Monthly Archives: 7月 2018

本の紹介820 仕事も人生も娯楽でいい(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
仕事も人生も娯楽でいい (宝島社新書)

堀江さんのこれまでの本やメルマガの寄せ集めです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『貯金がないと不安だ』と思う人は多い。なぜ不安なのか?僕の答えは一つ。自分に自信がないからだ。自信がないから将来の自分が不安になる。その不安を、貯金で穴埋めしようとする。根底にあるのは、カネさえあればどうにかなる、というお金への妄信だ。もしも自分に自信を持っていたら、手元のお金は広い意味での『投資』に回すだろう。たとえば毎月3万円を貯金する人と、毎月3万円をなんらかの自己投資に充てている人と、どちらの将来に可能性を感じるかといえば後者だ。」(101頁)

同感。

毎月3万円貯金すると1年後に36万円。10年後には360万円になります。

まあ、それはそれでいいのですが、36万円を自分のスキルアップのために投資すると、結果として、毎月10万円貯金できる収入を得られるようになるかもしれません。

毎月10万円貯金すると1年後に120万円。10年後には1200万円になります。

自分を労働力の提供者と捉えるのではなく、商品として捉える。

スキルアップを目指して努力することはすなわち、自分という商品の価値を高めることにほかなりません。

人が休んでいるときに自分の価値を高める努力をするのです。

僕ら凡人が結果を出すにはこれしかありません。

管理監督者38 管理監督者性が認められることはほとんどありません(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、経営に関する権限を相当程度有した労働者の管理監督者性に関する裁判例を見てみましょう。

エルライン事件(大阪地裁平成30年2月2日・労判ジャーナル74号54頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の従業員Xが、Y社に対し、平成25年12月16日から平成28年6月15日までの時間外労働、法定休日労働及び深夜労働に係る割増賃金合計951万1420円等の支払並びに労働基準法114条所定の付加金等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

管理監督者には当たらない。

【判例のポイント】

1 Xについては、担当するグループの経営に関する権限を相当程度有し、それなりに高額な賃金を支給されるなど、管理監督者性を肯定する要素も認められるものの、その権限には一定の制約があった上、業務命令により容易に覆されるものであったことも踏まえると、Xが実質的に経営者と一体的な立場にあったとまでいうことはできず、出退勤の自由や待遇の点からみても、労基法上の労働時間等に関する規制による保護が不要であるということはできないから、Xが管理監督者に該当すると認めることはできない。

2 Y社は、Xが管理監督者であると認識して時間外手当等の支給対象外としていたものと認められるところ、Y社の法令解釈は結論として誤っていたといわざるを得ないが、Xの管理監督者性を肯定する要素も一定程度認められ、また、仮にXが管理監督者に該当するとしても、Y社は深夜労働に対する割増賃金の支払義務は免れないところ、本件においては、Xに対し、深夜労働に対する割増賃金の額を超える月額3万円の固定残業手当が支給されていることから、Y社が、Xは管理監督者に該当すると認識し、Xに対する割増賃金を支払わなかったことにも相当の理由があったと認められ、Y社による不払の対応が悪質であったということはできないから、本件において、Y社に対し付加金の支払を命ずるのは相当でない

なかなか管理監督者性のハードルは高いのです。

また、上記判例のポイント2に書かれているように、管理監督者に該当する場合でも、深夜労働に対する割増賃金は支払う必要がありますのでご注意ください。

管理監督者性に関する対応については、会社に対するインパクトが大きいため、必ず顧問弁護士に相談しながら進めることをおすすめいたします。

本の紹介819 愚か者の品格(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
愚か者の品格

なんと表現したらいいのか難しい本です(笑)

内容は、他の本と同様、著者の意見が全面に出ています。

私は嫌いではありません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

人と人とは助け合いなのだが、助けてもらえない人は、謙虚ではなく自惚れている。そしてサボっていることで決定している。また身なりが汚いとか、そう、とにかく一生、不幸な人生を歩んでいる人は男女問わず、『努力不足』なのだ。『努力不要』という頭のおかしな自己啓発に触発されて、能天気に生きていたら、五十歳で無知の自分に絶望することだろう。」(108頁)

いつもながら手厳しいです。

幸か不幸かはさておき、結果を出せているかどうかは、多くの場合、十分な努力をしているかどうかで決まります。

「私なりに努力したつもりです」という表現で言えば「私なり」の質と量の違いが結果に出ているのです。

粘り強さであったり、がむしゃらさの程度が結果にそのまま出ていると思うほかありません。

人よりも1時間早く起きて勉強をする。

それを毎日続ける。

こういうことができるようになれば、必ず人生は変わります。

そう信じてやり続けるしかないのです。

解雇274 休職期間満了時の復職の可否の判断方法(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、休職期間満了後の退職扱いに関する裁判例を見てみましょう。

