Monthly Archives: 12月 2017

同一労働同一賃金5 退職金に関する同一労働同一賃金問題(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、退職金についてパートタイム労働法旧8条1項違反を肯定した裁判例を見てみましょう。

京都市立浴場運営財団ほか事件(京都地裁平成29年9月20日・ジュリ1513号4頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の嘱託職員のXらが、Y社が、嘱託職員の退職金規程を定めていなかったことが、パートタイム労働法旧8条1項に違反すると主張し、Y社に対し、主位的に規程に基づき、予備的に不法行為を理由として、嘱託職員の退職金規程が定められていれば嘱託職員のXらに支払われたであろう退職金相当額の支払いを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求一部認容

【判例のポイント】

1 正規職員には退職金が支給されるのに嘱託職員のXらが「退職金を支給されないことについての合理的理由は見当たらない。以上に照らし、Y社が嘱託職員のXらに退職金を支給しないことはパートタイム労働法旧8条1項に違反し、違法である。

2 旧パートタイム労働法には、労働基準法13条のような補充的効果を定めた条文は見当たらず、旧パートタイム労働法8条1項違反によって、規程に基づく退職金請求権が直ちに発生するとは認めがたい。しかし、同違反は不法行為に該当し損害賠償請求をなし得る。嘱託職員の基本給は正規職員のそれより低く抑えられていたこと、Y社の退職金が基本給に勤続年数に応じた係数をかけて機械的に算出されるものであることに鑑みれば、規程に基づき算出された退職金相当額が嘱託職員のXらの損害と認められる。

旧パートタイム労働法8条1項(現9条)は以下のとおりです。

「事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。」

最近流行りの同一労働同一賃金系の論点です。

残業代請求訴訟は今後も増加しておくことは明白です。素人判断でいろんな制度を運用しますと、後でえらいことになります。必ず顧問弁護士に相談をしながら対応しましょう。

本の紹介744 コトラーのマーケティング4.0(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
コトラーのマーケティング4.0 スマートフォン時代の究極法則

サブタイトルは、「スマートフォン時代の究極法則」です。

生産主導のマーケティング(1.0)→顧客中心のマーケティング(2.0)→人間中心のマーケティング(3.0)と来て、3.0をさらに深化、拡大させたものが4.0というわけです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

デジタル化が進む世界でマーケティング4.0に移行すると、人間を中心にすることの重要性はますます高まると予想される。・・・人間中心のマーケティングは、デジタル時代にもやはりブランドの魅力を高めるカギになると、われわれは確信している。議論の余地はあるものの、人間的性格を持つブランドが、最も差別化されていることになるからだ。」(163頁)

よくわかります。

デジタルが進めば進むほど、アナログが大切になってくるのです。

人に会わないで仕事ができるようになればなるほど、人に会うことが大切になってくるのです。

AIが仕事の中心になればなるほど、人間的な温かみが大切になってくると確信しています。

本当に大切なのは「AI」ではなく、人間的な「愛」なのです。

不当労働行為185 組合員の賃金減額を議題とする団交と救済の必要性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員の賃金減額を議題とする団交申入れに対する会社の対応の不当労働行為性が争われた事案を見てみましょう。

エス・エフ・ティー事件(神奈川県労委平成29年3月16日・労判1163号91頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の賃金減額を議題とする団交申入れに対する会社の対応の不当労働行為性が争われた事案を見てみましょう。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたるが、その後の会社の対応から救済を命ずる必要性はない

【命令のポイント】

1 組合が会社に開示を要求している賃金減額の基準が記載されている賃金規定、職務規定のある雇用契約書、人事査定の規定等について、会社は、それらが存在しないことや、存在しても開示すべき法的理由がないこと等を開示しない理由として述べており、不開示という結果のみを捉えて、会社の対応が不誠実であるということはできない。

2 Aに対する平成25年10月25日付け賃金減額に関する団体交渉において、団体交渉が開催されるまでの会社の対応は不誠実な交渉態度であったといわざるを得ないが、その後の団体交渉をも考慮すれば、不誠実であったとまではいえない

3 会社は、組合から団体交渉の申入れがあった場合には、その開催期日の決定について誠実に対応しているといえることから、現時点において救済を命ずる必要性はないと判断する。

このような判断もあるので、会社としては、団体交渉にはできる限り応じましょう。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介743 自分を成長させる極意(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
自分を成長させる極意―――ハーバード・ビジネス・レビューベスト10選

