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今日は、定年退職後の労働条件に合意しなかった組合員の再雇用を拒否したことが不当労働行為とされた事例を見てみましょう。
H社事件(東京都労委平成29年12月19日・労判1178号91頁)
【事案の概要】
本件は、定年退職後の労働条件に合意しなかった組合員の再雇用を拒否したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 Y社は、Aの再雇用労働条件について、組合との間で実質的な交渉を行わないまま、Y社の提示した条件に固執し続け、再雇用契約の開始日を迎えても、暫定的に再雇用契約を締結した上で雇用条件について組合と継続協議する旨の提案も拒否したものである。
組合が、Y社の提示するAの再雇用労働条件は、正社員当時と比べて大幅に低下しており、生活に困窮する旨を再三述べていることからすれば、その根拠の提示を求めて継続協議を要求するのは当然の対応であるというべきである。
それにもかかわらず、Y社が、継続協議すら拒否したのは、結局、Aの再雇用労働条件について組合と実質的な交渉を行うことを嫌い、組合がY社の提案を無条件で受け入れなかったために、同人と再雇用契約自体を締結しないという不利益な取扱いをしたものといわざるを得ない。
そうすると、Y社がAを再雇用しなかったのは、同人が組合を通して労働条件の向上を図ろうとしたためであるというほかはなく、それは、同人が労働組合の正当な行為をしたこと故の不利益取扱いに当たるというべきである。
団体交渉では使用者に妥結義務まではありませんが、合理的な理由を説明する義務は負いますので注意しましょう。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。