おはようございます。
今日は、通勤手当の減額、あっせん申請を理由に団交に応じないこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案について見てみましょう。
正栄工業事件(岡山県労委平成29年3月23日・労判1159号88頁)
【事案の概要】
通勤手当の減額、あっせん申請を理由に団交に応じないこと等が不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
通勤手当の減額は不当労働行為にあたらない
あっせんの申請を理由に団交に応じないこと、およびその後に行われた団交に誠実に対応しなかったことは不当労働行為にあたる
【命令のポイント】
1 本件通勤手当の減額は、杜撰な事務処理による誤った計算に基づくものであるが、組合との継続合意事項を無視し、組合員を差別的に取り扱って組合の弱体化を図ろうとしたものとは認められず、労働組合法7条3号の不当労働行為があったとまですることはできない。
2 あっせんと団体交渉とは別個の行為であり、会社が労働委員会のあっせんを理由に団体交渉に応じないことは、基本的には正当な理由があるとは認め難い。
上記命令のポイント2は基本的なことですが、しっかりと押さえておきましょう。
訴訟、労働審判、あっせんを起こしたことは、団体交渉を拒否する理由にはなりませんので誤解なきように。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。