おはようございます。
今日は、元教諭の未成年者との性交渉等を理由とする解雇に関する裁判例を見てみましょう。
学校法人日本体育大学事件(東京地裁平成30年6月19日・労判ジャーナル81号48頁)
【事案の概要】
本件は、平成25年4月1日、Y社が、期間1年の常勤講師として雇用し、その期間満了後の平成26年4月1日、期間の定めのない専任教諭として雇用した元教諭Xを、未成年者との性交渉をもつ行為等、Y社との間の信頼関係を破壊する事項があったとして平成27年3月31日限り、Xを解雇したため、Xが、Y社に対し、上記解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないものであり、権利を濫用したものとして無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、上記解雇の翌月である平成27年4月から本判決確定の日まで弁済期である毎月20日限り賃金1か月約38万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xには、Y社から雇用されるに先立ち、現職の教員であったのに、街中でたまたま見かけた約20歳年下の未成年の女性に声を掛け、その3日後には同女性と性交渉を持つに至ったという、Y社がその教員としての適性を疑ってしかるべき行為があり、その後、そのような事実がY社の知るところとなり、本事件は、報道機関により広く報道され、インターネット上の掲示板においては、本事件に関してXの実名も掲載されており、Xは、Y社に雇用されるに当たって提出した本件志望書中において、Y社がXの採否を判断するに当たり関心を持ってしかるべきW高校の退職事由につき、解雇されたとの事実を隠したのみならず、自発的な辞職であったと積極的な偽りを故意に記載し、その後の別件訴訟の結果等について、真実に反する自己に有利な内容虚偽の説明をしたものであり、Y社はこれらの事情を踏まえてXを解雇したものであるから、本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠くものとはいえず、社会通念上相当であると認められないものともいえないのであって、権利を濫用したものとして無効であると解することはできない。
特に異論のない結果ではないでしょうか。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。