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今日は、労組による団交申入れの根拠が不明である等として、団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為とされた事例を見てみましょう。
凸版印刷事件(東京都労委平成29年7月4日・労判1161号88頁)
【事案の概要】
本件は、労組による団交申入れの根拠が不明である等として、団交に応じなかった会社の対応が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
なお、会社は、労組からの団交申入れに対し、文書において、会社と労組には使用従属関係がなく、労組が団交申入れのできる事実的および法律的根拠を示すよう求めると回答し、その後も、労組が団交を申し入れる根拠を回答するよう求めるなどして、団交に応じなかった。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 会社の上記一連の対応をみると、会社は、組合に対して形式的な質問を繰り返すことにより、組合からの団体交渉申入れに対する回答を理由なく先延ばしにし、開催日時、場所等、団体交渉応諾についての回答を避け続けているものといわざるを得ない。
2 会社は、組合から団体交渉申入れを受けた当時、凸版組合との二重交渉のおそれがあったと主張する。
確かに、当時、Aは、凸版労組と組合の両方に加入していたが、組合の3月31日付団体交渉申入書には、凸版労組がB部長のAに対するパワハラについて「扱わない」こととしたため、Aが組合に加入した旨の記載があり、また、凸版労組が、会社に対し、組合が提示した議題について団体交渉を申し入れたことはなく、会社が組合及び凸版労組に対して交渉権限の有無を質問したり、その調整を求めたりしたことはなかった。したがって、会社の主張は、採用することができない。
私はあまりこういう入口での議論はせず、できるだけ団体交渉を行うほうがよいと考えます。
形式的な議論に終始して、結果、不当労働行為になるのでは本末転倒です。
中身の話をするほうがよほど生産的です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。