おはようございます。
今日は、固定残業代に関する規定の有効性を否定し、割増賃金請求を認容した裁判例を見てみましょう。
PMKメディカル事件(東京地裁平成30年4月18日・労経速2355号18頁)
【事案の概要】
本件は、Y社の従業員であったXらが、Y社に対し、労働契約に基づき、時間外労働等に対する未払割増賃金+遅延損害金、付加金の支払を求めている事案である。
【裁判所の判断】
請求の一部認容
【判例のポイント】
1 入社説明会でX1に交付した書面に特殊勤務手当及び技術手当が、時間外労働に対する対価として支給されることを窺わせる記載が一切ないこと、Y社の入社時、Xらの労働条件に関する書面は一切作成されていないこと、Y社が、ホームページの採用情報の給与欄に、本件固定残業代の説明をするようになったのは、平成28年7月以降のことであること、Y社らが当初証人Fの陳述・供述と代表者の陳述・供述と整合しない主張をしていたこと、本件固定残業代に関する規定が、XらとY社らとの間の労働契約の内容として合意されていたことを裏付ける的確な証拠は存在しないことなどから、本件固定残業代に関する規定が、XらとY社らとの間の労働契約の内容として合意されていたと認めることはできない。
2 民法153条の催告とは、債務者に対し履行を求める債権者の意思の通知であり、当該債権を特定して行うことが必要であると解されるところ、本件通知には、「5.賃金の未払いについて(1)早出、休憩未取得、残業、休日出勤等に対して、未払いである賃金を支払うこと。」との記載があり、未払賃金の履行を請求する意思があることは明らかである。
本件通知は、民法153条の催告に当たり、Xらは本件通知後、6か月以内に本件訴えを提起しているから、これにより、Y社らが主張する消滅時効は中断している。
固定残業制度に関する裁判例です。
上記判例のポイント1の状況では、まず認められません。
残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。