ハーバード・ビジネス・レビューベスト10選をまとめた本です。

非常にお得感の高い本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

最高のキャリアは、あらかじめ計画して手に入れられるものではない。自己の強み、仕事の仕方、価値観を知ることによって、チャンスをつかむ用意のある者だけが手にできる。なぜならば、得るべき所を知ることによってのみ、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した人物となるからである。」(48頁)

ドラッカーの言葉です。

「チャンスをつかむ用意のある者」だけが最高のキャリアを手にできると説いています。

自己の強みを知り、それを磨き続ける。

途中で投げ出さずにこれを続けられる人に成功のチャンスが与えられるのでしょう。

継続は力なり。

人が休んでいるとき、遊んでいるときにどれだけ努力できるか。

ただそれだけのことです。

解雇251 解雇が有効な場合の社宅の明渡しと使用料相当損害金の支払い(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、解雇無効地位確認等請求と社宅明渡等請求に関する裁判例を見てみましょう。

日経大阪中央販売事件(大阪地裁平成29年7月7日・労判ジャーナル67号14頁)

【事案の概要】

本件は、新聞配達業等を営むY社の元従業員Xが、Y社から解雇の意思表示を受けたが当該解雇は無効であるとして、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認とそれを前提とした賃金の支払いを請求(本訴)し、Y社は、Xに社宅を貸与していたが、解雇による労働契約の終了によってXは社宅の使用権限を失ったとして、Xに対し、社宅の明渡しと使用料相当損害金の支払いを請求(反訴)した事案である。

【裁判所の判断】

本訴請求は棄却

反訴請求は認容

【判例のポイント】

1 XとY社間の労働契約では、新聞配達が業務の内容とされており、即売用の新聞を他の営業所に届ける業務も当然に含まれると解されるうえ、その区域についても限定がないから、使用者が合理的な範囲で設定できるものと考えられるところ、同一の業務命令(ホテル等への即売分を毎日新聞堂島販売K営業所に配達するようにとの指示等)が繰り返されていたにもかかわらず、Xは従わない旨を明確にしていること、Xが今後において業務命令に従う見込みがあるとは言えず、解雇等の手段を執らなければ、Y社において継続的に業務命令違反が繰り返されることとなるが、それ自体、秩序維持の観点から相当とはいえず、Y社の企業秩序の維持のためにもXを企業外に排除すべき必要性は否定し難いこと、より軽微な懲戒処分が先行する等の段階は踏まれていないものの、業務命令が繰り返され、労働者において是正再考する機会が十分に与えられていること等も総合すれば、本件の懲戒解雇が客観的合理的理由を欠くとか、社会通念上の相当性を欠くとまではいえない。

2 本件居室の使用は、使用貸借契約にあたると解されるところ、Xは、従業員宿舎使用誓約書を差し入れたから、従業員宿舎使用規則等が使用貸借契約の内容となったものと認められ、また、Xは、○階×号室の使用に関して従業員宿舎使用誓約書を差し入れ、本件居室に転居し、Y社もそれに異を唱えた様子はないから、当該使用貸借契約の目的物は本件居室に変更されたと認められ、そして、従業員宿舎使用規則は、解雇された従業員は、ただちに宿舎をY社に明け渡さなければならない旨を定めており、従業員の身分を失ったことを使用貸借契約の終了事由と定めているといえるところ、本件で解雇が有効であるから、Xは解雇によって従業員の身分を失い、本件居室に関する使用貸借契約は終了したものと認められるから、Xは、本件居室の明渡義務を負う

被解雇者が解雇後も従業員寮を使用している場合、仮に解雇が有効と判断されると賃料相当損害金を支払わなければなりません。

そのあたりのリスクを十分に念頭に置いて訴訟をすべきです。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介742 心がスーッとなる禅の言葉(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
心がスーッとなる禅の言葉 (成美文庫)

タイトル通り、禅の言葉が紹介されています。

いずれも行き詰ったときに助けになる言葉ばかりです。

特に行き詰っていませんがとりあえず読んでみました。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『牛に騎って牛を求む』(騎牛求牛)
『探している牛には、すでに乗っている。なのに、牛を探して心はふらふらと落ち着かない。青い鳥探しもほどほどにしなさい。すべてはすでに持っているではないか』という教えである。」(129頁)

