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今日は、工場長が委員長となっている支部の適法性に疑義があるなどとして、支部の申し入れた夏季一時金等に関する団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事案を見てみましょう。
東部重工業事件(千葉県労委平成30年3月14日・労判1185号91頁)
【事案の概要】
本件は、工場長が委員長となっている支部の適法性に疑義があるなどとして、支部の申し入れた夏季一時金等に関する団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為に該当するかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる。
【命令のポイント】
1 工場長の人事労務に関する権限等について、会社は、工場長には人事権限があり、その内容は、採用、配置、賞与考課など、人事の直接的権限ないし、労働関係に関する機密に接するものである旨主張するが、期末評価実施要領によれば、工場長は、副工場長以下の従業員の一時評価者に位置付けられているものの、その二次評価者として部長がおり、最終評価者は役員会となっている。
また、・・・A委員長が採用面接に参加したことや、当時の工場長及び副工場長が部下の賞与考課を行っていることは認められるものの、工場長の判断により、採用や賞与考課が決定されるとの事実を認めるに足りる証拠はない。
2 したがって、会社において、工場長は人事に関する事務に従事するものの、決定権限の行使につき補助的・助言的地位を超えて、人事の直接的権限を有しているとまでは認められず、その他、使用者の利益を代表する者として、その参加を認めることによって、労働組合の自主独立性を損なうものとなるような重大な権限や責任を有していたと認めるに足りる事実はない。
よって、工場長の職にある者を労組法第2条ただし書第1号に該当する使用者の利益を代表する者と認めることはできない。
上記命令のポイント2の考え方は理解しておく必要があります。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。