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今日は、組合員に対する残業時間を非組合員より少なくするよう指示したことが不当労働行為とはいえないとされた事案を見てみましょう。
東豊商事事件(東京都労委平成29年10月17日・労判1172号92頁)
【事案の概要】
本件は、①組合員に対する残業時間を非組合員より少なくするよう指示したことが不当労働行為にあたるか、②組合員に対して会社都合休みを多く割り当てたことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
①は不当労働行為にあたらない
②は不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 ・・・いずれの比較においても組合員が非組合員よりも残業時間が少ないことが認められる。その原因について、組合は、会社が組合員に対し遅出を指示したり、ジャスター当番を割り当てなかったりしたためである旨主張する。
・・・以上のことから、遅出の指示及びジャスター当番を割り当てないことについては、組合員であること又は正当な組合活動を理由とした不利益取扱いには当たらない。したがって、組合員と非組合員との間に残業時間の差が生じていたとしても、組合がその原因であると主張している、遅出の指示及びジャスター当番を割り当てないことについては不当労働行為に当たらない。
2 会社は、特定の従業員に指示が偏らないように十分配慮を行っていると主張するが、13倍を超える差を偏りがないとはいえず、会社都合休みの割当てについて、組合員と非組合員の契約社員との間に有意な格差が認められることから、会社の主張を認めることはできない。
3 当日乗換え拒否及び昼残業拒否は、組合が「順法闘争」として継続しているものであり、昼残業については組合員以外の全員が行っていたことが認められる。そうすると、会社の示す基準は、事実上組合員を指し示すこととなり、結局会社は、合理的な理由なく組合員に多くの会社都合休みを割り当てる基準を運用していたこととなるから、このような会社の対応は、組合員に対する差別的取扱いであるといわざるを得ない。
組合員と非組合員について異なる取扱いをする場合、合理的な理由を説明できるかどうかが結果を分けます。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。