おはようございます。
今日は、定年退職者らの在籍要件に基づく期末手当不支給の有効性に関する裁判例を見てみましょう。
東日本旅客鉄道事件(東京地裁平成29年6月29日・労判ジャーナル73号34頁)
【事案の概要】
本件は、平成28年4月末日でY社を定年退職したXらが、Y社の賃金規程では4月に定年を迎え同月末日で定年退職する者のみ期末手当が支給されない仕組みとされており、これが合理性のない差別的取扱いに該当し、公序良俗に反し違法であると主張して、Y社に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、平成28年度の夏季手当相当額の賠償金等の支払を求めた事案である。
【裁判所の判断】
請求棄却
【判例のポイント】
1 Xらは、現行賃金規程によれば4月生まれの退職者のみが不利益を受けるから、他の月生まれの者との間で差別的取扱いをするものであると主張するが、例えば3月生まれの従業員が退職する場合であっても、当該従業員は夏季手当の調査期間(前年10月1日から当年3月31日まで)の全部において業務に従事しているにもかかわらず、当該調査期間に対応する退職後の夏季手当を受給できないことは同様であり、その余の月の退職者においても同様に、期末手当のうち調査期間中に就労していたとしても受給できない部分が生じるのであるから、Y社の取扱いは、4月生まれの者にだけ不利益を課すものとはいえないこと等から、期末手当の支給におけるY社の取扱いが不合理であり公序良俗に反し違法である等とするXらの主張には理由がない。
まあ、そうでしょうね。
日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。