コンプライアンス上の問題に関するメールの送信を禁止されたり、厳重注意処分をされたりするなどのパワーハラスメントを受けたと主張して、安全配慮義務の債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料200万円等の支払を求め、Y社の取締役兼管理本部長兼業務管理部長であるCからもコンプライアンス上の問題に関して被害申告すること自体を禁止されるなどのパワハラを受けたとして、安全配慮義務の債務不履行又は不法行為による損害賠償請求権に基づき慰謝料100万円等の支払を求め、XがCの指示に反して、コンプライアンス上の問題に関するメールを送信したことを理由としてY社がXに対してした譴責処分は権利濫用に当たり無効であると主張して、同処分の無効確認を求めた事案である。

【裁判所の判断】

差額賞与等支払請求は棄却

パワハラに関する損害賠償請求も棄却

【判例のポイント】

1 Xは、業務管理部長兼取締役管理本部長兼総務・人事リーダーであったDや業務管理副部長であったEの言動に関して、自らの考えに固執し、元社長であったFやAらに対し、特段の根拠も示さずにDやEに対する誹謗中傷、個人攻撃にわたるようなメールの送信等を繰り返していたものであり、AがXに本件メールの撤回ないし取下げを促して口頭注意をし、Bが警告のため本件通知をしたことは、会社の秩序を維持するためにやむを得ないものといえ、Xの人格権を違法に侵害するものと認めることはできず、AがXに対して本件メールの撤回ないし取下げを促し口頭注意をしたことや、Bが本件通知をしたことが従業員の人格権を違法に侵害するものと認めることはできないから、A及びBによるXへのパワハラを認めるに足りず、これに基づくXのY社に対する損害賠償請求は、理由がない

2 Xは、上司であるCからコンプライアンス違反に当たらないようなことについてメールを送信することを禁止する旨の職務命令を受けていたにもかかわらず、これに従うことなく、その後もCやBに対し、同命令の撤回や謝罪を求めるメールの送信を繰り返していたというのであって、本件譴責処分は会社の秩序維持のためやむを得ず行われたものと解され、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとはいえず、権利の濫用に当たらない

一連の経緯についてどれだけ裏付けがとれるかが勝敗を決します。

訴訟まで発展しそうな場合には、労使ともにエビデンスの確保がキモとなります。

ハラスメントについては、注意喚起のために定期的に研修会を行うことが有効です。顧問弁護士に社内研修会を実施してもらいましょう。

本の紹介884 1秒でつかむ(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
1秒でつかむ 「見たことないおもしろさ」で最後まで飽きさせない32の技術

著者はテレビ東京のディレクターの方です。

本の内容はもちろんのこと、話の進め方も勉強になります。

とにかくおもしろいです。

おすすめです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ぼくは、ストーリーを作る時に、強く意識している大切なことが1つあります。それは、できるだけ、『説明』ではなく、『体験』であるべき。
映像でも、文章でもそうです。何かの魅力を『説明』されても、それでは心が動かされないのではないかと思います。『○○さんは、いま悲しがっている』と説明されても、何も心は動かされないのです。」(367頁)

ストーリーを語ることの大切さはさまざまな本で書かれていることです。

いかに説明するかではなくいかに体験してもらうか。

実際に体験をするわけではありませんが、あたかも体験したかのように感じてもらう。

魅力をそのまま説明するのではなく、他者に感じてもらうための工夫が必要なのでしょう。

仕事でもプライベートでも同じことが言えると思います。

継続雇用制度25 賞与の算定基礎が決まっている場合の未払賞与請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、再雇用制度基準に満たないことを理由とする雇止めの有効性に関する裁判例を見てみましょう。

エボニック・ジャパン事件(東京地裁平成30年6月12日・労判ジャーナル81号50頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元正社員Xが、平成27年3月31日付けで60歳の定年により退職し、雇用期間を1年間とする有期雇用契約により再雇用された後、定年退職後の再雇用制度対象者の基準に関する労使協定所定の再雇用制度の対象となる者の基準を充足しないことを理由として、平成28年4月1日以降は同契約が更新されず、再雇用されなかったことについて、実際には同基準を充足していたことなどから、労働契約法19条2号により、同一の労働条件で同契約が更新されたとみなされること、平成27年分及び平成28年分の業績賞与の査定等に誤りがあることなどを主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、本件雇止め以降の未払基本給(バックペイ)並びに前期業績賞与の未払分の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

