Monthly Archives: 11月 2017

不当労働行為183 定年退職後の処遇と義務的団交事項(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、組合員の再雇用における労働条件等を団交事項とする団交の申入れについて、定年退職後の処遇は労働条件の変更に当たらず団交事項でないとして団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるとされた事案を見てみましょう。

学校法人文際学園事件(大阪府労委平成29年3月13日・労判1161号90頁)

【事案の概要】

本件は、組合員の再雇用における労働条件等を団交事項とする団交の申入れについて、定年退職後の処遇は労働条件の変更に当たらず団交事項でないとして団交に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる。

【命令のポイント】

1 定年退職後も引き続き再雇用されることを前提とした組合員の再雇用後の労働条件に関する事項は、定年前の労働条件を踏まえた組合員の個別の労働条件の変更に該当し、労使で協議することが可能な労働条件であるとみるのが相当であり、義務的団交事項に該当するのは明らかである。

2 ・・・以上のとおり、組合員の再雇用後の労働条件は義務的団交事項であるにもかかわらず、Y社は交渉に一切応じていないのであるから、Y社の主張はいずれも採用できず、組合の団交申入れに対するY社の対応は、労働組合法7条2号に該当する不当労働行為である。

継続雇用が予定されている以上はまだ継続雇用が始まっていないからといって義務的団交事項にあたらないと判断するのは難しいでしょうね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介734 組織の毒薬(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 

今日は本の紹介です。
組織の毒薬 サイバーエージェント副社長の社員にあてたコラム (NewsPicks Book)

サイバーエージェント副社長が社員に宛てたコラムをまとめた本です。

派手さはありませんが、著者が日頃考えていることが誇張なく表現されており、素晴らしいです。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一人前の定義は、ある一定の水準で仕事ができる、ということです。なにをある一定の水準にするべきか?それは『心構え』と仕事の『仕方(スキル)』です。そして、最初に必要なのは『心構え』だと考えています。
仕事の仕方や自分の得意なパターンは徐々にでも学んでいけますが、もし土台となる心構えができていなければ、スキルの吸収はとても時間がかかります。」(71頁)

その通りだと思います。

スキルは、経験年数と場数に比例して徐々に向上していくものです。

これに対して、心構え、マインド、スピリットは経験年数と場数に比例する性質のものではありません。

むしろ慣れや飽きから経験年数と反比例している人を見かけることもあります。

どれだけ高度なスキルがあっても、マインドやファイティングスピリットが備わっていない人はいざという時にとても弱い。

自己犠牲を厭わず仕事に没頭し続けられる人は強い。

見ていて本当にそう思います。

解雇247 リハビリ出勤の実施方法と留意点(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は、テスト出局開始から解職までの復職可能性と解職の有効性等に関する裁判例を見てみましょう。

NHK(名古屋放送局)事件(名古屋地裁平成29年3月28日・労判1161号46頁)

【事案の概要】

本件は、Y社の職員(従業員)であったXが、精神疾患による傷病休職の期間が満了したことにより、同期間満了前に精神疾患が治癒していたと主張して、解職が無効であり、Y社との間の労働契約が存続しているとして、労働契約上の権利を有する地位の確認を求めるとともに、傷病休職中に行ったY社のテスト出局(一般に、試し出勤、リハビリ出勤などと称され、心の健康の問題ないしメンタルヘルス不調により、療養のため長期間職場を離れている職員が、職場復帰前に、元の職場などに一定期間継続して試験的に出勤をすることにより、労働契約上の債務の本旨に従った労務の提供を命じられ、実際に労務の提供を行ったが、テスト出局期間途中でテスト出局が中止され、それにより労務の提供をしなくなったのはY社の帰責事由によるものであるとして、テスト出局開始以後の賃金+遅延損害金を請求するほか、テスト出局の中止や解職に至ったことに違法性があると主張し、不法行為に基づく損害賠償金+遅延損害金を請求する事案である。

