おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、定年退職後再雇用を希望する組合員に対し、定年前人事考課が低く再雇用基準を満たしていないとして再雇用しなかったことを不当労働行為とした事案を見てみましょう。
医療法人社団更正会事件(中労委平成30年3月7日・労判1187号90頁)
【事案の概要】
本件は、定年退職後再雇用を希望する組合員に対し、定年前人事考課が低く再雇用基準を満たしていないとして再雇用しなかったことを不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 本件二段階引下規定は、人事考課表不提出者に対して、最終評価ランクの決定の段階で目標評価3項目を既にマイナス16点という不利な評価をしたことに加えて、最終評価を二段階引き下げるという二重に不利な評価を行うものである。そしてその不利な評価は、給与額や賞与額という重要な労働条件のみならず、定年後の再雇用にも重大な不利益を及ぼすものである。本件二段階引下規定は、このように広範かつ重大な不利益を生じさせるものであるが、その重大な不利益を緩和する段階的な適用や措置は想定されていない。
2 このような本件二段階引下規定が導入されたのは、組合がA1支部結成以来一貫して人事考課制度に反対して情宣文書の配布やストライキ等の闘争を行い、遂には人事考課表提出拒否闘争を行うに至ったことを契機とするものであり、人事考課制度をめぐる労使関係の対立が顕著となる中で行われたものであった。そして、単に人事考課表の提出拒否を防止するための措置というには不相当に重い本件二段階引下規定を、何らの段階的適用や緩和措置を検討することなく導入するにあたって、法人は、本件二段階引下規定の適用対象者が事実上、組合員のみであることを、上記経緯から、十分に認識していたといえる。
3 以上からすると、同規定は、組合の人事考課制度に対する反対運動を嫌悪した法人が、人事考課表を提出しない組合員を狙い撃ちにして殊更に重い不利益を与え、特に再雇用との関係では、同規定の適用によって、再雇用拒否により組合員が法人から排除される結果をもたらすことを認識・認容した上で定めたものと認めるのが相当である。
法人側の気持ちも理解はできますが、このようなやり方では不当労働行為と評価されてしまうのも仕方ありません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。