雇止めは無効

未払賃金・賞与等支払請求は一部認容

【判例のポイント】

1 Y社の正社員として勤務した後に平成27年3月31日に定年退職し、本件再雇用契約を締結したXについては、同契約が65歳まで継続すると期待することについて、就業規則16条2項及び本件労使協定の趣旨に基づく合理的な理由があるものと認められ、Y社のリージョナル人事部ゼネラルマネージャーも、本件労使協定1条について、本件再雇用基準に該当する限りにおいては必ず再雇用するという趣旨の規定であると述べており、そして、本件再雇用契約の終期である平成28年3月31日の時点において、Xは、本件人事考課基準を含む本件再雇用基準に含まれる全ての要素を充足していたから、本件雇止めは、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とは認められないものといえ、労働契約法19条2号により、同一の労働条件で本件再雇用契約が更新されたものと認められるから、Xの地位確認請求は理由がある。

2 平成27年分の業績賞与のうち個人業績分の支給がなされていないところ、その算定方法として、年間給与(基本給合計)の28%を業績賞与の算定基礎とし、その70%を個人業績分の算定基礎として、人事考課結果(評価値)を乗じて算定すべきことに争いがなく、そして、平成27年の年間給与は699万9000円であり、Xの人事考課結果は88.15%であるから、Xの業績賞与額(個人業績分)は、120万9246円と算定されるが、他方、平成28年1月1日から同年12月31日までの366日間のうち、本件再雇用契約に基づくXの在籍期間は、同年1月1日から同年3月31日までの91日間にとどまり、同年4月1日から同年12月31日までの期間については、Xは現実に稼働しておらず、人事考課の結果も存在しない以上、同年4月1日以降については、Xが、Y社に対し、具体的な賞与請求権を有するとはいえないから、平成28年分の業績賞与未払額を算定すると、29万2292円となる。

賞与について認められることはまれですが、本件のように算定方法が予め決まっている場合には、解雇や雇止め事案においても請求が認められることになります。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。

本の紹介883 なんで、その価格で売れちゃうの?(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
なんで、その価格で売れちゃうの? 行動経済学でわかる「値づけの科学」 (PHP新書)

サブタイトルは、「行動経済学でわかる『値付けの科学』」です。

さまざまな例をあげながら値段の決め方のレクチャーをしてくれています。

参考になります。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

価格競争を避けるためには、高い顧客ロイヤルティを持つお客さんを大切にすることだ。顧客ロイヤルティが高いお客さんは、価格をそれほど気にしない。髙い価値があることが重要と思っているので、少々のことがあっても浮気しない。だから売る側も、まずはお客さんに高い価値を提供し続けることを考えるべきだ。目先の売上拡大を目指しても安売りに走ってはいけない。」(247頁)

価値を優先するか、値段を優先するかは人それぞれです。

価値観にもよりますし、経済力にもよります。

しかし、まず第一に考えるべきなのは、価値を上げて、値段を下げないことです。

値下げは麻薬なので、一度、手を出してしまうと、なかなか元には戻れません。

飲食店の例を出すまでもなく、景気にかかわらず、値段は高いけれど、最高級の料理を出すお店は何か月も先まで予約が取れない状況が続いています。

今後ますます価値を上げて、値段を下げないことが求められると思います。

継続雇用制度24 嘱託契約更新における労働者の更新申込みの有無(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、嘱託契約更新の申込みが否定され、更新拒絶の無効による地位確認請求が棄却された裁判例を見てみましょう。

共同交通事件(札幌地裁平成30年10月23日・労経速2363号42頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に嘱託社員として雇用されていたXが、期間満了に伴うXの本件嘱託契約更新の申込みに対するY社の更新拒絶は無効であると主張して、Y社に対し、嘱託社員契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、不法行為に基づき、平成28年1月から5月までの未払賃金相当額58万9704円+遅延損害金等の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 本件嘱託契約が終了する時点では、新賃金体系に反対する乗務員を含む全乗務員に対し、新賃金体系が適用されていたことからすると、Y社としては、Xが新賃金体系に反対していたからといって本件嘱託契約の更新を拒絶する必要はなかったこと、現に、Xと同様に初回更新を迎えた嘱託社員のうち、契約更新を希望した嘱託社員20名全員につき嘱託契約が更新されているうえ、E及びBは、平成27年11月頃の時点で、Xから本件嘱託契約更新の申込みがあれば、これに応じることを決断していたこと、上記20名全員が嘱託契約の更新に際し、Y社に履歴書を提出しているところ、Xは履歴書を提出していないこと、Xは、本件嘱託契約の終了後、Y社に対し、自身の就労を要求したり、本件嘱託契約が更新されなかったことにつき抗議したりすることはなく、かえって、健康保険証を返還したり、従業員代表の辞任届を提出したり、離職票の発行を要求したりしていること、本件組合も、Y社に対し、Xの就労を要求したり、本件嘱託契約が更新されなかったことにつき抗議したりする内容の書面を提出するなどの措置を執っていないことからすれば、XのY社に対する本件嘱託契約更新の申込みの事実は認められないというべきである。

