おはようございます。 今週も一週間がんばりましょう。
今日は、解雇された組合員の復職後の労働条件をめぐって対立するなかで、社長が労組を非難し、脱退を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案を見てみましょう。
青林堂事件(東京都労委平成29年3月7日・労判1159号91頁)
【事案の概要】
本件は、解雇された組合員の復職後の労働条件をめぐって対立するなかで、社長が労組を非難し、脱退を勧奨する発言を行ったことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 本件発言の内容や態様についてみると、A社長は、「全ての元凶は、ユニオンなわけよ。君がユニオン辞めれば、辞めれば、普通にみんな付き合う」「そういう可能性は、ないわけ。みんな君のことを嫌っているけど、それ以上にユニオンに対して、非常にアレルギー、アレルギーがある」と発言している。これらの発言は、直接的にXに対して向けられ、Xが組合員であることが労使紛争の原因であるとして、組合を非難ないし批判するものであると同時に、明らかに組合からの脱退を促す発言である。
2 また、発言当時の労使関係をみると、Xの解雇に関連した前件において、和解が成立した後、同人が復職したものの、復職後間もなく職務内容など労働条件を巡って再び労使紛争となり、本件申立てにつながっている。このように、本件発言は、Xの職務内容など労働条件について再び労使間で問題が発生し、対立関係が厳しくなる中で行われたものである。
3 さらに、発言当時の状況をみると、Xは、会社内における唯一の組合員であり、本件発言は、会社内においてXの勤務時間中、A社長のほかB専務や他の従業員が同席する中で行われた。そのような状況下において、会社代表者であるAが前記のような組合への非難や明らかな組合脱退勧奨発言をすれば、組合員として組合活動を続けることについて直截的な威嚇的効果があり、会社内において組合活動が阻害されるおそれは極めて大きいといえる。
4 以上のことから、使用者側の言論の自由を考慮しても、会社がその存在と内容について認めている本件発言は、組合の組織、運営や組合活動に悪影響を与えるものであることが明らかであり、組合の組織、運営に対する支配介入に当たる。
言っていいことと悪いことがありますね。
こんなこと、思っていても言っていいわけがありません。
何の得にもなりません。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。