名港陸運事件(名古屋地裁平成30年1月31日・労判ジャーナル74号62頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の元従業員Xが、業務外の傷病を理由にY社から休職命令を受けていたところ、休職期間の満了に当たり、傷病から治癒し休職事由が消滅したことを理由に復職の申出をしたにもかかわらず、Y社がXの復職を認めずXを休職期間満了により退職扱いとしたことは違法無効であると主張して、XがY社に対し労働契約上の権利を有する地位にあることの確認、休職期間満了日の翌日からの未払賃金の支払等を求めた事案である。

【裁判所の判断】

退職扱いは無効→地位確認認容

【判例のポイント】

1 Xが復職を希望した平成27年9月から10月当時のXの健康状態については、徐々に快方に向かっていて、遅くとも同年9月末頃の時点では、服薬をせずとも症状は落ち着いており、日常生活には支障のない健康状態にあったということができること等から、Xの健康状態については、本件診断書のみならず、休職事由となった私傷病の内容や症状・治療の経過、Xの業務内容やその負担の程度、Xの担当医やY社の産業医の意見等を総合的に斟酌し客観的に判断すれば、遅くとも休職期間の満了日である同年10月20日の時点では、日常生活に支障がないというにとどまらず職務遂行の可能性という観点からも、1日8時間の所定労働時間内に限ってではあるが、私傷病から「治癒」すなわち「従来の業務を健康時と同様に通常業務遂行できる程度に回復」しており、本件休職命令における休職事由は消滅していたものと認めるのが相当である。

2 確かに、本件においては、R病院の診療録中の医師の記載内容や産業医の意見等からすれば、Xが、胃の全摘出手術後、医師の専門的見地から客観的に見れば、必要以上に長期間にわたってR病院に入院及び再入院してきたとうかがわれなくもないが、本件休職命令における休職事由は「胃癌術後状態の療養及び治療への専念」であって、入院治療に限られるわけではなく自宅療養も含むものといえ、そして、Xがあえて事実と異なる症状を申告するなどして意図的に入院治療や自宅療養を引き延ばして欠勤してきたとまでは認め難く、Xが休職期間の満了直前になって復職を申し出たことが信義則に反し許されないものと解すべき事情があるということはできないから、Xの復職の申出が本件就業規則所定の要件を満たしていることを理由とするXの地位確認の請求は理由がある。

3 Y社は、Xからの復職の申出を踏まえて、平成27年9月14日に取締役や社労士らがXと面談した際には、少なくともXの段階的な復職を認める方向の発言をしていたものであるが、その後、産業医や医師から、Xの復職申出の時期に疑問を呈する内容の意見を聴取するや、改めてXと面談したり、就業規則に従ってY社の指定する医師への受診をXに命じることもなく、また、Xの復職時期等についての名古屋ふれあいユニオンからの説明要求にも応じないうちに、Xにとってみればおそらく唐突に、同年10月20日をもってXを退職扱いとしたものであるということができ、Y社の対応は、Xの復職に関する判断を誤ったというにとどまらず、手続的な相当性にも著しく欠けるものであって、その限度において、不法行為に当たるものといわざるを得ず、その慰謝料額としては、Y社がXの復職を拒否したことを無効と認めてXが労働契約上の権利を有する地位にあることを確認し、未就労の期間の賃金の支払を命ずることによって、Xの経済的損失はおおむねてん補されるといえること等の事情も考慮すれば、30万円が相当である。

上記判例のポイント3は参考にしてください。

このような事例で、手続的な相当性を著しく欠いているという理由から慰謝料が認められる例は珍しいです。

対応方法については顧問弁護士に相談をして決定しましょう。

本の紹介818 時代に迎合しない男の極意(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、本の紹介です。
時代に迎合しない男の極意

サブタイトルは、「快楽的成功をつかむ方法」です。

著者の言う「快楽」の意味は本を読まないと正確に理解することはできません。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

・・・その趣味に時間を費やし、使う小銭は大金にはならず、男が向上することはない。趣味がなくてはつまらない生活にしてしまったのは、あなたが天才を拒絶してきて、庶民の暮らしに依存してきたからに他ならない。月の三万円の小遣いで済む遊びがあなたの趣味。仕事の疲れを取るため、家族と団欒するため。そこに、『渇望』はなく、必死になることもない。趣味とは安易に手に入るものだ。一方の快楽は安易には手に入らない。成功を目指す者は快楽を得ようとするから強い。凡人は目の前の安いものを趣味として買う。天才は、遠くにある高価なものを快楽のために買う。」(86頁)