【裁判所の判断】

請求棄却

【判例のポイント】

1 Y社の職員が、傷病休職中にもかかわらず、労働基準法上の労働を行ったと認められる場合には、最低賃金法の適用があることになるから、本件にはおいては、結局のところ、本件テスト出局中にXの行った作業が労働基準法上の労働といえるかどうか、すなわち、XがY社の指揮命令下に置かれていたかどうかの判断によることになり、具体的には、Y社のテスト出局が、傷病休職中にもかかわらず、職員に労働契約上の労務の提供を義務付け又は余儀なくするようなものであり、実際にも本件テスト出局中にXが行った作業が労働契約上の労務の提供といえるかどうかを検討すべきことになると考えられる(最判平成12年3月9日等参照)。

2 …特に、テスト出局が、傷病休職中の職員に対する職場復帰援助措置義務を背景としていることを踏まえると、その内容として、労働契約上の労務の提供と同水準又はそれに近い水準の労務の提供を求めることは制度上予定されていないと解される。
また、テスト出局は、職場復帰のためのリハビリであり、復職の可否の判断材料を得るためのものであるとはいえ、疾病の治療自体は主として主治医が担当すべきものであり、職員からの復職の申出を受けた後、合理的な期間を超えて、職員を解雇猶予措置である傷病休職の不安定な地位にとどめおくことはかえって健康配慮義務の考え方にもとることになる。そこで、テスト出局はあくまで円滑な職場復帰及び産業医等の復職の可否の判断に必要な合理的期間内で実施されるのが相当であり、休職事由が消滅した職員について、産業医等の復職の可否の判断に必要と考えられる合理的期間を超えてテスト出局を実施し、復職を命じないときは、債務の本旨に従った労務の提供の受領を遅滞するものとして、その時点からY社が賃金支払義務を免れないというべきである。

とても重要な裁判例です。

いわゆるリハビリ出勤の問題ですが、リハビリ出勤時にどの程度の業務をさせればいいのか、また、その際の賃金は通常通り支払わなければならないのかについて考えるヒントを与えてくれています。

休職制度の運用、復職の可否の判断等については必ず顧問弁護士に相談の上、近時の裁判例の動向を踏まえて慎重に対応することを強くおすすめします。

本の紹介733 なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は本の紹介です。
なめらかなお金がめぐる社会。 あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。

家入一真さんの本です。

タイトルだけ見てもあまり意味がわからないですね。

帯に書かれている「『お金がすべて』の社会のその先に。」という発想が本全体に流れています。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

大企業信奉もその象徴で、『いい大学を出て大企業に就職できれば人生は安泰だ』というのが日本人にとって長らくの常識だったけど、シャープが台湾の企業に買収され、東芝が上場廃止に追い詰められている現実をみれば、そういった常識が音を立てて崩れているのがよくわかる。
逆に小さいほうが小回りがきくし、失敗しても失うものは小さいのですぐに立ち直れるし、違うと思った別の方向に歩き出すこともできる。社会が不確実ないまだからこそ、小さいことのメリットが評価されだしたのだ。」(38頁)

このように考えている人は、以前よりかなり増えているのではないでしょうか。

車も会社も小さいほうが小回りがきくのです。

大きいことは、メリットばかりでないことは、大きい会社に勤めている人ならわかるはずです。

不確実で変化の激しい社会においては、あまり荷物をたくさん持たないほうが動きやすくて便利です。

変化に柔軟に対応できる身軽さがこれからますます求められるような気がします。

不当労働行為182 賃金体系変更協定に応じない組合員に対する対応と不当労働行為該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、賃金体系変更協定に応じなかった組合員に対して、協定外残業および公休出勤を認めず、勤務シフトの変更に応じなかったことが不当労働行為に当たらないとされた事例を見てみましょう。

札幌交通(新賃金協定)事件(北海道労委平成29年5月29日・労判1161号89頁)

【事案の概要】

本件は、賃金体系変更協定に応じなかった組合員に対して、協定外残業および公休出勤を認めず、勤務シフトの変更に応じなかったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたらない

【命令のポイント】

1 旧協定適用者に対し行った会社の取扱いは、賃金等の労働条件の低下を内容とする新協定に調印して会社の再建に協力してくれる新協定締結者を不利に扱うわけにはいかないとの考えによるものであり、かかる取扱いをすることは予告されていた。
また、会社は、X組合員だけでなく、同じく未調印であった非組合員11名に対しても同様の取扱いをしている。
組合が嘱託組合員についてのみ新協定に調印することを認めるよう要請したのに対し、会社が組合の一括調印でないと認めない旨の回答をしたのは、組合と組合に所属する組合員について別異の取扱いはできないと考えたからであり、そのような対応は組合に対してだけではなく、他の労組に対しても同様であった

2 そうすると、X組合員が受けた不利益は、組合が会社との交渉で自主的な選択をし、また、組合の方針ないし状況判断に基づいて選択した結果であるというべきであって、会社のかかる行為が組合に対する団結権の否認ないし嫌悪の意図が決定的動機として行われたと認めることはできない。

3 以上のとおり、会社が、同年7月21日から同年11月20日までの間、X組合員に対して協定外残業、公休出勤及びシフト変更を制限したことは、X組合員であること又は組合が正当な行為をしたことを理由とした不利益取扱いであるとは認められないので、法7条1号に該当する不当労働行為であるとはいえない。

組合員だけをことさら不利益に取り扱っているわけではないということを明らかにできれば不当労働行為にはなりません。

今回はそれがうまくいった例ですね。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介732 自分を超え続ける(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
自分を超え続ける―――熱意と行動力があれば、叶わない夢はない

著者は、19歳という日本人最年少で世界七大陸最高峰を制覇した方です。

サブタイトルは「熱意と行動力があれば、叶わない夢はない」です。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

一番大切なのは、『自分が1位になれないのは、そこまでの努力ができていないからかもしれない』と、自分の能力ではなく努力について考えること。」(201頁)

そのとおりだと思います。

まず、環境のせいにしないこと。

環境のせいにする人は仮に環境が変わったとしても結果なんて出せません。

次に、能力、性格、才能のせいにしないこと。

生まれつき備わっているかどうかといういかんともしがたいことを言い出しているようでは結果なんて出せません。

結果が出ないのは、いつでも自分の努力不足なのだと考えるほかありません。

そこからしか前に進めないから。

有期労働契約75 22年間更新のアルバイト従業員に対する雇止めの適法性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は、22年間反復継続してきたアルバイトに対する雇止めの適法性が争われた事例を見てみましょう。

ジャパンレンタカー事件(名古屋高裁平成29年5月18日・労判1160号5頁)

【事案の概要】

Xは、平成4年4月1日までにY社と期限の定めのある労働契約を締結して、アルバイト従業員として稼働し始め、同月から平成20年頃までは6か月に1回,同年以後は2か月ごとに雇用契約書の更新がなされ、最終の労働期間は、平成26年12月20日までとなっていた。

本件は、Xが、Y社とX間の労働契約は、労働契約法19条1号又は2号に該当し、労働期間が満了する日までに有期労働契約の更新の申込みをし、また、Y社の雇止めは合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないから、労働契約法19条により従前の労働契約の内容である労働条件と同一の条件で契約更新の申込みをY社は承諾したものとみなされると主張して、Y社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認と、賃金請求権に基づき、平成26年12月から毎月末日限り月額23万9514円の割合による賃金+遅延損害金の支払を求めるとともに、Y社は、Xが健康保険、厚生年金及び雇用保険の資格を取得したこと等を届け出て、かつ、雇用継続中、健康保険料、厚生年金保険料及び労働保険料を納付すべき義務があったのにこれを怠ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として、361万6626円+遅延損害金の支払を求め、さらに、平成25年4月21日から平成26年10月18日までの間の未払割増賃金が合計291万3819円+遅延損害金が合計12万3933円であると主張して、Y社に対し、上記元本及び遅延損害金合計303万7752円等の支払を求めるとともに、付加金291万3819円+遅延損害金の支払を求めた事案である。