私がよく言う言葉として、「天職を探して転職しているうちは天職は見つからない」があります。

同様に、「幸せを探しているうちは幸せにはなれない」というものがあります。

天職は探すものではなく感じるものだからです。

幸せも探すものではなく感じるものだからです。

天職も幸せも客観的なものではなく、いずれも主観的なものであることを忘れてはいけません。

そう思うかどうか、だけの話です。

探したって見つかるわけがありません。

心の中にあるんだから。

解雇250 非違行為と退職手当返還請求(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、元教諭のわいせつ行為に基づく退職手当返還処分取消請求に関する裁判例を見てみましょう。

鹿児島県・鹿児島県教育委員会事件(鹿児島地裁平成29年5月31日・労判ジャーナル67号26頁)

【事案の概要】

本件は、鹿児島県教育委員会が、鹿児島県公立中学校教員として在職していた元教諭Xに対し、XがA中学校校長として勤務中に、教え子である同中学校在学の女性生徒に対しわいせつ行為をしたことが、鹿児島県職員退職手当支給条例14条1項3号「在職期間中に懲戒免職等処分を受けるべき行為」に該当することを理由に、Xに対し支給済みの退職手当2778万8006円のうち失業者退職手当額を除く2677万1456円全額を返納するよう命じたことから、Xが、本件処分は、真実はXがわいせつ行為をしていないにもかかわらずされたものであることなどから違法であると主張して、本件処分の取消しを求めた事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Xは、本件ドライブの際、本件生徒に対して、本件自動車を運転しながら、左手で本件生徒の右手を握り、また、右太ももを触り、そして、本件路上に停車した本件自動車内において、覆い被さるように本件生徒を抱き寄せ、本件生徒の左頬と唇に口付けをするというわいせつ行為をしたものと認められる。

2 Xは、①本件わいせつ行為が1回限りのものであること、②本件わいせつ行為の態様が軽微であること、③本件わいせつ行為によって本件生徒が受けた衝撃は小さいと考えられることから、本件わいせつ行為は「懲戒免職等処分を受けるべき行為」には当たらない旨主張するが、鹿児島県においては、これまでも、生徒に対してわいせつ行為を行った職員については、免職処分としたことが認められ、そして、本件生徒が、本件わいせつ行為によって精神的苦痛を被り、長期間にわたる入通院を余儀なくされたこと、Xの職責と非違行為との関係、Xの行為が社会に与える影響なども考慮すれば、本件わいせつ行為が1回限りのものであることや、その態様を考慮しても、本件わいせつ行為に対して本件指針における標準量定よりも下位の量定とすべき事情があるということはできないから、Xの本件わいせつ行為は「懲戒免職等処分を受けるべき行為」に当たると認められる。

3 Xが行った行為は重大な非違行為に当たるというべきであるから、同行為は、その永年勤続の功を抹消して余りあるものと評価せざるを得ず、Xに対し退職処分等のほぼ全額の返納を命じる本件処分が、裁量権の範囲を逸脱し又は濫用するものとは認められない

前回の事案とは異なり、本事案では、退職金のほぼ全額の返還が認められています。

解雇を選択する前には必ず顧問弁護士に相談の上、慎重かつ適切に対応することが肝心です。決して、素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介741 合理的なのに愚かな戦略(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
合理的なのに愚かな戦略

タイトルを見るとわかるとおり、理屈や論理からするとうまくいくはずなのに、現実はそううまくはいかないよ、という内容が書かれています。

例えば、第1章のタイトルは「『顧客志向』と『売上』との相関関係は低い」です(笑)

読んでいてとてもおもしろい本です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

選択には必ず犠牲をともなう。人生での選択でも、とらなかった選択によってもたらされたかもしれないチャンスを逃がすという大きな犠牲をともなう。だが、人間はそれを後悔していては幸せにはなれない。犠牲を含めていまの人生を肯定的に考えなければ幸せは得られない。だが、実際には、犠牲が怖くて選択することさえやめてしまう人が多い。あるいは、選ばなかった選択肢のほうがよかったかもしれないと後悔して残りの人生を過ごす。」(235頁)

そんなこと言ってたら何にもできないよ、という話です(笑)

日々、決断の連続です。

即断即決でどんどん決断していかないと時間がいくらあっても足りません。

ここで大切なのは、「どうでもいいことに時間をかけない」という意識を持つことです。

「んなもん、どっちでもいいわ」ということは1秒でどちらかに決める。

だって、どっちでもいいんだから。

さらに言えば、日常生活の中で決断するものの99%は「んなもん、どっちでもいいわ」という選択です。

どうでもいいことにこだわらず、どんどん決める。

これこそが限りある時間を有効に使うコツです。

解雇249 懲戒解雇が有効な場合の退職金の減免の程度(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、有罪判決等に基づく懲戒解雇無効地位確認等請求に関する裁判例を見てみましょう。

