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今日は、組合機関誌を配布した組合役員5名に対し、回収の指示に従わず、真面目な反省と謝罪がないとして自宅待機を命じたことが不当労働行為とされた事案を見てみましょう。
市川学院事件(兵庫県労委平成30年2月22日・労判1180号154頁)
【事案の概要】
本件は、組合機関誌を配布した組合役員5名に対し、回収の指示に従わず、真面目な反省と謝罪がないとして自宅待機を命じたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 組合機関誌は、いずれも終業時刻後という、生徒が職員室等に入室する頻度が比較的少ない時間帯に、生徒の目に触れにくい方法で配布されており、生徒に対する教育的配慮がなされているものと認められる。
2 Y社は、2年前の署名依頼文書の件以来、組合に対して、組合機関誌の配布を自粛するよう繰り返し要請しているが、この自粛要請の趣旨について前記のとおり、理事長が本件審問において明確には供述していないことに加え、自粛要請に従わずに配布した「X2○号」を配布直後にY社が自力で回収するという所為に出たことを併せ考えると、Y社による自粛要請は、実質的には校内における一切の組合機関誌の配布を禁止する趣旨であると解される。したがって、組合機関誌の配布がY社の業務運営上も生徒に対する教育的配慮の上でも問題があるとは認められないにもかかわらず、Y社が取った一連の対応は、反組合的動機に基づくものと言わざるを得ず、組合を嫌悪し、組合の弱体化を狙ってなされたものであると認められ、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に該当する。
3 本件自宅待機命令は、平成28年9月12日に解除されたが、本件自宅待機命令によりA1ら5人が被った精神的不利益は回復されておらず、また、Y社が解除した理由は、A1ら5人に対する自宅待機命令を維持したままにすると授業に支障を来すからであって、本件自宅待機命令が不当労働行為に該当することを認めたためではないことからして、Y社は、今後も組合機関誌の配布に理事長の承認を要求し、承認なく配布した場合、自宅待機命令等の不利益取扱いや組合に対する支配介入を繰り返すおそれは消えていないので、未だ救済の必要性が失われたとは言えない。
上記命令のポイント3は参考になりますね。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。