原審は、XとY社間の有期労働契約は、期間の定めのない労働契約とほぼ同視できるものであり、Y社の更新拒絶は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められず、Y社は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件でXの更新の申込みを承諾したものとみなされるとして、Xの地位確認請求を認容するとともに、Y社の賃金請求も全部認容し、Xの不法行為に基づく損害賠償請求については、136万4822円+遅延損害金の支払を求める限度で認容し、Xの割増賃金請求については、289万3471円+遅延損害金の支払を求める限度で、Xの付加金請求については、277万5699円+遅延損害金の支払を求める限度でそれぞれ認容した。

そこで、Y社が控訴をするとともに、Xが不法行為に基づく損害賠償請求を棄却された部分について附帯控訴をするとともに、損害額の拡張及び追加をした。

【裁判所の判断】

 本件控訴について
(1)原判決主文3項中、次の(2)に係る部分を超える部分を取り消す。
(2)Y社は、Xに対し、33万4827円+遅延損害金を支払え。
(3)上記(1)の取消部分に係るXの請求を棄却する。
(4)Y社のその余の本件控訴を棄却する。

 本件附帯控訴について
(1)Y社は、Xに対し、6万5308円+遅延損害金を支払え。
(2)本件附帯控訴に基づくその余の当審拡張請求を棄却する。
(3)Xのその余の本件附帯控訴を棄却する。

【判例のポイント】

1 Xは、当審において、一定程度の年金が受給できる蓋然性が十分あるから、民事訴訟法248条を適用するなどして蓋然性が認められる範囲で損害を算定すべきである旨主張する。
しかし、年金受給年数や支給率等が将来変動する可能性があるし、Xが年金受給年齢に達するか、達したとして何年間受給できるかも不明であるし、本件の事案について民事訴訟法248条を適用するのが相当であるともいえない。Xの主張は、採用することができない。

2 Xは、当審において、不満を抱えながら明示的に抗議できなかったことは精神的苦痛の根拠となるのであって、これを否定することはできないから、慰謝料請求は認められるべきであるとして縷々主張する。
しかし、Xが国民健康保険料や国民年金保険料を支払ったことについては、財産的損害が填補されれば特段の事情がない限り慰謝料の支払いまで命じる理由はないところ、Xが縷々主張する事情は、いずれも慰謝料の支払を命じるに足りる特段の事情に該当するということはできない。Xの主張は、採用することができない。

3 ①Y社の健康保険の届出・納付義務違反によりXが被った損害は124万4822円、②Y社の厚生年金保険の届出・納付義務違反によりXが被った損害は91万5650円と認められる。
そして、前記のとおり、Xは、Y社との労働契約締結当初から健康保険及び厚生年金への加入がないことを認識していたと認められる。
この点、Xは、疑問を抱いてはいたものの、的確な知識もなかったので、不法行為であると認識できていなかったから、加害者に対する損害賠償請求が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度に損害及び加害者を知っていたとはいえない旨主張する。
しかし、Y社がXに関し健康保険及び厚生年金保険の届出・納付義務を負うか否かについては、公的機関に問い合わせるなどして確認することは容易であることからすると、Xの主張は、採用することができない

本件におけるメインの争点である雇止めの適法性については、一審の違法無効という判断が維持されています。

それにしても22年間、更新を繰り返すというのはすごいですね。もはや完全に「形だけ」有期雇用の状態だったと考えるのが自然です。

日頃から顧問弁護士に相談しながら適切に労務管理を行うことが大切です。

本の紹介731 YOU ARE A BADASS(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。

今日は本の紹介です。
YOU ARE A BADASS もっと「自分のため」に生きていい!: すると、才能、自信、お金……必要なものが必要なときにやってくる (単行本)