西日本鉄道事件(福岡地裁平成29年3月29日・労判ジャーナル65号40頁)

【事案の概要】

本件は、Y社との間で労働契約を締結していた元従業員Xが、Y社に対し、主位的、Y社がXに対してした懲戒解雇は懲戒事由がない上、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められるものではないため無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認並びに本件懲戒解雇後の各賃金等の支払を求め、予備的に、仮に本件懲戒解雇が有効であるとすれば、Xは上記労働契約に基づく退職金請求権を有すると主張して、退職金720万円等の支払を求めた事案である。

【裁判所の判断】

懲戒解雇は有効

退職金支払請求については一部認容

【判例のポイント】

1 Y社の就業規則60条12号にいう「有罪の確定判決を言い渡され」たときには、略式命令を受け、それが確定した場合も当然含まれると解されるから、本件懲戒解雇事由1は、この場合に該当し、Xの「その後の就業が不適当と認められたとき」に当たるというべきであるから、本件懲戒解雇事由1は、就業規則上の懲戒事由に該当し、そして、本件事故やその後のXの行動は、Y社の企業秩序に直接関連し、また、Y社に対する社会的評価の低下毀損につながるおそれが客観的に認められるものといえ、その意味で、社員の品位を乱し、会社の名誉を汚すような行為であって、その情状が重いものに当たるといえるから、本件懲戒解雇事由2も、就業規則上の懲戒事由に該当するところ、本件懲戒解雇について、Y社の社内において異論がなく、労働組合からも異論が出されなかったこと、本件懲戒解雇の手続が適正でなかったことをうかがわせる事情はないこと等から、本件懲戒解雇は、社会通念上相当なものであると認められ、懲戒権を濫用したものとはいえず、無効となるものではない。

2 ・・・今後の企業秩序の維持の観点から、本件不支給規定により、Xが退職金請求権の大半を失うことはやむを得ないといえるが、他方、上記行為は業務外のものであること、Xが本件懲戒解雇以前に懲戒処分を受けたことがないこと、上記飲酒運転撲滅の取組が始まってから本件懲戒解雇までの期間は約9年間であることを考慮すると、これらのXの行為は、21年間という長年の勤続の功労を全て抹消してしまうほど信義に反する行為であったとまではいい難いこと等から、Xは、本件不支給規定にもかかわらず、退職金請求権の一部を失わないというべきである。

懲戒解雇の場合、どの程度、退職金を減額するかについては判断が非常に難しいです。

過去の裁判例は参考にはなりますが、全く同じ事案ではないことからあくまでも「参考」になるだけです。

いずれにせよ顧問弁護士と相談の上で判断すべき内容です。

本の紹介740 勝ち続ける理由(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
勝ち続ける理由(祥伝社新書)

ご存じ青学陸上競技部の原監督の本です。

勝ち続けるチームを作る上で大切なことは何かが書かれています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

ただ『文句を言わずやれ』『黙ってやれ』では、やらされ感が拭えない。だから、指導者は、いくらでも違うやり方があるなかで『何のためにこれをやるのか』『どういう理由でやるのか』『なぜこれが必要なのか』などを理論的に説明し、選手たちに納得してもらわなければならない。
というのも、どういうやり方があるかについては、インターネットで検索すれば情報が山ほど出てくる。つまり、物事の答えは、ネットの扉を開けば、いくらでも出てくるのだ。だから、それらのやり方のうち、どれを選ぶべきか、なぜその選択をするのかを教えるのが指導者の役割である。」(81頁)

人が動くには、自分が納得できる「理由」が必要です。

この本でも書かれているとおり、納得できる「理由」がないと続かないのです。

「なんでこんなことやる必要があるんだよ。時間の無駄だろ」となってしまうのです。

これはスポーツだけでなく、仕事でも同じことが言えます。

特に仕事を始めて間もない場合、一見すると何のためにやっているのかわからない仕事をさせられることがあると思います。

例えば、掃除です。

掃除を丁寧にすることと仕事がどう関係あるんだと。

多いに関係ありますから。

でも、自分で掃除を丁寧にすべき「理由」が見いだせないと単なる作業に終わります。

「おれは掃除をするためにこの会社に入ったんじゃねー」なんてこと言い出すんでしょうね(笑)

できる人、できない人の差って、こういうところで生まれるのではないでしょうか。

みなさんは、どちらですか?