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今日は、事前承認のない休日出勤中の事故後の解雇と労基法19条1項に関する裁判例を見てみましょう。
日本マイクロソフト事件(東京地裁平成29年12月15日・労判1182号54頁)
【事案の概要】
本件は、Y社と雇用契約を締結したXが、Y社に対し、平成25年6月29日付け解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 AがXに対して同月9日の休日出勤を指示したとはいえないものの、事前承認を得ずに勤務することの多いXが同月9日から同月11日までの間に宿題提出のために作業すること、すなわち休日出勤をすることは想像に難くなく、許容していたといえる。そうすると、Xは、業務遂行のためY社の支配下にある事業場で本件事故に遭ったと認められ、業務起因性があるといえる。
2 本件事故があったとされる平成25年2月9日からY社が本件解雇を通知し以後の就労を免除した同年5月29日までの間において、Xは、午前休や全休を取得したと主張するが、Xの主張する日は、所定休日あるいは、所定労働日に所定労働時間7.5時間以上の勤務実績がある日であり、休業の事実が認められない。
したがって、労働基準法19条1項の解雇制限の適用はない。
3 Xは、形式的に休業していなかったとしても、身体的状態として本来欠勤して療養すべき健康状態にあった以上、労働基準法19条第1項の解雇規制が直接適用ないし類推適用されるべきであると主張する。
しかし、労働基準法19条1項はあくまで業務上の傷病の「療養のために休業する期間」の解雇の意思表示を禁止している規定であることは文理上明らかであるから、Xの上記主張は採用しない。
労基法19条1項の解雇制限は、あくまでも「療養のために休業する期間」についてのものなので、休業していない場合には同条の適用はありません。
解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。