とても前向きな本です。

読むと元気が出ます。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

◎伝説的バスケットボール・プレーヤーのマイケル・ジョーダンは、技術不足だといわれて、高校のバスケットボールチームを首になっている
◎高校を中退したスティブン・スピルバーグは、映像制作学校に三回も不合格になった
◎ベートーベンの音楽の先生は、彼には才能がない、とくに作曲に関しては救いようがないという評価をした。さらにベートーベンは聴力を失った(ホント大変なことだと思う)
ただ唯一の失敗は”あきらめること”。ほかの失敗は、ただの”情報収集”だ。」(188頁)

これらの方は途中であきらめなかったのです。

あきらめないことそれ自体が才能なのかもしれませんね。

2、3度うまくいかなかっただけで投げ出しているようでは結果なんて出るわけがないのです。

結果が出るまでしつこくやり続ける。

これこそが結果を出す秘訣なのです。

不当労働行為181 形式的な質問の繰り返しや回答の先延ばしの不当労働該当性(労務管理・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。 今週も一週間お疲れ様でした。

今日は、労組による団交申入れの根拠が不明である等として、団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事例を見てみましょう。

凸版印刷事件(東京都労委平成29年7月4日・労判1161号88頁)

【事案の概要】

本件は、労組による団交申入れの根拠が不明である等として、団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。

なお、会社は、労組からの団交申入れに対し、文書において、会社と労組には使用従属関係がなく、労組が団交申入れのできる事実的および法律的根拠を示すよう求めると回答し、その後も、労組が団交を申し入れる根拠を回答するよう求めるなどして、団交に応じなかった。

【労働委員会の判断】

不当労働行為にあたる

【命令のポイント】

1 会社の上記一連の対応をみると、会社は、組合に対して形式的な質問を繰り返すことにより、組合からの団体交渉申入れに対する回答を理由なく先延ばしにし、開催日時、場所等、団体交渉応諾についての回答を避け続けているものといわざるを得ない。

2 会社は、組合から団体交渉申入れを受けた当時、凸版組合との二重交渉のおそれがあったと主張する。
確かに、当時、Aは、凸版労組と組合の両方に加入していたが、組合の3月31日付団体交渉申入書には、凸版労組がB部長のAに対するパワハラについて「扱わない」こととしたため、Aが組合に加入した旨の記載があり、また、凸版労組が、会社に対し、組合が提示した議題について団体交渉を申し入れたことはなく、会社が組合及び凸版労組に対して交渉権限の有無を質問したり、その調整を求めたりしたことはなかった。したがって、会社の主張は、採用することができない。

私はあまりこういう入口での議論はせず、できるだけ団体交渉を行うほうがよいと考えます。

形式的な議論に終始して、結果、不当労働行為になるのでは本末転倒です。

中身の話をするほうがよほど生産的です。

組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。

本の紹介730 レバレッジ・マネジメント(企業法務・顧問弁護士@静岡)

おはようございます。

今日は本の紹介です。
レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略』

一世風靡した本田直之さんの「レバレッジ」シリーズです。

久しぶりに読み直してみました。

今読んでもとてもいい本だと思います。

さて、この本で「いいね!」と思ったのはこちら。

『忙しくて、ジムや病院なんか行く暇はない』という経営者は、危ない綱渡りをしているのと同じことだ。しかも、綱渡りをするあたなは大勢の社員を道連れにしている。ベンチャー企業というのは、経営者が倒れると立ち行かなくなるケースが多いので、特に配慮しなくてはならない。メンタルもフィジカルも、鍛えられるものである以上、自分次第でなんとでもなる。」(71頁)

特にここまでの使命感をもって運動しているわけではありませんが、私も週3、4回、ボクシングジムで1時間半程度汗を流しています。

忙しさを理由にすることは簡単ですが、それを言い出したら何もできません。

加えて、年齢を理由にすることも簡単ですが、ださいのでしません。

むしろ、年齢に逆行して、今が一番体力、筋力があるのではないかと思います。

スーツの上からでも、胸板、上腕等を見れば、この人は日頃から鍛えているか、自己管理をしているか、とわかるものです。

ローマと胸板は一日にしてならず。

日頃の習慣がものを言います。