判決理由を読む限り、XがY社に対して契約更新の申込みを認定することは困難です。

高年法関連の紛争は、今後ますます増えてくることが予想されます。日頃から顧問弁護士に相談の上、慎重に対応することをお勧めいたします。

本の紹介882 筋トレ×HIPHOPが最強のソリューションである(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
筋トレ×HIPHOPが最強のソリューションである 強く生きるための筋肉と音楽

Testosteroneさんと般若さんの本です。

これまでのTestosteroneさんの本と同じく、熱く筋トレの素晴らしさが語られています。

筋トレをしている人にはおなじみの本ですね。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

筋トレは自分との約束なんですよね。健康になるためだったり、自信をつけるためだったり、目的はどうあれ例えば『週に3回は筋トレするぞ!』って自分とお約束するわけじゃないですか?その自分との約束すら守れなかったら、あなたの人生に規律なんて絶対に生まれませんよ。筋トレだけはなく、仕事でもそう。自分で決めたルールを守れない奴は絶対に人生成功しないんですよ。」(31~32頁)

真実です。

だからこそ、体つきを見れば、その人が物事を継続できる人かどうかがわかります。

継続は力なりということは誰もが知っています。

でも、継続できる人はほんの一握りです。

体つきは口ほどに物を言います。

継続は力なり。

未来永劫、継続力こそが最強かつ万能の力だと確信しています。

解雇292 職場内での録音禁止命令への違反と普通解雇(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、職場内での録音禁止命令への違反等を理由とする普通解雇に関する裁判例を見てみましょう。

甲社事件(東京地裁立川支部平成30年3月28日・労経速2363号9頁)

【事案の概要】

1 本訴請求

本訴請求事件は、Y社に期間の定めなく雇用されたXが、Y社に対し、Xに対する平成28年6月27日付け普通解雇は無効であると主張して、Xが労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、平成28年7月分以降の賃金+遅延損害金の支払を求めた事案である。

2 反訴請求

反訴請求事件は、別紙物件目録記載の建物(A寮)を所有するY社が、Xに対し、Xが本件普通解雇によりY社の従業員たる地位を失ったことを前提に、社宅使用契約の終了に基づき、A寮の一室で社宅である別紙物件目録記載の建物部分(本件社宅)の明渡しを求めるとともに、明渡期限の翌日である平成28年7月12日から本件社宅の明渡済みまで1か月9500円の割合による使用料相当損害金の支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

本訴請求はいずれも棄却

Xは、Y社に対し、本件社宅を明け渡せ。

Xは、Y社に対し、平成28年7月12日から前項の明渡済みまで、1か月9500円の割合による金員を支払え。

【判例のポイント】

1 企業にとって納期の遵守が信用の確保などの点で重要であることは、社会通念上明らかであり、被用者は、納期に終了していない業務があるのであれば、定時に帰宅する場合であっても、少なくとも、定時前ないし帰宅前に上司等にその旨を報告し、必要な引継ぎを行うべき雇用契約上の義務を負うものと解される。
しかし、Xは、納期が翌日の業務があるにもかかわらず、それを自分で完成させることも、必要な報告・引継ぎを行おうとすることもなかったばかりか、指導係からの注意にも何ら応答せずに帰宅しているのであって、従業員としてなすべき基本的な義務を怠り、これについての注意や指導を受け入れない姿勢が顕著で、改善の見込みもないといわざるを得ない。このことは、Xが本人尋問において、納期が明朝朝一番に迫っていても残業命令がない限りは定時に帰り、命令がない限りはその旨を報告する必要もないと明言していることからも顕著であり、Y社がこのようなXに任せられる仕事はないなどと判断したのも、やむを得ないものである。

