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今日は、Aが夫の陳述書を別事件の証拠とすることに協力し、その後組合支部に加入したことを理由に、会社が他の従業員によるAに対するセクハラやパワハラを放置したことが不当労働行為に当たるかが争われた事案について見ていきましょう。
日東興産事件(神奈川県労委平成29年1月12日・労判1156号92頁)
【事案の概要】
本件は、Aが夫の陳述書を別事件の証拠とすることに協力し、その後組合支部に加入したことを理由に、会社が他の従業員によるAに対するセクハラやパワハラを放置したことが不当労働行為にあたるかが争われた事案である。
【労働委員会の判断】
不当労働行為にあたらない
【命令のポイント】
1 Y社としては、X3の通報したセクハラについて、その解決を当事者間の話合いに委ねるとの方針でいたことがうかがえるものの、その決定がなされたのは同人の組合支部への加入前であり、加入後もその方針に変更は見られないことからすると、Y社が、X3が組合支部に加入して組合員になったことや組合支部の正当な行為をしたことを理由に上記のセクハラを放置したものと認めることはできない。
2 また、Xらは、本件陳述書を24-35号事件の証拠とすることに協力したX3に対するパワハラをY社が放置したことは、労組法7条4号に該当すると主張する。
しかし、仮にY社が本件陳述書の作成にX3が何らかの協力をしたものと考えたとしても、上述したとおり、X3の通報したセクハラに関する方針を決定したのは本件陳述書の提出前であることからすると、Y社が24-35号事件の「証拠を提示し・・・たことを理由として」X3に対する上記方針を決定したものと認めることはできず、上記主張は採用できない。
3 以上により、X3に対するセクハラやパワハラに関するY社の対応は、労組法7条1号及び4号の不利益取扱いには当たらない。
上記命令のポイント1のような事情があれば、会社側に不当労働行為意思がないことは明らかですので、大丈夫です。
組合との団体交渉や組合員に対する処分等については、まずは事前に顧問弁護士から労組法のルールについてレクチャーを受けることが大切です。決して素人判断で進めないようにしましょう。