おはようございます。
今日は、管理監督者の該当性に関する裁判例を見てみましょう。
MUKU事件(大阪地裁平成30年7月20日・労判ジャーナル81号32頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の元従業員Xが、Y社に対し、労働基準法37条に基づき、平成27年3月から平成29年2月まで毎月20日を支払期日とする割増賃金合計約398万円等の支払を求めるとともに、労働基準法114条に基づく付加金として約379万円等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
一部認容
【判例のポイント】
1 アルバイトや正社員の採否や昇給等の最終的な決定は、全てY社代表者が行っていたというのであるから、Xが行った募集媒体の提案等は、実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの職務及び権限とは認められず、また、Xは、自らを含む本件店舗の従業員のシフト表を作成し、自らもこのシフト表のとおりに勤務していたことが認められるが、Xによるシフト表の作成方法は、Xが本件店舗の店長に就任した平成28年2月以降も、Xの拘束時間が相当長時間に及んでいることに照らせば、Xが自分の都合に合わせてシフト表を作成することができる状況にあったとは認められないから、Xは、本件店舗の店長に就任後、自己の労働時間についての裁量を有していたとは認められず、そして、店長就任後のXの給与の額が、管理監督者の地位にふさわしいものであると評価することはできないこと等から、本件店舗の店長に就任した後のXが、実質的に経営者と一体的な立場にあるとはいえず、労働基準法41条2号所定の管理監督者に当たるということはできない。
今は昔の論点です。
本件でも管理監督者性は否定されています。
管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。