2 Xは、Y社において、就業規則その他の規定上、従業員に録音を禁止する根拠がないなどと主張する。しかし、雇用者であり、かつ、本社及び東京工場の管理運営者であるY社は、労働契約上の指揮命令権及び施設管理権に基づき、被用者であるXに対し、職場の施設内での録音を禁止する権限があるというべきである。このことは、就業規則にこれに関する明文があるか否かによって左右されるものではない
また、Xは、録音による職場環境の悪化について、具体的な立証がないなどと主張する。しかし、被用者が無断で職場での録音を行っているような状況であれば、他の従業員がそれを嫌忌して自由な発言ができなくなって職場環境が悪化したり、営業上の秘密が漏洩する危険が大きくなったりするのであって、職場での無断録音が実害を有することは明らかであるから、Xに対する録音禁止の指示は、十分に必要性の認められる正当なものであったというべきである。
さらに、Xは、Y社において秘密管理がなされていなかったとして、録音を禁止する必要性がなかったなどと主張する。しかし、Y社が秘密情報の持ち出しを放任しておらず、その漏洩を禁じていたことは明らかであり(就業規則7条)、Xが主張するような一般的な措置を取っているか否かは、情報漏洩等を防ぐために個別の録音の禁止を命じることの妨げになるものではないし、そもそも録音禁止の業務命令は、上記によれば、秘密漏洩の防止のみならず、職場環境の悪化を防ぎ職場の秩序を維持するためにも必要であったと認められるのであって、Xの主張は、採用することができない。

3 以上を総合すれば、Xは、もともと正当性のない居眠りの頻発や業務スキル不足などが指摘され、日常の業務においても、従業員としてなすべき基本的な義務を怠り、適切な労務提供を期待できず、私傷病休職からの復職手続においても、目標管理シート等の提出においても、録音禁止命令への違反においても、自己の主張に固執し、これを一方的に述べ続けるのみで、会社の規則に従わず、会社の指示も注意・指導も受け入れない姿勢が顕著で、他の従業員との関係も悪く、将来の改善も見込めない状況であったというべきである。
これによれば、Y社が「著しく仕事の能率が劣り、勤務成績不良のとき」及び「その他前各号に準ずる程度のやむを得ない事由があるとき」(就業規則79条4号、9号)に該当するとして行った本件普通解雇は、客観的に合理的な理由を欠くとも、社会通念上相当でないとも認められない。したがって、本件普通解雇は、解雇権を濫用したものとはいえないから、有効というべきである。

録音禁止命令については特段の事情がない限り、使用者が業務命令として行うことが認められます。

また、解雇事件において、労働者が社宅に居住し続けながら訴訟を行う場合、本件のように反訴を提起されます。解雇が有効となった場合には、遡及して賃料支払義務を負いますので注意が必要です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介881 売れないものを売る方法?そんなものがほんとにあるなら教えてください!(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください! (SB新書)

マーケティング、ブランディングの本です。

具体例がたくさん載っているので、とてもわかりやすいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

本気になってトライすると、すぐに成功しなかったとしても、現場に何らかの『熱』が生まれていきます。現場に『熱』があるかどうかは、商品を売るとき、机上の『マーケティング戦略』よりもはるかに重要なものです。世界を変える発明も発見も、大抵はたった1人の『熱』から生まれます。・・・売り手に『熱』がなければ、人は買いたい気持ちになんてなりません。」(202~203頁)

そのとおり。

誰から買いたいかと問われれば、自分の仕事に対する情熱がある人から買いたいです。

仕事を惰性でやっている人から誰が買いたいでしょうか。

仕事を好きか嫌いかを判断する1つの目安が、「ため息」と「愚痴」の多さです。

好きなことをやっているときにため息をつく人がいるでしょうか。愚痴を言う人がいるでしょうか。

ため息ばかりついている人と誰がお付き合いしたいと思うでしょうか。

こういう人は、自分がため息の多さになかなか気づきませんし、周りの人もわざわざ指摘することもないため、自分がどうして売れないのか気づかないのです。

不景気のせいにしたくなる気持ちはわからないでもありませんが、実際は景気が原因ではありません。

原因は常に自分自身にあります。

有期労働契約86 育休後の有期雇用契約への変更、その後の雇止めは許されるか?(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、育児休業後の有期雇用契約への変更、その後の雇止め等が無効とされた裁判例を見てみましょう。