なかなか手厳しいですが、真実だと思います。

楽で楽しいことに慣れてしまうと、何かを必死に追い求めることができない体になってしまうような気がします。

そのため、ある日突然、何かに挑戦しなければならない状況になった場合、体が言うことを聞かないのです。

結果を出せるかどうかは、日々、どのような選択をしているかが大きく影響します。

楽な方を選ぶか、苦しい方を選ぶか。

その積み重ねが結果として出るのだと確信しています。

不当労働行為198 組合員の定年延長の不適用と不当労働行為(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、変更した就業規則を適用して、労組委員長Xを定年退職としたこと、もしくは73歳までの定年延長をXに適用しなかったことが、いずれも不当労働行為に当たらないとされた事案を見てみましょう。

ツクイ事件(茨城県労委平成29年10月19日・労判1176号92頁)

【事案の概要】

本件は、変更した就業規則を適用して、労組委員長Xを定年退職としたこと、もしくは73歳までの定年延長をXに適用しなかったことが、それぞれ不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

いずれも不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 送迎職員満70歳定年制は、Y社が、A組合結成前の25年1月1日に導入することとし、同日、施行されたのであり、そしてそれが、3年4か月後の28年4月30日、X委員長が満70歳となったことによって、X委員長に適用されて、当然に退職、すなわち以降、契約の更新はしないとされたものである。
そうすると、全国的に通所介護事業を展開するY社にあって、全国の事業所に適用される本件就業規則に・・・送迎職員満70歳定年制を導入し、それをX委員長に適用したことについて、これをX委員長がA組合の組合員であるとの理由からとすることはできない
よって、A組合からのY社による満70歳定年制導入とそのX委員長への適用の取消を求める申立ては棄却せざるを得ない。

2 Y社においては、X委員長の起こした車両接触事故に対し懲戒等の処分がなされておらず事故報告にとどまるなど、車両接触事故に対し比較的寛容であり、また、模範運転者について明確な定義規定はなく、所長の裁量によるところが大きいとしても、X委員長の運転技量や健康状態に照らし、模範運転者に該当しないとして同人に定年を延長しなかったY社の判断を不合理とは言い難い
上述のごとく、X委員長が「模範運転者」に該当すると言えない以上、X委員長に満73歳までの契約更新を適用しなかったことをもって労働組合法第7条第1号該当の不当労働行為とすることはできない。

特段会社の対応が不合理とはいえないため、不当労働行為にはあたりませんでした。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介817 35歳 その後を決める男の生き方(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、本の紹介です。
35歳 その後を決める男の生き方 (中経の文庫)

里中さんの本です。

内容がおもしろいので手当たり次第に読んでいます(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

成功こそが人生最高の『快楽』だ。・・・しかし、快楽を得るためには、犠牲にしないといけないものがある。それは『時間』だ。仕事、勉強、研究に、時間を費やさないと成功しない。遊んでいる暇はない。そのため、体は悲鳴をあげる。運が悪ければ35際でも死ぬ。早死にしてはいけない。だが、成功を放棄してもいけない。男は、どうやって生きていくべきか。覚悟するしかないのだ。『死』を。それはあなたを絶対に強くする。」(142頁)

限られた時間の中で結果を出そうとする限り、趣味に没頭している余裕はありません。

「趣味は何ですか?」という質問をされると答えに困ります・・・。

趣味は仕事を引退してからと決めています。

結果を出すためには情熱と時間を注がなければなりません。

それを続けられるかどうか。 ただそれだけです。

解雇273 解雇事由の調査不足と解雇の相当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、試用期間満了による解雇に関する裁判例を見てみましょう。

社会福祉法人佳徳会事件(熊本地裁平成30年2月20日・労判ジャーナル74号50頁)

【事案の概要】

本件は、認可保育園「かえでの森こども園」を設置運営するY社との間で雇用されていた元保育士Xが、Y社がした試用期間満了による解雇、その後の懲戒解雇及び普通解雇並びに期間満了による雇止めはいずれも無効であると主張して、Y社に対し、労働契約上の地位の確認を求め、試用期間満了による解雇日の翌日である平成28年7月1日以降分の賃金支払請求権に基づき、同年8月から本判決確定の日までの1か月あたりの賃金19万6400円等の支払いを求めるとともに、XはY社からXを退職に追い込むことを目的とした嫌がらせ等を受けた等、本件違法な解雇により精神的苦痛を生じたと主張して不法行為に基づく損害賠償として130万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

解雇無効

【判例のポイント】

1 Y社は、Xの合志市役所への相談、合志市役所へのメール送信、熊本県への訪問について、Y社に不利益となる行為を取り続けており、Y社の企業秩序を破壊する行為を継続し、改善の余地はなく、懲戒解雇として相当である旨主張をしているが、合志市役所への相談が企業秩序を破壊する行為とはいえず、熊本県への訪問についても当該事実を認定できず、そして、合志市役所へのメール送信も、秘密の漏洩やY社の信用毀損等は認められないこと、職場の混乱についても、Y社の業務量が増えたというもので、企業秩序の破壊の程度が重大とはいえないこと、Xに企業秩序の維持の破壊の意図までは認められず、調査不足という過失により生じた結果であること、当該行為がXの解雇後の行為で、事前に職場で相談できない状況であったことを踏まえると、Y社が、他の懲戒の履行をせずに、直ちに懲戒解雇とすることは合理性を欠き、社会通念上相当とはいえないから、当該解雇は解雇権の濫用として無効である。

2 普通解雇についても、Xの各就業規則違反について、Y社が改善、指導を行った事実は認められず、勤務成績が不良で保育士としての就業に適さないとまでは認められないから、解雇権の濫用として無効である。

解雇事由の調査不足の結果、解雇事由が認定されないという流れにならないようにしなければなりません。

解雇を検討する際は、冷静にエビデンスの収集・評価をすることが必要です。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介816 一流の男が絶対にしないこと(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
一流の男が絶対にしないこと

著者の本はいつもおもしろく刺激的なので楽しく読んでいます。

私はとても好きです。 好みが分かれるかと思いますが(笑)

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

日本にいて、ほかの日本人と違うことをすると、非常にリスクが高くなる。あなたは、料理ができて、イクメン志望で、浮気は絶対にしないと誓って、AVはこっそり見て、妻に給与振り込みの管理を任せて、何もかも、ほかの男たちと同じように生きれば、結婚できて、『幸せ』と言えるのだろう。それも悪くない。私は軽蔑しているが、悪くない。とっても道徳的だし、女性に無害だ。だが、あなたはいったい誰なんですか。誰なんですか。名前はついているけど、いったい誰なんですか。誰なんですか・・・。」(82頁)

(笑)

同感すぎて特に付け加えることはありません(笑)

解雇272 即時解雇通知の法的効果(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、労基法20条に反する解雇通知が30日経過時点で有効とされた裁判例を見てみましょう。

雄武町事件(旭川地裁平成30年3月6日・労経速2343号24頁)

【事案の概要】

本件は、Y社に地方公務員法22条1項に基づき条件付きで採用され、Y社が設置しているX病院に技師(医師)として勤務していたところ、条件付採用期間の勤務成績を不良と判断されて雄武町長から本件免職処分を受けたXが、Y社に対し、本件免職処分は違法であると主張して、行政事件訴訟法3条2項に基づき、本件免職処分の取消しを求めるとともに、違法な本件免職処分により精神的苦痛を受け、転居を余儀なくされるなどの損害を受けたと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、①慰謝料、転居費用、弁護士費用等合計654万8318円+遅延損害金、並びに②同年6月1日から本件判決確定の日までの間、転居後の住居とそれまで居住していた職員住宅の賃料差額として月額8万2548円の割合による金員の各支払を求める事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 以上を前提に、条件付採用期間におけるXの勤務成績について検討すると、Xは、わずか6か月の条件付採用期間中の医療過誤に繋がりかねない誤りを複数回にわたって犯した上、医師が行うべき業務を、合理的な理由もないのに行わなかった。また、Xは、医師、あるいは医長として、他の職員に対して指揮命令をすべき立場にありながら、合理的な理由もなく、看護師を怒鳴りつけ、詰め寄るなどした。更に、Xは、本件病院の他の職員に対して協調性をもって接するべきであるにもかかわらず、職員に体当たりをし、詰め寄るなどの行為に及んだのであって、これらの事実からすれば、条件付採用期間におけるXの勤務成績は不良であったといわざるを得ない。

2 本件免職処分によりXが免職されるものとされた平成28年3月31日の30日前に解雇予告がされたことはなく、また、本件免職処分が通知された際に解雇予告手当が現に支払われたこともないが、Y社において本件免職処分により同月31日付けでXを免職することに固執する趣旨であったと認めるに足りる証拠はなく、かえって、Y社は22日分の解雇予告手当を含む退職手当を支払ったのであるから、本件免職処分につき、Y社が同月31日付けのXの免職に固執する趣旨であったとはいえない
そうすると、本件免職処分は、遅くとも、本件免職処分が通知された日の30日後である同年4月22日を経過した時点でその効力が生じたものというべきである。

基本的な点ではありますが、上記判例のポイント2の考え方は理解しておきましょう。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。