フードシステム事件(東京地裁平成30年7月5日・労経速2362号3頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に期間の定めなく雇用され、事務統括という役職にあったXが、自身の妊娠、出産を契機として、Y社の取締役であるC及びY社の従業員から、意に反する降格や退職強要等を受けた上、有期雇用契約への転換を強いられ、最終的に解雇されたところ、上記降格、有期雇用契約への転換及び解雇がいずれも無効であるとして、主位的請求として、Y社に対し、事務統括としての雇用契約上の権利を有する地位にあること及び25日間の年次有給休暇請求権を有することの確認、平成28年10月から本判決確定まで、別紙1記載の金員の支払を求めるとともに、解雇後の月例賃金、事務統括手当月額1万円及び賞与として毎年7月に20万円、毎年12月に40万円の支払+遅延損害金の支払を求めるとともに、上記解雇等がXに対する雇用契約上の就労環境整備義務違反又は不法行為に当たるとして、Y社らに対し、民法415条及び民法709条等に基づき、連帯して、解雇時までの未払事務統括手当相当額合計18万5000円、未払賞与相当額合計180万円及び慰謝料300万円の合計498万5000円の支払+遅延損害金の支払を求め、さらに、期間の定めのない雇用契約であることが否定された場合の予備的請求として、有期雇用契約に基づき、Y社に対し、有期雇用契約上の権利を有する地位、年次有給休暇日数の確認、平成28年10月から本判決確定まで、別紙2記載のとおりの雇止め以降の賃金の支払+遅延損害金の支払を求めるとともに、主位的請求と同様に、上記雇止め等が債務不履行又は不法行為に当たるとして、Y社らに対し、民法415条又は709条等に基づき、連帯して、慰謝料300万円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

Xが、Y社に対し、事務統括たる期間の定めのない雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。

Y社は、Xに対し、本件解雇以降の月例賃金(月額21万2286円)及び事務統括手当(月額1万円)の支払、並びに、不法行為に基づく損害賠償としてイ社yろう50万円等を支払え。

【判例のポイント】

1 Xは雇用形態または雇用契約上の地位の確認を求める訴えを提起しているものの、この点が確定されたとしても、年次有給休暇の肯否及び日数について確定するためには、Xの継続勤務年数がY社とXとの間の雇用契約に引き継がれたかという点についても判断する必要があるから、雇用契約上の地位とは別に、Xの年次有給休暇請求権の有無を確定して紛争を抜本的に解決するためには、同請求権を直接確認の対象としてその存否を既判力をもって確定することが有効かつ適切というべきである。

2 労働者が使用者に使用されてその指揮命令に服すべき立場に置かれており、当該合意は、もともと所定労働時間の短縮申出という使用者の利益とは必ずしも一致しない場面においてされる労働者と使用者の合意であり、かつ、労働者は自らの意思決定の基礎となる情報を収集するの応力にも限界があることに照らせば、当該合意の成立及び有効性についての判断は慎重にされるべきである。そうすると、上記短縮申出に際してされた労働者に不利益な内容を含む使用者と労働者の合意が有効に成立したというためには、当該合意により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、労働者が当該合意をするに至った経緯及びその態様、当該合意に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等を総合考慮し、当該合意が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要であるというべきである。

3 Xが、Xに対し、第1子出産後の平成26年4月に復職する際、時短勤務を希望したことについて、実際には嘱託社員のままで時短勤務が可能であったものであり、育児休業法23条に従い、嘱託勤務のままで所定労働時間の短縮措置をとるべきであったにもかかわらず、パート契約でなければ時短勤務はできない旨の説明をした上で、Xの真に自由な意思に基づかないで、嘱託社員からパート社員へ雇用形態を変更する旨のパートタイム契約を締結させ、事務統括から事実上降格したことは、同法23条の2の禁止する不利益取扱いに当たり、不利益の内容や違法性の程度等に照らし、Xに対する不法行為を構成する。

4 次に、Cが、Xの第2子妊娠に際し、D課長を通じて、Xの産休、育休取得を認めない旨を伝えたことに加え、Xは引き続きY社において就労を希望しており、その希望に反することを知りながら、平成27年3月30日、多くの従業員が出席し、Xも議事録係として出席した定例会において、Xが同年5月20日をもって退職する旨発表したことはCにおいて、第1子出産後の復職の際にパートタイム契約に変更しなければ時短措置を講じることができないとの態度をとり、更に第2子についての産休、育休取得を認めない態度を示していたこと等の事情を総合すると、Xに対して退職を強要する意図をもってしたものであると認められるから、産前産後の就業禁止を定める労基法65条に違反するとともに、妊娠出産に関する事由による不利益取扱いの禁止を定める男女雇用機会均等法9条3項にも違反する違法な行為であり、不利益の内容や違法性の程度等に照らし、Xに対する不法行為を構成する

このような事件では、判決により支払を命じられた金額よりも、レピュテーションの問題の方がはるかに大きなダメージがあります。

適切に労務管理を行うことは、今後ますます重要性を増してくることは言うまでもありません。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。